山の声と波の音 3
5年生の夏休み 父側の祖母のところへ帰省するといつも居た一つ上の男の子が兄と知った
兄といっても、実の兄ではないとのことだ。
その時聞いた話では 兄が小さい頃に祖母の家から帰りたくないと言い、祖母も男の子が可愛くて引き取る事になったとのこと。
そんな冗談があるだろうか。
だか蘭達姉妹は、"へぇ〜"程度で済んだ。
それもそれで変わっているのかもしれない
祖母の家はかなりの田舎で 毎年帰省すると恒例で近所の川へ皆で行ってBBQをした
2年生までは女の子の水着を着て遊んでいたが3年生、4年生と2年間は川に入らなかった
女の子の水着が嫌だったのだ
母に川だから服で入ってもいいと言われた
理由は明かさなかったが
蘭は濡れた服から女の子の"ライン"が映ってしまうのが嫌だった
因みに 小学生の頃は2年生から一度もプール授業に参加しなかった
ところが何を思い立ったのか、蘭は5年生で上半身裸で海パンを履いて川に飛び込んだ。
父の顔は引いていた
母も色々言いたそうな顔をしていた
周りもジロジロ見ていたが蘭は気にしなかった
遊び終えて着替える時
車に自分の姿が映った瞬間に蘭は急に恥ずかしくなって何て姿で遊んでいたんだろうと後悔した
それからは一切 水で遊ぶコト全てから距離を置いた
6年生の夏休みも帰省したが
母はこれが"最後"だと言った
6年生の蘭は相変わらずボーイッシュで
バスケに明け暮れていた
習い事もした
そろばん
学研
剣道と同じく 習っていいとは言うものの
講習代をくれず先生に呼び出され色々と聞かれ
肩身の狭い気持ちになり逃げるように辞めた
その度 蘭は母に苛立った
お金持ちではない事は分かっていたが
普段から貧乏生活をしていたというわけでもない
蘭は不思議に思っていた
そして夏休み帰省したときに母が言った"最後"という意味が6年生の終わりで分かった
とある日 父と母は離婚話をしていた
父は怒鳴っていた
母も負けじと怒鳴り返して大喧嘩になった
いつも喧嘩の声が聞こえると姉妹3人で階段に隠れ
母に手を出さないか 見張っていた
この日も階段で息を潜め収まるのを待っていたが
ヒートアップする一方で 途中すごい物音がした
姉妹3人で全力で止めに入った
父は背も高く体も大きい
子ども3人で止めに入っても当然その威力に勝てるはずがなかった
止めようとしても父はやめようとしなかった
姉妹3人共が泣きながら それでも諦めず全力で父に向かっていった
母は子どもに手を出さないよう3人を父から離そうとしていた
蘭が小学生に上がると同時にボロアパートを出て一軒家に住んでいた
今ではあまり見かけなくなったが
同時は部屋のドアを開けたままにする際にドアを止めておく金具が床に埋め込まれていた
その時 そこに押し倒された母の頭が直撃して母は頭から血を流していた
蘭が本気で人を恨んだ瞬間だった
事はおさまったが母の願望 離婚はできなかった
そんなこんなで蘭は中学生になる
たまらなく嫌だった
スカートの制服なんて考えたくもない
だが どう足掻いてもそれが現実だ




