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第5話 個性ってなんだ?

「平和だ」


 最近、昼休みは屋上でダラダラするのが日課になっている。


 今日も屋上で大の字に寝転び、空を眺めながらゆったりしている。


 どーせすぐに騒がしくなるんだ、今のうちにこの平和な時間を満喫しよう。


「シュウ!」


 噂をすればなんとやら、屋上のドアを勢いよく開け、先輩が現れた。


「今日も元気ですね」


「ええ、それよりもあんたには失望したわ!」


 寝転んでる俺の顔を先輩が覗きこんでくる。


「はい?」


「昨日のことよ!」


 昨日のこと、といえば…


「先輩がモエと俺を無理矢理デートさせたやつですか?」


「そうよ!」


「それがどーかしたんですか?」


「私はベタが嫌いなの」


 誰も先輩の好き嫌いなんて聞いてない。


「そうなんですか。それは知りませんでした」


 眠いので適当にあしらう。


「まじめに聞いてんの!?」


 先輩の額にシワが集まる。


 やば、ちょっと怒り気味だ。


「聞いてますよ。 いったいなんなんですか?」


「なんなんですか? じゃないわよ!」


 むかつく感じに俺のセリフを繰り返す先輩。


 もしかして今の、俺のマネか?


「とにかく! 私はシュウが最近ならお約束というくらい多い、女の子の気持ちが全然わからない鈍感主人公だったってことに失望してるの!」


 は!? シュジンコウ? なんだそれ!?


「すいません。 言ってる意味がよく一」


 俺はそう言いながら上半身を起こす。


「うるさい! あんたには個性がないのよ! 主人公は個性が命! あんたは地味よ、地味!」


 俺を勢いよく指差す先輩。


 ぁあ先輩、あなた今思いっきり俺の目ついてますよ。


 てゆーか、


「地味って…」


 ちょっとショックだったりして…


「あんたもちょっとはね、撲殺なドクロの宮○君なり、憂鬱な○泉なり、ラッキーな白○みのるなりを見習いなさい!」


「あの、それ全部主人公じゃない気がするんですけど…」


「細かいことは気にしない!」


「はぁ…」


 くそ、なんか悔しいな。


「個性がほしかったら必殺技でも身につけなさい!」


 先輩が人差し指をひらひらさせながら、またトンデモ単語を言っている。


「必殺技、ですか?」


「そうよ、一流の執事たるもの、必殺技の一つや二つ持ってて当然よ?」


 あぁ、話についていけない… 執事とか訳わかんないこと言ってるし。


「あの、そもそも個性なんてどーにかできるもんなんですか?」


 先輩は俺の質問を鼻で笑い、


「甘いわね! そんなもんどーにかするに決まってるじゃない!」


 さも当然のように言い放った。


「なら、どーすればいいんですか?」


「そうね… 語尾になんかつけてみたら?」


「例えば?」


「ござるとか」


「嫌ですよそんな武士みたいな語尾」


「じゃあニャン」


「ベタです」


 ベタは嫌いなんじゃなかったのか?


「ん〜 星ならどう?」


「星?」


「それなら誰もやってないでしょ?」


 そりゃそーだろ。


「星なんて語尾につけてもなにも変わらない気が…」


「あんたなにか勘違いしてない?」


「なにがですか?」


「星は星でもこの星よ」


 そう言って先輩は屋上に落ちていた石で壁に『☆』の絵を描いた。


 ああ、星マークのことか。


「じゃ、さっそく言ってみて」


 相変わらずすごい無茶振り…


「星マークの発音なんてできません」


「ぇえ!? ほんとに言ってんの!?」


 いや、そんなびっくりされても。 できなくて当然だから。


 ……できないよな? 普通。


「ほんとです。 そもそもこの世に星マークの発音なんてできる人がいるんですか?」


「いるわよ」


 まじかよ…


「そんなおもしろ人間、どこにいるんですか?」


「後ろ」


 俺の後ろを指差す先輩。


「へ?」


 俺は後ろを振り返る。


 そんなベタな展開があるわけ一


「ぁの、こんにちは」


 いた。


 モエがいた。


 セミロングの髪を左右で二つくくりにしたモエがちょこんと立っていた。


「お前… いつからそこにいたんだ…!?」


 するとモエは相変わらずの甘い声で、


「シュウくんが『平和だ』って言ってたところからですぅ」


 と言った。


 始めからじゃねーか… 全然気付かなかったぞ。


「それで… 星マークの発音ができる人ってモエのことですか?」


「そうよ、さぁモエ、あのセリフ言うのよ!」


 先輩はビシッとモエを指差した。


 するとモエは一度深呼吸したあと。 口を開いた。


「いきます! きゃあ!? さ○ら君の体がバラバラになっちゃった! ぴぴるぴるぴるぴぴ○ぴ〜☆」


 どこから取り出したのか、木の枝を振り回しながら例の呪文を唱えるモエ。


「ぅゎ…」


 あいたたたぁ〜 さすがにこれはちょっと…


「そ、そんな目でみないでくださぃ〜 モエは、モエはがんばりましたよぉ! ぅ…ぅわぁぁぁん!」


 モエは泣きながら屋上から出て行ってしまった。


 あいつ、いったい何がしたかったんだ?


「最低ね」


「ぇえ!? 俺のせいすか!?」


 先輩が冷めた声で呟く。


「まあいいわ」


 いいのか!?


「先輩、もう語尾はあきらめましょう」


 語尾なんて元からつける気なんてないし。


「そうね、他の手を考えましょ」


「まだやるんですか!?」


「あたりまえじゃない」


「めんどくさいんでいいですよ。 それじゃ俺は教室に戻ります」


 変なこと言わされる前に早く逃げないとな。


 教室に戻ろうとドアに向かって歩きだそうとすると、先輩が俺の肩を掴んだ。


 あ、なんかデジャブ。


「わかったわ!」


 俺の前に回りこんでくる先輩。


 …顔が近い。


「なにがですか?」


「シュウに足りないものよ」


 俺に足りないもの?


「なんです?」


 どーせ野菜とかくだらないこと言うんだろうな。


「たまには自分で考えてみたら?」


 うわ、顔がマジだ。


 俺に足りないものか…… ぁ、


「わかりました」


「なに?」


「優しくてまともな先輩です」


「………」


 黙って睨んでくる先輩。


 なんて眼力、それにすごいプレッシャーだ…


「なんかすいません…」


 先輩を怒らすと後が恐いからな。


「わかればいいわ。 ちなみに答えはツッコミよ」


 ツッコミって、ボケとツッコミのツッコミか?


「あのツッコミですか?」


「そう、シュウのポジションはツッコミ以外考えられないのよ!」


 ポジションってなんだよ…


「でも俺ツッコミなんてできませんよ?」



「だから言ってんのよ。 できるなら足りないとか言わないわ! それでツッコミの先生を用意したわよ」


「またですか?」


「ええ、後ろにいるわよ」


「またか!?」


 俺はシュバッと後ろを振り返る一


 が、そこには誰もいなかった。


「うそよ。 残念ながらツッコミの先生はみつからなかったわ。 それは自分で勉強してちょうだい」


 肩をぽんぽんと叩きながら言う先輩。


「………」


 なぜそんなくだらない嘘をつくんだ…


「んじゃ戻るから」


 そう言って先輩は屋上を出て行った。


 …くそ、なんだこの敗北感は。


 すっげぇ負けた気がする。






 ツッコミか… 考えておこう…



 あ〜 誰か感想とか評価とかアドバイスとかしてくれないかなぁ…




 ぁ、どーも僕です。


 さぁ! どんどん更新していきますよ〜!!!

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