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3通目の手紙

前回はウィズ、あなたの知らない話をしました。

あなたがいなくてチェルノが嘆いたあの日のことを思い返してみると、あの頃いつも彼女はあなたを見つめていたように思います。私は彼女の横顔をよく覚えています。つんと尖った顎、すっと通った目もと、ニヒルに笑う口もと。あなたを愛しげに見やる横顔ばかり印象にあります。

あなたは気づいていたのでしょうか。私から教えたことはないし、彼女があなたに告白したことがあるとも思えません。

直接彼女に気持ちをたしかめたことはありません。ですから、彼女があなたに恋をしていたのかどうか、ほんとうのところはわかりません。でも、チェルノがあなたを切実に必要としていて、私のことは必要としていなかった。それだけは確かな事実です。

私はいつもうらやましかった。

三人組のなかで、あなたたち二人だけが対等だったから。

でも、チェルノはあなたと対等だったからこそ、あなたに弱みのようなものは見せられなかったのだと思います。だから私は彼女があなたに告白したことはないと踏んでいるのです。

そしてウィズ、あなたが私にだけ秘密を打ち明けたのは、私の立場が弱くてあなたに逆らえなかったからなのでしょう?




話は変わりますが、私の家からあなたの家へは徒歩5分の距離なのに、中学生になるまであなたと私はお互いの存在を知りませんでした。

地元の公立中学に通っていた私たちは小学校区が違いました。私たちの家の間には線路が通っていて、それが校区をわけていました。小学生のときは、校区から出てはいけませんと大人たちからよくよく言い含められていましたから、区境に住んでいた私たちに知り合う機会はなかったのです。

けれど中学生になったら小学校のときの校区など関係ありません。ウィズと私、家が近く方向も同じだったことから、放課後に毎日二人で帰りました。


一緒に帰りながらあなたは私によく笑いかけてくれました。何を話していたのかもうあまり思い出せないのですが、「アハハ」と笑っているときのあなたは頬がほんのりとピンクに色づいてほんとうに楽しそうでした。あなたの笑顔は私を幸福にしてくれました。


あなたは私に魔女の秘密を教えてくれました。どのように修行しているのかも。

あなたは私の家に来て、私の父のノートパソコンを立ち上げてあるサイトを見せてくれました。真っ黒な背景に白い文字のシンプルなテキストサイトです。そこは掲示板のようになっていて、いろんな人が書き込んでいるようでした。

あなたは威厳のある面持ちで言いました。

「このなかには偽者と本物がいる。私は本物の教えに従ってる」

私は感動しました。私の友だちはなんてすごいんだろう。私にはさっぱり見分けがつかないのに、ウィズならわかるんだ。だって本物の魔女だから。

あなたは本物の修行の仕方を私に指南しました。

水晶の浄化の方法、タロットカードが生きていること、瞑想の仕方。

水晶は魔法に欠かせないものですが、そのままだと悪い気を吸って濁ってしまうのだそうです。ですから、浄化が必要になります。水晶の浄化の方法は大きくわけて2種類あり、一つは月光に晒すこと。もう一つは良い薫りのお香を焚くこと。

タロットカードには大アルカナと小アルカナがあり、一枚一枚に複雑な意味があること。人間に対するように敬意を持って丁寧に接すること。

瞑想は毎日決まった時間にやる必要があること。ただポーズだけ取っていても意味がないこと。

魔法に必要なものは、なんだって一緒に買いに行きました。水晶も良い薫りのお香もタロットカードも魔術や瞑想の指南本も。ウィズと私、二人きりの秘密でした。


あなたはいつだって本気でした。真剣に修行に取り組んでいました。だから私もあなたと同じだけの熱量でやろうと思いました。

私は魔法の存在そのものより、あなたを信じていたのです。

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