第2話 ~青の間~
あの絵から離れしばらくする
ふとそこで違和感を感じた
「人の気配が、ない・・・?」
ついさっきまで展示会に来ていた人たちが
居なくなっていたのだった・・・
この美術館に居るのは僕だけなのだろうか?
ともかく原因はおそらくあの絵だろう
あの絵を見た時からおかしかったんだから
しかし、本当に誰一人いないのだろうか?
スタスタと展示場に見て回る
入口に戻っても本当に誰も居なくて
そして扉が全く動かない
本当に僕だけ取り残されたのか?
「・・・?」
2階の窓の前を通った時、窓に人影が映ったように見えた
何も映って無いと再確認し、階段を降りようとした時だった
ばん、ばん・・・
バンバンバンバンバン!
何かが窓を殴打する音
驚き、窓を振り返る
明らかに手形が貼り付いていた・・・
「おぉ、心霊現象・・・?」
それから館内を右に左に回り
結局、其の絵の前に戻って来てしまった
あれ?さっき1階に降りたよな・・・?
なんて考えていると、突如体が動かなくなった
金縛りだとか体験した事が無いけれど、動かせない
電気が一瞬消え、床に真っ赤な文字で
「おいでよ、リオ」と書かれていた
声を出す事も出来ずひたすら瞬きを繰返して居ると漸く身体が動く
「・・・誘ってんのか?」
自分の声だけが響く、足音も聞こえない
ホント、妙な所に来てしまった・・・
これじゃ、全員が神隠し紛いに遭ってるじゃないか・・・
いや、まてよ・・・
神隠しに遭っているのは僕の方じゃないか!?
僕の方が、現実から切り離されたんだ・・・
そう結論づける
するとどこからか足音が聞こえ
ポチャンと水音がしたのだった
1階の方からだった
1階に行けば、『深海の世』がある
冷や汗を流しながら、そこからさらに南に進むと
『精神の具現化』と題された大きな薔薇の彫刻があった
そこから道に沿い進もうとすると
ゲホっ
誰かが咳をした・・・?
まさか、僕しかいないこの状況で・・・
こめかみに滲む汗を拭い
ふと壁に飾られた絵の題名を見て溜め息をつく
『咳をする男』
もしかして絵が咳をしたの?
絵が咳なんかするか?普通
いや、状況は普通じゃないんだから当たり前、か・・・
ぐるぐると頭の中で疑問が回る
刹那、再び水の中に飛び込む様な音が美術館に響いた
ニャー、と鳴く猫の絵を横目に
1つだけ、1つだけ心当たりが有る絵に向かう
息が苦しい、強い不安で潰されそうだ
水音がするのならばと思って戻ってみれば
「深海の世」を囲ってあった策が一部無くなっている
そしてそこへ続くように足跡が2つ付いているのだ
まさか、おいでってこの中に飛び込めとかじゃないよね・・・
つか、さっきのポチャンってここに入った音だったり・・・?
まさかそんな有り得ないでしょう、絵の中に入れるとでも言うの?
じゃ、何で足跡が2つ有るの?
絵の具で書かれた様な赤と青の足跡
赤は小さくて青は大きい
靴先で端を撫でれば塗り立ての絵の具を塗ったかの様に色が延びる
まるで、ついさっき
ここを通ったように新しい
「・・・。」
ここの謎を解くには入らないといけないらしい
覚悟を決めて絵の縁に立つ
「せーのっ!」
ボチャン・・・
勢い良く真っ青な水飛沫が宙を舞う
ブクブクと沈み真下を見ても何も見えない
目を瞑り身体を任せゆっくりと沈む
息苦しさは無いし圧迫感も無い
既に有り得ては為らない状況に陥ってるのに
無駄に冷静になっている僕・・・
なんてのは理想で心臓は鼓動で痛い
不安は相変わらず広がり
気を抜けば今にも泣きそうな位怖いんだ
「 。」
小さく呟いた言葉は見えない水に遮られブクブクと言うだけ
身体は冷たく無いし衣服は濡れてないし、不思議・・・
一体何処に繋がるのか、と考えては数分が経った
恐る恐る目を開けば真下には何処かの床が見える
青い色の室内を確認同時に
浮遊感は消え重力通りに床に落下
「ぉわっ!」
シュタっ
持ち前の運動神経のお蔭で床との正面衝突は免れた
奥に見える小さな机には小さな花瓶
容器の中には水を確認し、近くには扉がある
靴音がいつもより余計に響くのも気にせず扉に向かった
ドアノブを捻り扉を開ければ絵が此方を睨んで居る、ただそれだけ
絵に「誰か来たか」なんて聞いても仕方無いだろう
それに、何か嫌な感じがするのだ
何が嫌って絵が不気味なんだ
用事は見付からないし来た道を戻るべく再度ノブを回す
「っあれ・・・?」
いくら捻っても回らない
押しても引いてもドアは開かない
脳内がパニックになっていく
不気味な絵の視線を背中に感じながらゆっくり時間を掛け振り替える
それを合図にまた電気が消えた
「んなぁっ!!」
手探りで室内を確認しようと腕を伸ばした瞬間何かに捕まれる
我慢は無理、今迄出した事が無い位叫んだ
「ふっざけんなぁああああっ!!」
叫んで辺りを手探りで探ると
何かに引っ張られ部屋の中央に連れてかれてる
固く瞑った瞼を開き意外にも明るく為った室内の床を見ては
恐怖心の限界を越え絶句
真っ黒な液体で書かれた言葉には僕の名前が含まれてる
か
え
せ
か
え
せ
リ
オ
の
薔
薇
を
寄
越
せ
か え せ
よ こせ かえ せ よこせ
かえせ
よこせ
かえせ
よこせかえせよこせ
かえせよこせかえせよこせかえせよこせかえせよこせかえせよこせかえせよこせかえせよこせかえせよこせ
黒の文字は現在も増え続け
室内いっぱいに僕の名前も消す勢いで“かえせ”と“よこせ”の文字
そして理解をするに時間が掛かるであろう
手には花弁が沢山のオレンジの薔薇が握られている
絵の女が此方を見て笑った
返せって何だ
僕が取ったわけじゃないんだぞ!?
女が笑っている
僕は後ろを向いた、諦め半分希望半分
ノブを回すと、ガチャ、聞き馴れた音が室内に響く
筈だッたけれど今だに書き殴られる黒文字の音には敵わず
逃げる様に室内を出た
呼吸を整える余裕すら無い、心臓が痛い
ともかく、何処か休める所を探して突っ走る
見えてきたドアを夢中で開け放ち
その中に入った
何だよ、コレ!
神隠しって所じゃない
軽くホラーだ
こんなんじゃ、心臓が持たない
僕より先に入った2人
その人たちと合流出来ればいいんだけど・・・
と思い、ドアに凭れ掛かるようにして座り込む
その思いはしばらくして叶えられることになる
とんでもない状況で・・・
ゲームを文章で表すのは難しいですね・・・
次話でイヴ達と合流出来ればいいなー、なんて・・・
感想書いてくれた方、ありがとうございます!
超亀更新ですが、頑張っていきたいと思います!
次話もお楽しみに!・・・いや、期待しないでくださいっ




