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第2話 キャラメイクでランダム機能を使ってもレアものなんて当たらないと思ってた時期が私にもありました

どうも、急な話なんてすがSSSS.GRIDMANというアニメは知っていますか?

自分は今そのアニメにハマっていて……

OPの「UNION」を聴きながら書きました。

面白いです。


それでは本日2回目の投稿です。

よろしくお願いします。

 

「ふわぁ〜、ここがキャラメイク空間ですか。本当に何も無いですね」


 ヘッドギア型のVRハードを装着し、『ESO』を起動したティナの意識は真っ白な空間に飛ばされた。そこには文字通り何も無く、音も無い。キョロキョロと辺りを見回していると目の前に突如現れた小さな妖精から声が聞こえてきた。


「ようこそ『ESO』の世界へ。ここではユーザーのキャラメイクをして頂きます。プレイヤーネームはいかがいたしましょう?」


 どうやらキャラメイク時のAIのようだ。

 この空間で使用されるAIは事務的なやり取りしか出来ないが、何でもゲーム内に登場するAIはそれぞれ独立した思考を持つという。独自の開発で進化したAI技術はまるで本当に人間とコミュニケーションを取っているかのようであるらしく、作り込まれた世界観への期待値を高める一端となっている。


「プレイヤーネームは『ティナ』でお願いします!」

「……プレイヤーネーム『ティナ』は重複しておりませんので使用可能です。それでは『ティナ』様で登録致します」


 サービス開始と同時にログインしたティナの名前は無事に登録出来たようだ。


「それでは種族、職業の設定をお願い致します」


 妖精がそう言うと、ティナの目の前にいくつかのスクリーンが現れる。その一つ一つに種族の説明が載っているようで、ティナはスクリーンに目を通す。


 ・人間

 各種族の平均値を持つ種族。特化したものは無いがそれ故にどのような職業でも立ち回る事が出来る。万能ではあるが、やはり専門職と比べるとやや劣ってしまうか。


 ・エルフ

 知性と器用さに長けた種族。魔法士や狩人を目指す人にオススメ。魔法の火力が高く、弓の命中率に補正が掛かる。防御が低く、装備で補助する必要があるか。


 ・ドワーフ

 筋力と器用さに長けた種族。戦闘でもその膂力を駆使して活躍出来るが、その手先の器用さから生産職に向いている。この種族を選んだ場合、種族特性上の為に肌が浅黒くなってしまう。


 ・獣人

 主に敏捷に長けた種族であるが、種類によって筋力や知性のステータスの振れ幅に差がある。この種族を選んだ場合、種族特性上の為に種類毎の耳、尻尾が体の一部として現れる。


 ・☆ランダム☆

 優柔不断なそこのあなたにオススメ! ここでしか手に入らないレア種族も当たるかも!?

 例) 悪魔、天使、竜人 etc……


「ら、ランダムですか……。こんなのは事前情報には無かったですね」


 ご丁寧にわざわざピカピカと光る星に挟まれたランダムの文字。

 正直気になるが、ギャンブル性の高いこのランダム機能を使う輩は果たしているのだろうか。きっとラノベなんかの物語に憧れた少年少女たちが、「もしかしたら!?」みたいな淡い希望を持ってこれを選ぶかもしれないが、そうそうレア種族など当たりはしない。


 ちなみに、この『ESO』であるがキャラメイクしてしまうとキャラの作り直しは出来ないという。例え別のヘッドギアを使ったとしても、受信する脳波からサーバに保存してある脳波を比べてそれが一致してしまうと続きからやり直しになってしまうのだ。


 そこら辺の事前知識は仕入れていたティナは、頭を捻って深く考えてみる。


「うーん、別に月ちゃんみたいにこれがやりたいっていうのは無いですからねぇ。まぁ、私は何でも楽しめるでしょうからランダムにしてみますか!」


 思い切ってランダムにしようと決めたティナは、スクリーン上のランダムと表示された文字をタッチする。


 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!!


 すると、次の瞬間目の前のスクリーンが消えてスロットルのような物が現れる。どうやらこれで止まったものに表示された種族に決まると見える。


 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!!


 なおも回り続けるスロットル。

 ティナの目線は釘付けになっている。


 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!!


 その回転速度はこれっぽっちもゆるまない。


 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!!


「……いやいや!? スロットルちょっと長過ぎませんか!? もう30秒くらい経ってますけどそろそろ止まっても良いですよね!!」


 さすがに我慢ならなくなったティナが声を上げてしまう。


「ハッ!? もしかしてこれはいわゆる確定演出とやらでは!? でも、それにしては地味過ぎませんか? もうちょっとこう、ゴッドな感じだとわかり易いんですけど」


 高校生が言ってはいけないような事を口にするティナちゃん。

 もしかしたら足を運んだ事があるのかも……? とAIの妖精さんの顔が何故か不思議そうな顔をしている。


「もしそうなら強くてカッコイイやつにして下さいよ! ナメクジ族とか嫌ですからね!?」


 ギャースギャースとうるさいティナに、妖精さんの顔が何故かどんどん歪んでいく。


 そんなティナの訴えが通ったのか、ようやくスロットルの速度が落ちてくる。


「やっとですか! さぁ、私はどんなレア種族なんですか!?」


 最早彼女の中ではレア種族というのが確定している様子。

 後はそのレア種族がどんな物になるのかという事しか頭にないらしい。


「えーっと美女神……? や、やったーーー!何か凄そうなのが当たりました!」


 テンションが下がったり上がったりと忙しいティナ。

 しかし、それだけこの『ESO』の事を楽しみにしているという事だ。


「はい、では次に職業を選択して下さい。一覧はこれです」


 何故か妖精さんの対応が先程までと比べて雑なものになっているが、レア種族が当たったティナにはそんな事は気にならないようで、すぐに職業選択に移る。


 ・戦士

 剣や斧などの近接武器を駆使して接近戦を行う戦闘職。


 ・魔法士

 杖や魔法書を用いて魔法を発動して長距離戦を行う戦闘職。


 ・狩人

 弓矢や短剣で敵を翻弄してサポートを行いつつ斥候もこなす戦闘職。


 ・神官

 錫杖を媒体として回復魔法や付与魔法を発動してサポートに徹する補助職。


 ・鍛冶師

 槌で戦闘にも参加できる。仲間の武器や防具の整備や開発を行える生産職。


 ・召喚士

 召喚獣を使役する。召喚獣によって得意分野が分かれる、万能な戦闘職。


「ふむふむ、この中から1つ選ぶんですね。というかここにはランダム機能が無いんですね。もしあったならこの流れでレア職業も当てて見せたんですがね!」


 ドヤ顔でそんな事を宣うティナに、妖精さんが小さく舌打ちをするがティナには聞こえていない様子。一体妖精さんに何があったのか……?


「うーん、この美女神って種族がどんなパラメータに寄ってるのかがわからないですからね。イメージ的に魔法を扱うのに長けていそうなんですが、美しさで皆さんを癒す神官が合っているのかもしれませんし……」


 うーんうーんと頭を捻らせて、熟考するティナ。

 そんな彼女に妖精さんは心の中で、「はよ決めろや」と吐き捨てながら待っている。


「決めました! 私は召喚士を選びます! 女が求めるはやはりモフモフよのう!」


 口調がぐちゃぐちゃになっているにも気付かず高らかに召喚士を選ぶ事を宣言するティナ。ついに妖精さんが小さな声で「うるさっ!」とついつい零してしまう。しかしティナは気付かない。


 そして、スクリーンの召喚士の欄を押して承諾のメニューを押す。


「わかりました、召喚士ね。それでは召喚士を選ばれた方にはこの場で最初の召喚獣をガチャを引いて決めてもらいます。一度しか引けないんでそこのところよろしくです」


 妖精さんの口調も所々で崩れてきている様子だが、『ガチャ』と聞いたティナの思考は既に妖精さんの口調の事など頭に無い。


「よぉ、5年振りだな……」

「いや、さっきしたばっかだし別にどっかの超大型さんでもないでしょ」


 種族は美女神なのだが、思わずどこぞの狩人さんみたいな事を言い出すティナに、これまた思わずツッコミを入れてしまった妖精さんであった。


「とにかく引いて下さい」

「あれ? 妖精さん、そんな口調でした?」

「そんな事は良いから早く引いて下さい。じゃないと強制的にナメクジにしますよ」

「それは嫌です! わかりましたから早く引かせて下さい!」


 ようやく妖精さんの変わりように気付いたティナだが、妖精さんに軽くあしらわれて興味の的を逸らされてしまうのだった。


 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!!


 再び目の前にスロットルが現れて、素早く回すティナ。

 そう言えばどこかでこのスロットルの音を聞いた事があるような気がするティナだが、ふとそれを思い出す。


「そうだ! これって念能力のクレイジースロット……」

「……アンタのような勘のいいガキは嫌いだよ。それと、それ以上は本当に何も言うな。問答無用でオオナメクジにするぞ、おい」


 急に雰囲気が変わって脅しをかけてくる妖精さんに、ティナはただ頷くしか出来なかった……。


「それなら良いけど。ほら、バカな事言ってる間に結果が出たよ」

「本当ですか! どれどれ……?」


 ティナのテンションも急変して、召喚獣の事に意識が持ってかれる。ため息しか出ない妖精さんだった。


 それはともかくとしてスロットルで出た結果と共に眩い光が視界を埋める。そして光が止んできたその中心に現れたのは……。


 煌びやかな金色の背毛を纏う巨大な鹿の体躯で、体には鱗が生えている。頭は二角の龍、足は馬、尾は牛という伝説の霊獣。その名は……。


「き、麒麟(きりん)って……。こんなの聞いてないんですけど」


 虚ろな目をして言葉を漏らす妖精さん。

 どうやら想定していなかった事が起きたようで、内心非常に焦っていた。


 名前: -

 種族:麒麟

 位階:5

 レベル:1

 HP:45/45

 MP:90/90

 STR:20 INT:35 VIT:18

 MND:27 AGI:30 DEX:16


「きゃーーーーー!!! なんかドすごいの来たーーー!?」


 そんな叫びを最後にティナの体を白い光が包み始める。


「ちょ、もう転移!? まだチュートリアルとかしてないんですけど!?」


 いきなりの事に妖精さんも焦りを露わにする。


 そして、ティナは召喚した伝説の霊獣と共に『ESO』の世界、始まりの町『アーカス』へと転移したのだった。


※さすがに麒麟さんの初期ステが高過ぎたので下方修正してやりました。それでも高いと思うんですけど、そこはほら! なろう補正で勘弁して下さい←


読んで頂きありがとうございます!


もし、気に入って頂けたらブックマークして貰えると嬉しいです!

また、ポイント評価、感想も貰えると舞い上がります!


また、出して欲しいパロディネタがありましたら感想欄にて教えて下さい!

ネタを知っていたら参考にさせて頂くかもしれません。


よろしくお願いします。

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