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Yellow Rose

作者: アキ

 こんな世界は嫌いです。僕は僕が許せない。みっともなくわめき散らして,駄々こねて。カッコ悪いのは僕が一番良く分かっているさ。人に指摘される必要なんて全くない。でもそうはいかない。いや,許されないんだ。世間ってやつは弱い者をいじめて,批判して,どん底まで落とさないと満足しないんだな。‬それが正しいはずないじゃないか。弱い者いじめはいけないって僕らに教育する大人ってやつが弱い者いじめをしているじゃないか。大人ってのはずるいよ。結局世界ってのは綺麗事と矛盾と感情でできた脆く儚いものなんだ。僕は気付いてしまったよ。もう大人の言いなりにはならないよ。そう決めた。‬‬‬‬

 もう死にたいって思うのは何度目だろう。傷付きたくなくて心を殺したこと,自分に素直になれない自分,やっぱり許せない。もう少しだけ夢見ることを夢見ていたかった。でもそんなこともう叶わない。何度も何度も逃げた。逃げ続けた。そんな自分が大嫌いだ。だけど逃げた先で僕は認められたんだ。‬何故かそれに罪悪感を持つ。だから決めた。もう逃げない。僕は僕の夢を追いかけるって。でも遅過ぎた。僕はもう跳べない。夢は破れた。僕にはもう心はない。夢もない。いや,夢を諦めざるを得なくなったあの日あの時以来僕は夢に,未来について考えるのを拒否している。心を持つことを拒否している。‬‬

 そう,僕の夢は怪我で破れた。‬怪我っていっても自分のせいだ。自分の不注意が招いたこと。分かっている。でも幼い少年が初めて味わう挫折。あまりにも大き過ぎた。夢が消えた。もうなりたい自分にはなれない。そう,二度とだ。その幼い少年はその事実を理解できるがができなかった。受け入れられなかった。‬それが少年,つまり僕の運命なんだ。十にも満たない少年にはあまりに残酷な運命だった。あれ以来僕は受け入れたくない運命を拒み,苦しみ,そして背負い生きてきた。僕は心を殺し,感情を捨てた。それが傷付かない方法だと思ったから。十五になった今こんな風になるなんて予想出来なかったから。

 そう。予想出来なかったんだ。君に出会うなんて。君に恋するなんて。人を愛する心がまた僕に芽生えるなんて。

  「好きだよ」

 そう言えば君はどうおもうかな。

  「好きだよ」

 君にそう伝えたくて伝えたくてたまらないんだ。

  「好きだよ」

 僕は初めて恋に落ちた。最初はこの気持ちが分からなくて,苦しかった。でもやっと分かった。それでも苦しい。僕がこんな感情を持つなんて許さないって分かっているから。

  「好きだよ」

 そう言ったら君は困るかな。

  「好きだよ」

 僕にもまだ人を愛する心は残っていたらしい。でも僕に人を愛する資格はあるのだろうか。

  そんなこと関係ない。君ならそう言うだろうな。でも僕は知っているよ。君のおもいを。あの子に向けている君のおもいを。それならそれで構わない。

  どうせ僕は世間からいくら認められていても人生間違えた人間なんだ。だから君の横で君を汚すわけにはいかない。だから僕は君を遠くから見ているだけで良いよ。このおもいは秘密にしたままで良いよ。だから君は僕のことなんて気にしなくて良い。君は僕のためにも幸せに。本当にどうかお幸せに…。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私だったらタイトルは 「Blue Rose」にするかもですね。 だって花言葉は… 楽しく読ませてもらいました。 新作楽しみに待っています!
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