表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望から魔族の王へ  作者: キラ
序章
1/37

転生

私は水城みずき あかね

高校二年生、自分では静かな方だと私は思っているけど。

「私って静かな方だよね?」

って仲の良い友達に聞くと

「茜が静かな方なら、このクラスに騒がしい人なんて一人もいないよ。」

何て言われてしまいます。

それと私には、同じクラスで委員長をしている、山城 綾人 (やまじろ あやと)という名前の彼氏がいます。

高校一年生の時に

「僕と付き合って下さい!」

なんて、直球で素直な告白なんだろうと思いながらも口頭で伝えてくれた事は嬉しかったので、付き合うことになった。

それから今まで付き合ってきて、私も綾人の事が好きになっていった。

リーダーシップがあり、クラスを上手くまとめるところとか、優しい所とか。

綾人の良いところを挙げていくとキリが無い。

って私、何恥ずかしい事考えてるんだか。

何故私がこんな事を考えてるいるかというと今が、朝のホームルーム中でとても暇だから。

委員長の綾人が司会をして進めていた。

綾人を見ていると、ふとそんな事を思ったから…

「バタン!!」

と音を立て、ドアを背もたれにして立っていた担任の先生が倒れたと思ったら綾人も。

クラスメイト達が次々に気を失っていく。

どうしたのかと考えていると、息すら出来ないような、激痛が私の体の自由を奪っていった。



ふと目が覚めると私は土の上で横たわっていた。

周りを見回すと人では無い何かが沢山いた。

ケタケタと音を鳴らしている骸骨。

こう言うのなんだっけ…

思い出した。

スケルトンだ。

他にも色々いる。

体の中に小さな結晶の入ったスライムに小さなドラゴン、一角獣の様な角がついた狼なども。

まさかと思い、自分の体を見てみると、全身緑色だった。

しかも、額を触ると小さな角が一対生えていた

私、ゴブリンになっちゃったかもしれない。

というか、確実にゴブリンになってる。

ということは、スケルトンも小さなドラゴンも私と同じクラスだった、クラスメイト⁉︎

「綾人ー 何処ー いたら返事してー」

綾人を読んだつもりなのに別の国の言葉を言っている。

例えるなら、頭では日本語でおはようと言ったのに、口は英語でHelloと勝手に言ってしまっている感じに近い。

「茜か? 僕はここだ。」

初めて聞いた言葉について考えてると、聞いた事が無い言語が聞こえた。

聞いたことのない言葉なのに、何となく意味が分かるのはどうしてなのかな。

ともかく綾人のところに行ってみよう。



「綾人。 綾人なのよね?」

「君こそ。 茜なんだね?」

綾人は私と同じゴブリンになっていた。

同じ種族だから言葉が通じているのかな?

「綾人。 この闘技場のようなところは何処なのかな。」

「信じられないけど、茜。 僕達は異世界に来てしまったみたいなんだ。」

「何を言ってるの。 そんな事あるはず無いじゃない。」

「落ち着いて、周りを見てみて。」

綾人に諭されるように私は周りを見た。

闘技場のような場所。

闘技場の入り口から外に出ようとするクラスメイトは不思議な力で闘技場の中央まで吹き飛ばされる。

「茜。 ここは日本でも地球でもない何処かなんだ。 今はこの世界で夜とされる時間なんだろうけど地球なら夜といえば、星と月が見えるよね。」

私は、空を見上げた。

けれど、月が見えない。

星は見えるのに、雲がかかって見えない訳でもない。

「月が無い…」

「それに、僕たちがゴブリンやスケルトンなんかに変わっている事が、もうすでに可笑しいことなんだよ。」

「綾人。 私、怖いよ… もう、元いた世界に帰れないのかなぁ。」

「茜。 大丈夫。 帰れなくても、僕はずっと一緒にいるから。」

「ありがとう。 綾人。」


「ケタケタ? ケタケタケタケタ。」

「ガウガウガウゥ。 ガウォーーン。」

「ピギャ!!ピー。」

みんな、凄く困惑してるのが分かる…

なんとかしなくちゃいけないのに言葉が伝わらない。

「綾人。 みんなが…」

「茜。ここは僕に任せてよ。」

綾人は土に日本語で静かにとメッセージを書き、手で大きな音を鳴らし、みんなの注目を集めた。

綾人がメッセージで騒いでても意味がないことを伝えると次第に静かになっていった。

綾人が次のメッセージを書いていると、コロッセオの観客席に数人のキラキラな物で着飾った人がいた。

まるで中世の貴族みたいだな。と思った。

しかし、その人達の言葉で私と綾人は、衝撃を受けた。

「枢機卿殿がキメラの性能を試すというのでもしかしたら、人間が犠牲になるのかと思っていたのですが、魔物でしたか。 私達も人間ですので人間を犠牲にするのは、少し心が痛んだんですが。 魔物相手なら痛む事もありませんな。 流石、枢機卿殿。」

「森から転移魔法で転移させようとしたのですがね。 魔法が少し暴走したんですが魔物だったようでほっとしておりますよ。」

「そうなのですか。それよりいつキメラの性能実験を始めるのですかな?」

「只今から行いますとも。」

えっ? あの枢機卿とかいう奴のせいで私達魔物にされたの?

何それ。 すっごい迷惑なんですけど。

性能実験? それって何? 私達は殺される為だけにここに呼ばれたの?

「綾人。 みんなに逃げろって伝えなきゃ。 みんなの反応から、あの人達の言葉を分かってるの、私達だけだよ!」

「そうだね。 茜。」

そういうと綾人はすぐに逃げろとメッセージを書いた。

書き終わったと同時に闘技場の入り口の扉が開いた。

扉が開くにつれて、どんどんとキメラとかいう生き物が見えてきた。

別の種類の魔物と魔物とを無理矢理繋ぎ合せたような生き物。

「あれが、キメラ。」

「茜。 今は逃げる事に集中するんだ。」

綾人は私の腕を引っ張りながらキメラとは逆方向に走り出した。

「ガヴァーーー」

キメラが叫んだ。

これからが地獄の始まりだった。

読んでくれてありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ