第12話 どうして妾のシナリオ通りの行動をしないのじゃ 作者よ
またもや期間が空いてしまいました。
申し訳ありません。
信用出来ないかも知れませんが、これからは更新できますので、改めてよろしくお願い致します。
ちなみに明日も投稿します。
「あーあ、ルナが拗ねてしまったではないか」
「ちょっと男子~! ルナちゃんが可哀想じゃないですか」
「いや、何勝手にどこの誰とも知らないプレイヤーさん巻き込んでるの? というか、原因はティナだよね?」
ルナの秘蔵の物である魔導書の秘密を暴露してしまったティナに反省の色は全く見えない。
先程、あれだけ見事な土下座をしたというのにどうやら形だけの謝罪であったようだ。
「東京湾に……」
「その脅し文句はもう飽きました。次の引き出しをお願いします」
「ティナは肝っ玉というか何というか……これも付き合いの長さによるものなのかの?」
なんと、ルナの尊厳を踏みにじった癖にこんな事を言うティナ。これにはホオズキも同情をせずにはいられない。
「あーその、ルナよ。気を落とすでない。妾、別にお主が中二的な病に掛かっておっても別に何とも思わんぞ?」
「うぅ……ホオズキぃ」
トコトコ歩いて膝から崩れ落ちているルナの頭を優しく撫でてあげるホオズキ。見た目は幼女そのものだが、こうして見ると何故だか大人の落ち着いた雰囲気を感じる。
「む、言ってなかったか? 妾、こう見えても成人を迎えておるぞ」
「合法ロリktkr」
「ちょっと、一応ここは健全なサイトなんだから、あまりそういう言葉は使わないでよ!」
ここで発覚した新事実、ホオズキが既に大人の女である事に驚愕を露わにするティナとルナ。ちなみに何歳かと聞くと、ホオズキは自身の両拳を握ったまま勢いよく合わせる事で応えた。
「なるほど、21歳ですか」
「わかりづらい! いや、まずネタがちょっと古いから!」
「それはしょうがなかろう? 作者が更新をサボっていて、何かネタないかなーって思ってパッと思いついたのがこれなんじゃから」
「そんな裏事情を明かさなくていいから!?」
という事で、ホオズキちゃんにバラされたように、少しネタ切れで更新サボっていました。お詫びしますすみません。
「作者さん、こんな所でなに謝ってるんですか!! ここは謝罪の場ではありませんよ! するなら前書きにでも書いといて下さい!」
「そうじゃそうじゃ! もっと妾の出番を増やす為に、腱鞘炎になる位に手を動かせ!」
「さっきから2人とも発言が色々と酷い事になってるよ!?」
と、ルナちゃんが過激派の2人を抑えている間に筆を進めようかと思います。
「私に放り投げた!? 折角助けてあげたのに!!」
傷心中のルナに追い打ちをかけるように、次々とボケが重なってくる。
「それはともかくとして、早速モンスター討伐に行きませんか? 私も戦いたくてウズウズしてるんです」
「はぁ……。うん、そうだね。嫌な事は忘れて取り敢えず行こっか?」
「やっと妾の見せ場が来るな!」
言いたい事は山ほどあるが、これ以上広げても益にはならないと諦めたルナはティナの提案に乗った。道中で良い狩り場はないかとプレイヤーに尋ねた所、東の湖が綺麗でモンスターも強いとの事で、バカ2人がやる気を出した為に東へと向かう事にしたのだった。
◇
「風が気持ちいいですねー」
「千の風を感じるのじゃー」
「いや、それ死んじゃってるから!?」
長い問答が終わった後、すぐにアーカスを出て東へ向かった一行。しばらく歩いて見えてきたのは、美しく透明な水面が広がる湖。どうやら教えてもらった場所はここで間違いないようだ。
「「お魚さーん!!」」
「あぁ、ちょっと! 水中にもモンスターがいるらしいから気をつけてよ!!」
目的地に着いた途端、子供のように湖へと走り出したティナとホオズキへ注意をするルナ。
どうやら先程に尋ねたプレイヤー曰く、近づく者に問答無用で噛み付いてくる魚がいるらしいのだが、そんな事はお構いなく駆けていくのが美女神と酒呑童子クオリティなのだ。
「うわ、このお魚さん可愛いです!」
「フグみたいな見た目をしておるの」
「2人とも、あんまり近づき過ぎないてよ。いきなり襲われるかもしれないんだから」
湖の上の方にプカプカと浮かぶフグのような魚。
しかし、見た目に騙されるなとばかりにルナは再び注意をする。
「心配しなくても大丈夫ですよ。こんな可愛い生き物が害を与える訳がありません」
「ティナの言う通りじゃ。ほれ、妾なんかツンツンしてしまうぞ? ほら、ツーンツンっ」
「そんな、おでんツンツンみたいな言い方しなくても……」
調子に乗ってフグ(仮)を好き放題にツンツンしまくるホオズキに便乗して、ティナまでそれに加わってしまう。
「ちょっと、あんまり刺激を与え過ぎると……」
するとルナが何かを言い切る直前に……。
「ギュワアアアアア!!」
「「ギャアアアアア!!」」
「ほら言わんこっちゃない!」
なんと今まで大人しくしていたフグ(仮)が、急にのほほんとした顔を修羅に歪め、文字通りこちらへ牙を剥く。
「三枚おろし!」
「ギュワッ!?」
しかし、襲ってきたフグ(仮)のスピードはそこまで速いものではなかった為、ティナの剣で素早く食べやすいサイズにスライスされてしまった。
「なんて技名! そのままじゃん!」
「オリジナルスキルとして登録されれば良いんですけどね。あのお魚さんがモンスターでこの技が働いたというのなら、他のモンスターに使っても三枚におろせるという事でしょうし」
「いや、その考え方はちょっと違うと思う……」
ティナのぶっ飛んだ発想をすぐにそれはないと取り下げるルナ。だが……。
『新しいスキルが追加されました』
「あっ、何か新しくスキルが増えたみたいですよ」
「え、まさか本当に!?」
「流石にご都合主義が過ぎるのう。羨ましいぞ」
何か通知が来たようで、ティナが自分のステータスを確認する。
「やっぱりありましたよ! 技能欄に三枚おろしがありました!
自身よりも格下か弱ったモンスターを三枚におろす事が出来るそうです!」
「本当に運営やりやがった!」
「わ、妾も欲しい! なんか欲しいのじゃぁ……」
『新しいスキルが追加されました』
「キターーー!!!」
「え、何? レア種族だけこんな簡単にスキルが貰えるの!? ずるくない!?」
ティナに続いてホオズキまでもが新しいスキルを得る事で世の中の不公平を妬むルナ。
「おねだりスキルとかいう物が手に入ったな」
「すごいですホオズキちゃん! やりましたね!」
美女神と酒呑童子がハイタッチをして喜びを分かち合う隣で羨ましそうに見ているルナだが、そんな彼女にも待ち侘びた通知音が聞こえた。
『新しいスキルが追加されました』
「やった! 私も追加されたよ!」
「ルナちゃんおめでとうございます!」
「3人一緒とは……。さては運営め、美少女パーティである妾たちを手放さないように見張っておるな?」
ホオズキが辺りをキョロキョロとカメラを探すかのように見回すが何も見当たらない。
「どんなスキルですか? 私、気になります!」
「どれどれ? えっと、ツッコミ……ツッコミの精度が増す……」
「ぶわっはっはっは! ルナよ、見事にハズレを引きおったな!」
ルナが新しく手に入れたスキルは、ツッコミのキレが増すという物。実に要らない。
「黙れ小娘! お前にルナが救えますか!」
「曇りなき眼で見定めようぞ」
そしてまたいつものようなしょうもない茶番劇が始まるが、そんな2人の後ろから影が伸びる。
スパコーーーーーンッ!!!!!
「「いったあああああい(のじゃ)!!!」」
「おお、本当だ。ツッコミをした時の爽快感が違う!」
そしてこれまたテンプレになりつつあるルナのツッコミがティナとホオズキの頭に炸裂する。
「人の頭でスキルを試すではないぞ、ルナ!」
「ホオズキちゃん、これダメージ入ってますよ!? フレンドリファイアです!!」
思いもよらぬ凶器を手に入れてしまったルナに戦慄する2人。そろりと後ろを振り返りつつルナの表情を窺う。
「これはいいものだ」
「「ひぃえええええええ」」
この日からルナは徐々にティナとホオズキの手網をしっかりと握る事が出来たのだという。
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