Ⅱ
ソフィアは似ていると言われた肖像画の前まで来ていた。
着ているドレスや宝石を除けば確かに似ていると思った。目元や口元がそっくりでソフィアは不思議な感覚になった。こんなに似ている人がいるのだろうか?
孤児だったし誰にも聞けない。
孤児院のお母さんも詳しいことは分からないと言っていた。
ソフィアは肖像画を眺めながら呆然とした。
「ソフィア?どうしました?」
レビンが側まで来ていたのに全く気付かなかった。ソフィアの心臓がドクッと鳴って手を胸に当てた。
「あ。サ、サミル様がこの肖像画が私に似ていると仰っていたので見ていました」
「ああ。私も最初あなたを見たときはびっくりしました。本当によく似ている」
肖像画を見つめるレビンの目がすっと細められる。ソフィアはレビンの横顔に見惚れてしまう。心臓が聞いたことがないくらい早く鳴っている。苦しいくらいに。
「ソフィア、生まれはどこですか?」
「実は私、孤児院で過ごしてきたので何も分からないのです」
二人の間に沈黙がおちる。
「では、もしかするとユリーシャ様の娘ってこともあるかもしれないな」
「ユリーシャ様?」
「あ。この肖像画の姫様だよ。ユリーシャ様。私の父親の妹で、十五のときに庭師と恋仲になって猛反対されてね。小説にありそうなことが本当になって。庭師とかけおちしちゃったってわけ」
「どこにいるのか分からないのですか?」
「当時は凄い人数の兵士を使って探させたらしいけど、手がかりもなくて。兵士もだんだん割けなくなって一年ほどで捜索は打ち切られたらしい」
ソフィアは肖像画を見た。今も幸せに暮らしているのだろうか。
「そうそう。サミルの遊び相手引き受けてくれてありがとう」
レビンがソフィアにきちんと礼をする。
「レビン様。私なんかにそんなに頭を下げないでください」
ソフィアは狼狽えた。王族の方がこんなに簡単に下々へ頭を下げるものなのか?
「そんなことはないよ。誰にでも挨拶は大事だよ」
にこっと笑うレビンはとても素敵で、胸に温かいものが広がった。
「あ、ありがとうございます。明日から頑張ります」
「そんなにかたくならなくていいからね。ゆっくり仲良くなってもらえれば」
「はい」