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薔薇と迷宮  作者: 仁美
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第9話 ~紫の間Ⅰ~

「はあ、今日は早起きしたから

 眠たくなってきちゃったわ。

 美術館なんて久しぶりだから

 楽しみだったのにこの有り様よ・・・」


「私も、楽しみだったのに・・・」


「ギャリー。眠いんなら寝れば良かったのに。」


「あのね、女の子1人で

 見張りだなんてさせたく無いわよ。」




もう、と腕組みをするギャリー

その隣がイヴで、さらに隣が僕

ここが普通の美術館ならなぁ・・・

思っても状況は変わらないけど




「リオって、女性だったの?」


「え、今更!?」





ギャリーの発言に真顔でイヴが質問した

まぁ、よく男と間違われますが・・・

何回か抱きしめた時に気付かなかっただろうか?




「あー、僕は女性だよ、一応。」


「一応って何よ。正真正銘、女でしょ!」


「あはは!うん、わかった!」




イヴの笑い声に苦笑いを返しながら先を急いだ





しばらく進むと部屋が紫色になる


コンコンっ


直ぐ左側に扉がある

誰かがノックしたみたいだ

一体誰が・・・?



「開かないね。」


「アタシ達の他に居るのかしら?

 だったら可哀想よ

 閉じ込められちゃったのかしら?」


「鍵、探してあげなきゃ。

 ・・・あれ、覗けるよ?」




イヴが発見した覗き穴

危険かもしれないから、僕が覗く


しかし残念、如何やら扉を叩く

“誰か”に隠されてしまって何も見えない


今の状況では助ける事は不可能

必死に扉を叩く音を無視しながら進む


心がチクチク痛むけど・・・


もっと進むと、あまり良い思いをしない無個性と

壁にスイッチが各3個づつ


探索しなきゃ、だよね

柵に囲まれた迷路のようなフィールド

その各場所に3体の無個性

出口近くにある本棚が怪しいな・・・




「・・・・・・・・行って、来る。」


「えぇっ!?アタシが行くわよ。」


「ギャリーはイヴを見てて

 何も無かったら戻るからさ。」




それでも心配そうにイヴが私に手を伸ばす

大丈夫、と笑ってみた

花弁の枚数もまだ余裕が有るし



柵の先に進む

取り敢えず、3つ押してみましょうか


ガチャリ




「・・・。」




入った瞬間柵が繋がる

後悔した、それはもう後悔した


ギャリーもイヴも大変な事になったって顔をしてるし

出られないのなら出口を探さなきゃ


無個性が追い掛けてくる

これは予想してたけど・・・


何とか大回りして赤いスイッチを押す

するとギャリーが叫んだ


ズ、ズーっと聞き慣れた音が2つ聞こえる


あ、追い掛けて来た




「っリオ!」


「え?っとぁ!?」




イヴの声に振り向けば

真後ろに黄色い無個性が迫っていた

柵を飛び越え追って来れないところにいく


2体の無個性を振り切りながら

隣の青いスイッチを押す



ガチャン

柵が開いた!


出口が出来たのは良いんだけど・・・

でも隣のスイッチも気になる


もしかしたら全部の無個性が動くんじゃないかって

興味が打ち勝ち、最後の黄色いスイッチを押した

予想通り、全ての無個性が動き出す




「やっぱり!!」




入ったからには何か手掛かりを

と怪しい本棚に手を伸ばす

回りの本よりも新しく、何と無く希望が見えた


“日誌”と言う本

もう、それだけしか無い


スイッチは押した

鍵が開くなんて演出も無く、見付けたのは本


それを片手に抱え、出口に向かう

イヴとギャリーが手を伸ばす

2人の手を掴み引寄せられた




「ったく、アンタって子は。」


「ははは・・・で、でも・・・これ見付けたよ。」




未だに動き続ける無個性達

其の隣で本を開くとゲルテナ本人の日誌らしい



“ヒトの想いがこもった物には

 魂が宿ると言われている

 ならば、作品でも同じことが

 できるのではと、私は常に考えている”



そんな内容が書かれた日誌

我慢出来ずに溜め息を吐き出す

口を開こうと前を向いた瞬間ギャリーが

溜め息混じりに呟いた



「うそ、これだけ?

 出口の場所くらい書いときなさいよね。」


「・・・何も、無いね。」


「無駄、って事?ざけんじゃねぇ。」


「あ、でもほら!

 ゲルテナの作品が動く理由が分かったじゃない?」




完全に無駄足だった

ゲルテナも笑いを堪えてるだろうな

無個性に追い回されて

そして得たのは只の日記

あー、腹立つな・・・




「次行きましょ。次!」




ギャリーが僕の肩を叩き日記を本棚の上に投げ乗せたら歩き出す


彼は一体何のために僕たちをここに呼んだんだ?


僕の脳内に残されるのはそんな疑問だった

角を曲がると真っ白なパズル


ミルクパズルか、懐かしい・・・




「イヴ、ミルクパズルって知ってる?」


「知らない。」


「その名の通り、真っ白なパズルよ。

 頭のいい人はすぐに出来るみたいだけど・・・」


「じゃ、リオならすぐ出来ちゃうね!」


「え?あぁ・・・でも、つまんないよ?

 絵が入ってこそパズルは楽しいと思うけど・・・?」


「アタシもそう思うわ。」





頭がいいってわけでもないが

ミルクパズルはやったことがある

友人に誘われて試してみた

時間はかかったが完成させる事が出来た


僕はもうやりたくないけど・・・

だって、変な集中力使うし

絵がないから飽きちゃうし・・・

いい事はないな、うん


その友人もやってみたけど

ノイローゼになりかけて途中でギブアップ

慣れないものをやろうとしてるから

集中力が続かないんだよ全く・・・


って、今思い出に浸ってても意味ないけど・・・




「・・・行くわよ。」


「うわっ!!ちょっ、ギャリー?

 急に引っ張らないでよ!!」


「リオがいけないんだよ。」


「Why!?」




イヴにもそう言われたが、心当たりない

どうして不機嫌なんだ?


“誰を思い出してあんな優しい顔してたの?

 なんて聞けるわけないでしょ。バカ。“


というギャリーの心の声なんか

聞こえていないので首を傾げるばかりだった





紫の間に突入しました!

コレが長いんだよね・・・

さて、次話はいよいよ金髪少女とご対面ですw


感想等頂けたら嬉しいです。

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