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はじめの手紙

あなたの話を書こうとしてから3ヶ月が経ちました。筆が全然進みません。PCで書こうとするからいけないのでしょうか。本日、友人が書いた「あなたとは別の人生」という本を読み、あなたとあった出来事をすっかり順番通りに書かなくても良いのだと気づきました。今まで書いた文章を捨てて、これからは思い出した順番に、短い文章をつなげていこうと思います。


あなたはかつて魔女でした。教室でこっそり、私にだけ打ち明けてくれたことを覚えています。私もあなたも中学三年生でした。40人いるクラスで話すのは、私とあなた、そしてもう一人。いつも3人組でした。他のクラスメートとは絶対に会話を交わしませんでした。でも、あなたが魔女だと打ち明けたのは私だけでした。

私はそのことを知らず、うかつにももう一人の女の子の前で、あなたが魔女というのはどういうことなのか尋ねようとしましたね。そして、私は怖い顔をしたあなたに教室を連れ出され、人気のない廊下で二人きり、あなたに呪いをかけると脅迫されました。

あなたは両手を壁につき、私はあなたの二本の腕のなかに閉じこめられ「他の誰かに漏らしたらお前の記憶を消してやる」と脅されました。顔が近くて息がかかりそうでした。あなたは本気でした。私もあなたの本気を信じました。友だちでよく知ってるあなたが本気だったから、私はあなたが魔女なのだと心から信じました。そして胸底がひんやりと冷たくなるくらい恐怖しました。記憶をなくしたくないからあなたの秘密を絶対に守ろうと誓いました。


今でも思い出します。

あなたが魔女だったころを。大好きでした。

誓いを破ってしまいました。ごめんなさい。

私は大人になったあなたが否定した過去を掘り起こそうとしているのです。

あなたは不快に思うでしょうが、あなたもご存知の通り私はこれでけっこう身勝手な人間ですから、書くことを続けようと思います。

どこかでこれを見つけたら、あの頃のように私を脅しに来てくれたらとてもうれしく思います。

実家の場所も携帯電話の番号もあのころとそのままですから。

お待ちしています。

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