表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

山の声と波の音 5

3年生になった蘭


香里奈は 蘭が付き合った彼女の後輩と付き合う事になった

いわゆる年下彼女だ

当時は流行っていた


それにしても同じ場所の後輩にいかなくてもいいのにと蘭は思っていた

何故なら 香里奈は相当なチャラ人間だ


仲は良かったが香里奈を深く知ってる蘭は

女絡みで深い付き合いは絶対にしたくなかったのだ


でもそれは残念な事に個人の自由である


ある日 嫌な予感が的中する


"お前の彼女俺が貰う"


大喧嘩だ


といっても凄い口論になる訳もなく暴力的になる訳でもない


軽蔑だ


香里奈との関係はその瞬間から悪化した


それは彼女も内緒で連絡を取っていたからだ


甘かった

自分が 甘かった

浮かれていた


何より 香里奈は蘭には分からない魅力を秘めているのだろうと悟った


絶望感は半端ではなかったが なんとか彼女との二人の関係は保てた

蘭のモヤモヤは取れなかった


そんな頃 父と母が離婚した

母、真季、蘭、紗希で一軒家を出た


中古の一軒家に行った


周りは受験を話題にした会話が増えた頃

蘭は関係なかった


スポーツ推薦を狙っていたからだ

地元の高校に行く選択肢も視野に入れていたが 子供の頃の記憶 母の未納が脳裏によぎっていた


小学生の頃から集金は常に何ヶ月も遅れていた

先生に呼び出される事も度々あったが 母には何も聞けなかった


進路についても母には何も聞かないし 聞けないが 特待生を狙った方が無難だろうと思った


聞く話によると特待生は授業料等が半額だった

その時分かった事が、もう一つ上のランクがあることだ。

特特待生 "全額無料"

凄いシステムだ


蘭は 全国選抜大会のメンバーにも声がかかる程上達していた

特特待生のランクに行くまでにはまだまだ だと思った蘭は必死に練習をした


見事 その枠に入れた

県外のソフトボール強豪校 私立に入学した


彼女はソフトボールを辞め 地元の高校に行った

嫌いになった香里奈はソフトボールは続けながら地元の高校に行った

戦友の香苗は蘭とは別の県外の強豪校に行った


皆離れたが合戦を胸に旅立った

彼女とは遠距離になった


高校に入学してすぐ

皆が順調であろう頃

蘭は挫折する


始発で登校し終電で帰るというハードな日々を送る中

疲労と寝不足で練習中に気が抜けた瞬間 怪我をした

一瞬の出来事だった

そして半月板損傷と靱帯断裂により 手術と入院が決まった

怪我はつきものというが 入学してすぐのこの時期の怪我は絶望だ

上手な選手が多数いる中の休養はアピールに欠ける


だが仕方がない


蘭は焦りと痛みにやり切れない感情を抑え 前向きに考えたが

入院生活は想像を遥かに越える辛い日々だった

そんな中 遠距離を続けていた彼女に振られた

色々とタイミングが悪かった


激しく感情が溢れ出し そして崩壊した


退院後 なんとか復帰はするが当然すぐには全練習に参加できない

当時の監督は 追い越されてる我を目に焼き付けろというタイプだった


蘭は諦めた

そう その瞬間その一言そのタイミングで

全てを一瞬にして止めたのだ


翌日から学校も部活も一切行かなくなった

当たり前の事だが 監督からの電話が鬼の様に鳴り

徐々に蘭の精神が崩壊していった


蘭は 怪我をした事が決め手になった訳ではなく

監督に目に焼き付けろと言われた事が決め手になった訳でもなく

蘭自身が辛く面白くなかった時に言われた発言だったということだけだった


皆 酷い言葉を浴びせられても

やらせて下さいと監督に頭を下げていた

蘭はずっと その光景が"アホじゃないか"と思っていた

そんな空気のスポーツは面白さに欠けている気がした


行かなくなってからも 何かにもがいていた蘭は

何かのせいにしないとやり切れず

全てを恨み 憎み 責めた


そんな事では何も変わらず

遂にどうでもよくなった


散々 あいつは逃げたと言われたが

それより楽しい事見つけてやると思っていた


というよりも

"言っとけ言っとけ"という感じだ


その考えは甘い事

言い訳をして全てから逃げた事

そしてその感情にはゴールはなく行き場がない事

蘭は後に大いにその意味を知ることになる


全てを捨てた蘭は とにかく遊び呆けていた

何が楽しいか分からないが 楽もうとしていた


遊びでバスケットをしていた時 羽目を外した蘭は まだ治っていない膝を再び壊した


なんて災難だ


そしてまた 手術と入院になった

地獄の入院生活だったが 自業自得だ


蘭の気分は 人生のどん底にいた


嫌な事から逃げた

自分の思い通りにならなかった現実に向き合わなかった

何が楽しいかも分からずとにかく遊び呆けた

大好きな彼女に振られた


そんな事ばかりが頭の中でグルグルしていた


そう 蘭はあの日から進んでいるように感じていたが

何も動いていなかったのだ

全てが空回りしていた

どん底気分の意味は全て明確に答えが出ていた


立ち直るまでの時間はかなりの時間を要した

あの時 何故 自分なんて あの人は

蘭の心は 酷く荒れていた


どれだけ自由な言葉を言っても 思っていても

自分は凄く弱いんだと 蘭は痛感した


新たに何かしてやろうと 気持ちは前向きになっても

母はきっと賛成してお金は払わないんだろうなと

またあの肩身の狭い思いをしないといけないのかと

自分でなんとか生きていかなければと


蘭はその時 母を言い訳に遊び続けた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ