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薔薇と迷宮  作者: 仁美
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第8話 ~一時の休憩~

『リオ、待ってよ!』


『ん?ごめんね、   。疲れた?』


『んーん、大丈夫!』


『絶対ここから出ようね!

 約束だよ、   !』




金髪の女の子と一緒に居る懐かしい記憶

でもよくわからなくて・・・


悲しいような、そんな感じ



「・・・ん・・・」



微睡みの中、ゆっくり目を開ける

見えたのは薄暗い天井と

隣に座る、ギャリーの腕




「ギャリー・・・?」


「リオ!目、覚めたのね!?

 良かったわ。心配したんだからね!!」


「・・・ごめん、なさい・・・」




素直に謝ると、ギャリーは僕の頭をクシャリと撫でた

それが妙に心地よくて・・・

ずっとされていたいと思う


そういえば・・・

ふと脳内を過ったのはさっきから見当たらないイヴの事



「イヴは・・・?」


「向こうで眠ってるわ。

 さっきの廊下に来たら急に倒れちゃって・・・

 きっと疲れたんでしょ。」


「そう・・・」


「ここに寝かせて後

 戻ってみればアンタが倒れているんだもの。

 ビックリしたわ。」



全く、心臓に悪いわ

と、ギャリーはため息をついた

もう口から出るのはこれしかない



「マジ、すいませんでした・・・」


「いいのよ。今こうして生きてるんだし。

 それより、もう少し休んだら?」


「大丈夫。イヴが何時起きるか分からないし。」


「・・・ふふ、なら御話しましょ?」


「ん・・・」




イヴを起こさない様に部屋の隅に移動

上着が無いギャリーは緑のタンクトップ姿で

意外にも引き締まった身体を晒す


それを凝視出来る程、僕は男に慣れて無い

なので膝を抱え顔を埋めた




「・・・。」


「・・・何か言いなさいよ。」


「・・・ギャリーって、何故そんな口調なの?」


「いきなりね・・・気付いたらこんな口調よ?

 かと言って男が好きとかじゃ無いけどね。」



うふふ、と笑うギャリーは

如何見てもそちら側だと思ってました

それを言う勇気は無いし

はぐらかす様に質問を突き付ける



「じゃ、ギャリーは誰と住んでるの?」


「あらやだ。聞いちゃう?

 独りよ、独り。寂しいわよね。」


「羨ましい、な。」


「え。何処がどう羨ましいのよ。

 見た所イヴもアンタも上質な布を使った服を着てるし

 良いとこの御嬢様、でしょ?」


「そんなお嬢様でも“良いとこ”の出じゃ無いよ。

 けれど、まあ。ギャリーの服よりマシかな。」


「な、これはこう言うデザインなのよ!

 最初、よりはボロボロだけど・・・」


「クス・・・」


「もう、笑わないの!

 でもリオって笑うと可愛いのね。」


「はい?」




耳を疑う

「可愛い」だなんて初めて言われた

みるみる熱をもつ頬が馬鹿らしくて

少しだけ上げた顔を深く膝に埋め左右に擦る

ギャリーの、馬鹿




「・・・照れちゃったの?」


「ち、違うよ。」


「・・・嘘が下手ね!」


「う、煩い!」




一向に引いてくれない顔の熱

少し治まって来た頃に口を開く




「ねぇギャリー。ギャリーは怖く無いの?」


「何が、かしら?」


「この意味不明な世界。僕、思ったんだけど・・・

 イヴの両親の絵、有ったじゃない?

 もしかしたら、僕達は絵の中に居るのかなって

 2人は絵を見てて、僕達はその2人の姿をって・・・イヴには内緒だよ?」


「アンタの発言で怖くなったわ・・・」


「え、嘘。ゴメン!」


「うふふ、半分嘘。

 アンタ達が居るから怖く無いわ。」




なんて言われ、殴りたくなったけど

この笑顔のせいで殴る気は失せてしまった




「っぁ・・・」



ガバリ

布が擦れる音が響く


イヴが目を覚ましたんだろう

真っ青な顔をしてギャリーのコートを掴む

急いで隣に行き座りギュっと抱き締めた



「怖い、夢を見たの・・・」


「そっか、もう大丈夫だよ?」


「無理もないわね。

 あんな怖い目にあっちゃったら。」



ガタガタと、震えが止まらない

この世界よりもっと恐ろしい夢を見たのかな

最初に苦しそうだと気付いていたのに・・・




「・・・1回、起こせば良かったね。」


「・・・ううん。」


「あ・・・ねぇ、イヴ。

 そのコートの左側のポケット、探ってごらん?」




ギャリーが言うと、頷きポケットを探るイヴ

すると黄色い包装紙にくるまれたキャンディーが出て来た

みるみると震えは止まり、子供らしい表情に戻る




「・・・ありがとう、ギャリー。」


「良いの、良いの。

 さーてと、準備が出来たら行きましょう?」


「よかったな。」




ギャリーが扉に向かう

僕はイヴの頭を撫でる

イヴは貰ったギャリーをポケットにしまった




「食べないの?」


「出てから、食べるの。」


「そっか。」


「あ、これ返して来るね。」




イヴはすっかり回復した様で

倒れる時より顔色が良くなってる

ギャリーのコートを叩き、彼の元へ走る


僕はあまり探索をして無かった室内を見る事にした


飾ってある絵の題名は『無題』

題名は無題と付けたのか、名前が決まらなかったのか・・・

ま、どっちだって良いな


絵の近くの柱に注意書きを発見

イヴとギャリーが会話をしてる間に読む


“大声での会話は禁止

 写真の撮影は禁止

 飲食の持ち込みは禁止

 作品に触れることは禁止

 万年筆の使用は禁止

 ここから出ることは禁止”



・・・ん?最後は何て?

ザッと読んでしまったから読み間違えたのかな?


出ることは禁止って

安心出来る部屋何て嘘だった


僕は再度確認する為に注意書きを見る

あれ、おかしい

注意書きの最後が変わってる


“館内で走るのは禁止”になっていた

きっと見間違いなんだろう・・・




「なーに?ヤキモチかしら。」


「ち、違うもん!

 ギャリーと違って、リオと沢山お話出来る、もん!」




向こうは何やら揉めている様子

こんな状況なのに何してるんだか・・・

ま、微笑ましいし、和むんだけどね



「何の話してんの?」



2人の間に割る様に入った

注意書きの事は気にしないで置こう

準備も終わり先に進む事にした




和みの一時でした。

これから先もホラー満載なので、こんな一時休憩場所があって嬉しかったです!


次話、紫の間に入ります!


感想等頂けたらとてもうれしいです!

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