第6話 ~灰色の間Ⅲ~
マネキンだらけの通路を抜けてきた部屋は
まぁ、扉がたくさんあるよね・・・
ざっと見て回って5つ?
どれも鍵が掛かっていて開ける事が困難
1つは部屋に飾ってある女性の絵の枚数だったが・・・
一回りした時、数えていて正解だった
14枚っと・・・
んでもさ、追い駆けてくる彼女たちも絵に含んでいいのか?
「アンタ、そんな事考えてないで真面目に走りなさいよ!」
え?今何してるかって?
例の追い駆けてくる彼女たちから逃げてます!
イヴとギャリーが「吊るされた男」の絵を見ている間
僕は囮として彼女たちに追い駆けまわされているのです!
絶賛逃走中(笑)
「分かったよ!」
「あ、じゃぁさっさと入力してくださいな。」
「・・・開いたわ!」
ドアを開けて中に入って待つ2人
僕はそこ目掛けて全力疾走っ
滑り込んで、同時にドアを閉める
走った勢いで閉めた為、結構大きな音がした
バタムっ
「ぜぇ、ぜぇ・・・何だ、ここ。」
「花瓶にキャンパス?」
「椅子、動かない・・・」
入った部屋には花瓶が描いてあるキャンパスと
机に乗った花瓶・・・
それのみが置いてあった
イヴが必死に椅子を押すがビクともしない
それに・・・
「・・・不自然だ・・・」
「え?」
「何処が不自然なの?」
「この瓶を描いているのに距離が近いのさ。
普通、もっと奥に置かない?」
「そう言えばそうね。」
「幸いこの机は動くみたいだし・・・
元の位置に戻してみる。」
そう言って僕は机を押して
おそらくこの場所であろう所に移動させた
すると、何処かでカチリと音がしたのだった
もしかして、何処かのドアが開いたのかな・・・
「今、音がした。」
「うん、きっと何処か開いたんだよ。」
「確かめに行きましょう?」
扉を開いて外に出る
すぐ隣のドアを回すが数字を入れないと開かない
そこは、さっき数えてきた為
僕が入力する
「ココじゃないみたいだけど。
一応、空けてみた・・・」
「いつの間に・・・」
「やっぱり、リオ凄い。」
「ほらほら、入る。」
ギャリーの後ろから彼女たちが追って来ていた
2人はそれに気づかずに和やかに話しているので
押し込んで、ドアを閉める
壁に嫌な注意書きが見えた
この様子だと気付いて無いのかな?
イヴには見えない位置だし
“作品にはお手を触れぬようお願いいたします。
万が一備品や作品に何らかの損害を与えた場合は
あなたの命を持って賠償させて頂きます”
書かれた意味が何と無く理解したく無いけど分かる
普通じゃ有り得ない注意だけれど
薔薇の花の事だとか見てれば分かる事
ヒント探しも終わった様出し部屋を出る事にした
「・・・うわっ。」
部屋の扉を開けて直ぐ、ギャリーが叫ぶ
そしてイヴは僕の手を強く握る
悲鳴の原因は扉の隣にあるマネキンの頭
この部屋に入る前は無かった、絶対無かった!
「・・・あの頭、無個性達に付けてあげたいわ。」
「止めて!想像したくない。って、来てる来てる!」
歩いてる暇なんて無かった、マネキンで一瞬でも吹き飛んだ記憶
只今絵の女が徘徊しておられます、って事実
イヴが言うに色々調べた結果扉が開いた気がするとか何とか
もしかしたら開くかもしれないだとか
イヴの直感を信じて走る、走る
向かった場所は『吊るされた男』の近くのドアだった
無我夢中でドアノブを捻る、開いた
入った室内には鏡が1つ
窓も何も無い薄暗い室内に鏡が1つ
3人で鏡を覗く
何だ、何も居ないし何も起こらないじゃないか
乱れた服を直し、ドアの方へ振り向いた
「・・・マジか・・・」
あー、何度目か分からないけど、無かったのに有るパターン
マネキンの頭がドアを塞ぐ様に鎮座してる
マネキンは襲わない筈・・・そうであって欲しい
もう一度鏡を見るしかない、と言うか身体が勝手に鏡を見ようとする
「っとぁ!?」
案の定真後ろにマネキンの頭
ギャリーの悲鳴の叫び声が部屋に響く
イヴは叫ばず鏡を見てる
驚かないなんて強過ぎると僕は思います
「な、何よこの頭!いい加減にしなさいよね。」
ギャリーが足を上げる
≪ギャリーを止めろ!≫
またも聞こえた声に弾かれたように体が動く
そこで、先ほどの注意書きを思い出したのだった
美術館の物を壊しちゃ駄目だ!!
僕がギャリーを掴んで止めると同時にイヴが叫ぶ
「け、蹴っちゃ駄目だよ!」
ギャリーの足はマネキンの上を掠めただけ
マネキンの頭は蹴られ無かった
罰の悪そうに視線を泳がすギャリー
「わかったわよリオ、イヴ。
ちょっと大人げなかったわね。」
「・・・蹴りたくなる気持ち、凄い分かるけどね。」
しゅんと眉を下げ、ワカメも元気が無い
取り敢えず、黙って部屋を後にした
残る2つのドア
どっちが先に開くんだろうか・・・
歩いていたら、女の絵が追い付いてくる
方向だとか考えずに走れば違う音が響く
増 え て る っ!
赤い服の女以外に緑の服の女までもが僕達を追い回す
必死に走った、イヴが途中で転んだり
身代わりに僕の花を千切られたり・・・
散々な目に合いながら
偶然落ちて居た鍵を見付けた
異常な不安な気持ちに犯されて、溜め息ばかり吐き出しながら
見付けた扉に鍵を挿しいれる
ガチャリと音が聞こえた
ドアを開ければ本棚とソファー
そして、大きな絵があった
灰色の間、3/4終わりました。
次で終わるのだろうか・・・
感想等お待ちしてます。
もしよかったら書いていただければ嬉しいです。