第6話 新キャラの季節
クラスに一人はいるお調子者。
「どしたんや〜? えらい変な顔して」
それがこいつ、谷口 和馬だ。 同じクラスで、中二の時に俺が通っていた中学に転校してきて以来、ずっと親友をやっている。 親の都合で何回も引越しを繰り返してるせいか、喋り方が変だ。
昼休み。 俺が購買で買ったパンを食べていると、カズマが喋りかけてきた。
「別に普通だ。 あと変な顔はしていない」
「おっとわるいわるい。 変な顔やなくて暗い顔やった」
カズマは俺の前の席に後ろ向きで座る。
「どーやったらそんな言い間違いするんだよ」
「まぁ気にすんなよ。 ってか今日はアヤカさんのとこ行かへんのか〜?」
俺のパンを奪い、食べようとするカズマ。
「別に俺が行ってるんじゃなくて、俺が行くところに先輩が現れてるだけだ」
それをさせまいとカズマの手からパンを奪い返す。
「それって一緒ちゃうん?」
パンを奪い返され、諦めるふりをしてもう一度パンを奪おうと手を伸ばすカズマ。
「全然違う。 別に俺はっと、あんパンはやめろ!」
「ふふふ… このあんパンの命が惜しくば、代わりにそのいちごジャムパンをよこすのだ」
「チッ しかたない」
俺は人質にとられたあんパンを助けるべく、しかたなくいちごジャムパンをカズマに渡すことにした。
「サンキュ! てかさ、前々から思ってたんやけど」
パンを食いながら起用に話すカズマ。
「シュウ、お前はツッコミのスキルを手に入れた方がええと思うねん」
な!? ツッコミって… こいつ、昨日の先輩と俺の会話聞いてたのか?
「急にどーしたんだよ?」
「いやな、前からずっと思ってたんだけどタイミングがなかなかなくてな」
カズマまで俺にツッコミをしろいうのか…
「そうなのか… ツッコミって、難しいか?」
「お、食いついたな。 ツッコミできるようになりたいか?」
なぜかマジ顔のカズマ。
「ま、まぁちょっとくらいなら…」
「ほな行くで! ツッコミの練習や!」
そう言うとカズマは持っていたパンを口に押し込み、勢いよく立ち上がった。
「行く? ってどこに?」
「んなもん決まっとるやないか!」
こうして訳もわからないまま、俺はカズマに拉致られた。
「着いたで」
俺がカズマに連れてこられた場所、そこは一
「なぜ、屋上なんだ?」
屋上は基本的に立入禁止だ、前までドアにもカギがかかっていた。 なのでまずここに来ようなんて思うやつはいない、はずなんだが…
なぜここのカギが空いてると知ってるんだ?
「練習といったら屋上やろ?」
いや、違うだろ。
「で、お前はいったい何がしたいんだ?」
「ツッコミの練習に決まってるやん!」
…そーなんだ。
「練習って… 何するんだよ?」
「ん〜 そやなぁ〜 今からオレがボケるからそれにツッコんでくれ!」
「どーやってツッコんだらいいんだよ?」
「んなもん適当でええねん!」
「わ、わかった」
なんでこいつこんなに張り切ってんだろ… ちょっとうざいかも。
「よっしゃボケるでぇー! ってなんかめんどくさなってきたなぁ、やっぱやめへん?」
「は? 別にやめるならいいけど」
「このドあほ!!!」
「ぐぁ!」
急に俺を殴りとばすカズマ。
「何すんだよ!?」
「とんだおとぼけさんやなぁォイ」
カズマは倒れた俺に馬乗りになり、俺の胸ぐらをつかんで少しだけ引き寄せる。
「ちょ、顔が近い」
「今のはなぁ、今のは」
だめだ全然話を聞いてない…
「今のはボケやぁ!!!」
俺の顔の前で力いっぱいに叫ぶカズマ。
うわ!? 唾が!? 汚ね…
顔中に唾をとばされ、へこむ俺を無視してカズマは語り出した。
「今のはな、オレがボケるぞ! って気合い入ってたのに、急にやる気なくなったんに『どないやねん!!』ってツッコむとこやろ?」
そーなのか、ってわかるか!?
「とりあえずその、すまん」
「まぁまだシュウにはレベル高すぎたかもしれんなぁ。 ってもうこんな時間やないか!? 授業始まってまうで!」
何もない腕を見ながら慌てる仕草をみせるカズマ。
腕時計のつもりなのか? ならツッコまないとな。 よし。
俺は起き上がり小さく気合いを入れ、全力でツッコんだ。
「それ、別に腕になんもついてな一」
〈キーコーンカーンコーン〉
しかし俺の全力のツッコミも、昼休みの終わりをつげるチャイムにより消失した。
「………」
「………」
「……さ、戻ろかな。 まぁ続きはまた今度な!」
そー言ってカズマは屋上を出て行った。
ったく、どーしてこーどいつもこいつも自分勝手なんだ…
「…やば」
俺も遅刻じゃねーか。
ども、ミンチです。
新キャラですね。
いや、別にそれだけです(´ω` )