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第7話 試作品

更新遅れて申し訳ありません!!



 日曜日。


 朝、目が覚めていつも通り二階の自分の部屋から一階のリビングへ行く。 冷めたご飯がテーブルの上にのっている。いつもと同じだ。 親は共働きで家には誰もいない。 これもいつもと変わらない。 洗面所へ行き、鏡にうつった自分の顔を見る。 今日も相変わらず無愛想な顔だ。 今日もいつもと同じだな。


 …いや、何か違う、いつもと何かが違う気がする…


 なんだ、この違和感一


「暗いわ!」


「ぅわっ!? せ、先輩!?」


 いきなりの怒鳴り声と共に、先輩が背後に現れた。


「暗いのよ! 始まり方が! コメディーでしょこれ!」


 は? コメディー?


 ってかなんで先輩が家にいるんだよ!?


「どっから入ったんですか!?」


「合いカギよ!」


 そう言って自慢げに我が家の合いカギを俺につきつける先輩。


「どーして合いカギなんか持ってるんですか!?」


「つくった」


 平然と答える先輩。


 合い鍵なんていつの間に…


「そんな軽々しく言わないでください。 犯罪ですよ?」


「うるさいわねー 男のくせに」


「男とか女とか関係ありません。 とにかくこれは没収しときます」


 目の前にある先輩の手からカギを奪い取る。


「あ、返しなさいよ〜!」


 両手を伸ばして鍵を奪い取ろうとする先輩。


「ダメです」


「じゃあいいわよ!」


 あれ? 今日はあきらめがいいな。


「まだいっぱいあるし」


「なんか言いましたか?」


「何も言ってないわよ?」


 両手を大袈裟に広げてとぼける先輩。


「そですか。 それで、こんな朝早くから何の用なんですか?」


「知りたい?」


 目をキラキラと輝かせる先輩。


 ああ、嫌な予感がする…


「知りたくないです」


「なら聞きなさい!」


 結局言うんだ…


「今日はこれで遊ぶわよ!」


 そう言った先輩の手には、いつの間にか首輪みたいな物と、携帯電話みたいな物が握られていた。


「…それ、どっから出したんですか?」


「さぁね。 とにかく行くわよ! 5秒で用意しなさい!」


 なんて無茶をマジ顔で言う先輩。


「無理です」


「やってみないとわからないでしょ! さあ早く!」


 先輩が急かすので、俺は仕方なく用意を始めた。


「はぁ、わかりましたよ。 今から用意しま一」


「はい5秒たったぁ! さぁ行くわよ!」


「ぇえ!? ちょ、ま、無理ですって! まだ何もしてな一」


〈ゴン〉 


「ぐぁ!」


 突然後頭部に衝撃が走り、俺はそのまま意識を失った。






「一ぅ…ん?」


「…ぁ」


 目を覚ますと、なぜか目の前に先輩の顔があった。


「…何、してるんですか?」


「ぁ、ゎ、ち、違うのよこれは!」


 先輩は顔を真っ赤にし、すごい勢いで後ろに跳んで俺から離れた。


「何が違うんですか… てゆーかここ、どこですか?」


 周りをみるとそこは近所の公園だった。 公園はそれなりに広く、ブランコやすべり台などの遊具がある所と、何もない芝生のみの広場とがある。


 そして俺は今、芝生の上に寝転がっている。


 あれ… さっきまで自分の家にいたような…


「違うのよ? 私は寝顔がかわいかったからちょっと見てただけで、別にその、キ、キキキ、キスしようとしたとかそんなんじゃないからね? 本当よ? でも、あともうちょっと時間があったら… ふふふ…」


 先輩はなにやらぶつぶつと呟き、一人の世界に入り込んでしまっている。


「先輩、聞いてますか? お〜い」


 完全に無視だな。 なんかこーゆーとこ、モエに似てるかも。


 しかたない、とりあえず起きるか。



 そう思い、重い体を動かしなんとか立ち上がる。


「ぐぁ!」


 しかし立ったのとほぼ同時に頭に激痛が走り、俺はその場に膝をついて崩れた。


「だ、大丈夫!?」


 俺の声を聞き、こっちの世界に戻ってきた先輩が心配して駆け寄ってくる。


「正直、大丈夫じゃないです。 ところで先輩」


「な、何よ?」


「俺に、何かしましたか? 記憶がない上に、後頭部にとても激しい痛みを感じるんですが」


「別に何もしてないわよ?」


「ならなぜ俺と目を合わせようとしないんですか?」


「そんなことないわよ? そ、それより早くこれで遊びましょ!」


 先輩は強引に話題を変え、さっきの首輪と携帯電話みたいなものを取り出す。


「はぁ、ところでそれ、いったいなんなんですか?」


「これ? これはね一」


 先輩は首輪&携帯電話

みたいな物の説明をしてくれた。




「一つまり、先輩の知り合いが勤めてる会社の新商品であるその犬語翻訳(ほんやく)機を実際に使って、ちゃんと作動するか確かめればいいわけですか」


「そーゆこと。 この首輪を犬につけると、こっちの画面に犬の言ったことがでてくるのよ」


「へぇ〜」


 ちょっと面白そうだな。


「じゃあさっそくそこらへんの犬にこの首輪をつけてきてちょうだい!」


 首輪を俺に手渡し、にっこりとはにかむ先輩。


「…やっぱり、俺が行くんですか?」


 まぁなんとなくわかってたけど。


「当たり前じゃない! なんのためにあんたを呼んだと思ってるの?」


「一人じゃ寂しいから」


「ばっ、ばか! そんなんじゃないわよ!」


 あれ、もしかして図星か? いや、先輩に限ってそれはないよな。


「ほら! 早く行きなさい!」


「はいはいわかりました」


 顔を赤くした先輩に急かされ、俺はしぶしぶ犬さがしに出発した。




「いない」


 その後、10分ほど周りを探したが犬はみつからなかった。


 しかたない、先輩の所に戻るか。






「お、シュウやないか!」


 先輩の所へ戻る途中、俺は聞き覚えのある声に呼び止められた。


「ん? なんだカズマか」


 振り返ると同じクラスのカズマが、ジャージのズボンにTシャツとゆーラフな格好で立っていた。


「なんやいきなりひどいこと言うなぁ。 ってかこんなとこで何してるん?」


「見てわかるだろ」


 俺は大袈裟にため息をつき、首を振る。


「あぁ〜アヤカさんか 二人とも本間仲ええなぁ。 んで今日は何させられてるんや?」


「野良犬を捕まえろってさ… ぁ」


 いいこと思い付いた。


「カズマ、ちょっとばかし頼みがあるんだが…」


「ん? なんや?」






「行ってきましたよ」


「遅い! それで犬は捕まえてきたんでしょうね?」


 先輩はこちらには振り向かず、犬語翻訳機をいじりながら返事をする。


「はい、これです」


 そう言って俺は犬、に成り切ってよつんばいになっているカズマを先輩に差し出す。


「わん!」


 カズマの鳴き声を聞いた先輩は、一瞬ビクッとして驚いたあと、ゆっくりとこちらを振り返った。


「…へぇ〜、犬、ねぇ… これが?」


「は、はい…」


 俺はギロリと睨みつけてくる先輩から目をそらす。


「ほれ」


「へ?」


「お手しなさい、お手。 さぁ早く。 犬ならできるでしょ」


「ぅ…」


 先輩はカズマの前に手をだしてひらひらさせる。 しかしカズマは人間としてのプライドが邪魔をしているのか、なかなかお手をしない。


 なんて挑発的な…


「ったく役に立たないわねぇ! ちょっとでも期待した私がバカだったわ!」


 しかしカズマがお手をするより早く、先輩は痺れを切らして立ち上がる。


 そしてカズマを道に転がっている小石でも見るような目で見下し、一言。


「お手もできないなんて犬以下ね! この豚野郎!」


 先輩はどこぞの女王様よろしく、カズマに冷たく言い放った。


「ぶ、豚野郎…やて!? さすがアヤカさん、相変わらずなかなかのドSっぷりやな…」


「……」


 しかしカズマの挑発もむなしく、先輩はカズマを無視してポケットから笛のような物を取り出した。


「ぇえ!? 無視!?」


 無駄に吠えるカズマ。


「なんですか、それ?」


「犬笛よ。 知り合いの人が困った時は使いなさいって機械と一緒に渡してくれたの」


「なら先にだしてくださいよ…」


 俺の努力はなんだったんだ… まぁ別に何もしてないけど。


「忘れてたのよ。 まあみてなさい」


 そう言って先輩は悪ぶれる様子も無く、犬笛を吹いた。 が、何も聞こえない。 確か犬笛って人間には聞こえないんだったよな。


 そして待つこと20秒。


「何もおこりませんね」


「そんなはずないわ!」


 そしてもう一度、先輩が笛を吹いた。


 すると一匹の犬が向こうから凄いスピードで走ってきた。


「おお、本当にきた」


 本当に犬笛で犬を呼んだのか?


 しだいに走ってくる犬の姿がどんどん大きくなっていく。 つまり近づいてくる。


 白い毛に被われた犬だ。 その目はまるで獲物を狙う獣のように異様にギラついている。


 そして俺の目の前、走ってきた犬は減速するどころかどんどんスピードを上げ、そのまま横にいたカズマめがけて華麗に跳んだ。 当然、カズマはそれを避けることもできず一


「グホゥ!」


 奇怪な叫びを上げ、犬もろともに後ろに吹き飛んだ。


 …この犬、今の絶対わざとだよな。


 白い毛の犬はカズマの上ですぐに起き上がり、先輩の足元に行っておすわりをした。


「よしよし、よくきたわね。 あんたは…柴犬ね」



 先輩は犬を撫でながら話しかける。


 カズマのことは無視なのか?


「さぁシュウ、早く首輪をつけなさい!」


「わかりました」


 じっとおすわりをしている犬に首輪をつける。


「つけましたよ」


「よし、じゃあなにか言ってみて、お父さん」


「お父さん!? …もしかしてこの犬の名前ですか?」


「そうよ、白いし柴犬だし」


 まんまパクりじゃないか… ソ○トバンクの。


「さすがにお父さんはマズイです。 他のにしましょう」


「じゃあ……役立たず」


 今、一回カズマを見てから言ったよな。


「ちょぉっと待ったぁぁ!! もしかして役立たずってオレのことっすかぁ!?」


 そう叫びながらカズマは立ち上がり復活する。


「よし! んじゃあんたの名前は、ナメ太郎にしましょ!」


「無視!?」


 カズマはそのまま四つんばいになって崩れた。


 忙しいやつだな。


 てゆーかナメ太郎って… かわいそすぎるだろ。


「ワン」


「「あ」」


 吠えた。


「なんて言ったんですか?」


 先輩の横に行き、機械の画面を覗き込む。 すると画面にピピッっと文字が出る。


『あぁ… 地球、滅びねぇかなぁ…』


 こわッ!?


 何言ってんだこの犬!?


「…これ、言ってること合ってるんですか?」


「ええ… 知り合いの人が間違えることはないって言ってたわ」


 ってことは本当か…


「犬が地球の滅亡を願うなんて、世も末やな」


 突然、先輩と俺の間にカズマの顔が現れた。


「ひゃ!? ぁ、あんたいつの間にか復活したのよ!?」


「今っす。 にしてもこんなこと言うなんてナメ太郎、お前…なんかあったんか?」


 カズマは優しくナメ太郎に声をかける。


「ワン!」


 ぉ、返事したのか。 なになに…


 画面を覗く。


『うっせぇ! 馴れ馴れしいんだよ!


 ぅわ… 荒れてんなぁ、こいつ。


「まぁ落ち着けよ、オレでよかったら愚痴聞いたるで?」


 それでもカズマは優しく声をかける。


「わんわんわん!」


〈ピピッ〉


『しつけぇんだよこのエセ関西人が! ちゃんとした関西弁話せ!』


 やば、この犬… カズマが気にしてることを…


「こんのクソ犬ゥゥ!!」


 キレたカズマは犬に飛び掛かろうと腰を落として狙いを定める。


「ちょ、待ちなさい! 犬の言ってることを真に受けてどーすんのよ?」


 しかしカズマは先輩の言葉で動きを止める。


「た、確かにそーっすけど…」


「そんなことくらいで怒るなんて本当に犬以下よ?」


 確かに。


「…で、ですよね!? たかが犬の言うことやしな! そや! オレは人間やから犬の言うことなん気にしゃんでぇ!」


 カズマは自分に言い聞かせるように何度もそのセリフを繰り返す。


「わんわん!」


「今度はなんや? ま、オレは犬の言うことなんどーでもいいんやけどな!」


 カズマは無駄に声を大きくして言いながら、画面を見る。


『情けねぇなぁお前。 男のくせに女の言うこと聞いてよぉ。 それでも男か? ちゃんと《ピー》ついてんのか? どーせついててもも小さいんだろ? ピー野郎!』


「「ぅゎ…」」


 先輩と俺の声がハモる。


 この犬… かわいい顔してなんてことを… ぁぁやばいぞ、カズマからどんよりとした変なオーラが一


「一一一一コロス」


「え? 今何て言っ一」


「キエェェェェェ!!!」


 カズマは目をギラリと光らせ、ナメ太郎にまた飛び掛かろうとする。


「カ、カズマ!? まて! 落ち着けって!」


 暴れるカズマを後ろから羽交い締めにして押さえこむ。


「はっなっせっ!! おいクソ犬ゥ!! お前も男やったらわかるやろ!! そこは全然汚したあかん男の聖域なんや!! 絶対にふれたらあかんのや!!! それとなぁ!! オレの中学の時のあだ名はジャン棒や!!!!!!」


 俺の腕の中で暴れながらカズマは叫ぶ。


「な!? カズマ、お前…」


 そのあだ名は封印したんじゃなかったのか!?


「はぁ… はぁ… ハッ!?しもた!? つい頭に血がのぼって…」


「「………」」


 俺と先輩は言葉を失い、沈黙状態。


「あの、ぇと… アヤカさん?」


 沈黙に耐え切れず、先輩に助けを求めるカズマ。 すると先輩は、


「ぶっ!」


 いきなり吹いた。


「あはははは!! じ、ジャン棒? あはは! ゃ、やめてぇ!! お腹痛い!あはははは!!」


 先輩はお腹をおさえて大笑いしだした。


 まぁ、しかたないよな…


 カズマは笑われたのがショックなのか、声を出さずにピクリとも動かない。


 俺はとりあえず先輩が落とした機械を拾い、何気なく画面を見る。 すると新しく文字がでていた。


『なんだ… その、悪く言ってすまなかったな』


 謝ってるし…


「おいカズ一」


「く、くっそぉぉ!!」


 俺が声をかけるのと同時に、カズマは叫びながら急に走りだした。


「おいカズマ!? ぁあもう… 先輩、追いかけなくていいんですか? 笑いすぎですよ」


「あはははは!! む、無理! あははは! お、お腹痛いぃ〜!」


 お腹を押さえ、転げ回って笑う先輩。


 カズマ、かわいそうに…


 俺がカズマの走って行ってしまった方向を眺め、ぼんやりしていると、犬が足元まで歩いてきた。


「ん? なんだ?」


「わん!」


〈ピピッ〉


 画面を見る


『人間って、大変だな』


「ああ、お前は気楽でいいな…」


 ……はぁ、帰ろ。


 俺はいつまでも笑い転げてる先輩を公園に残し、帰路についた。



なんだか自分の文体がわからなくなってきた…


キャラも不安定だし(´Д`)

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