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魔王と女神の恋心。

2日目、この日は班ごとに好きな観光をする内容だった。

出発前に先生はくぎをさす。

「お前達、問題おこすなよ〜!

マナー良く、観光を全力で楽しんでこい!」


「はあ〜い!」


班ごとに生徒達が散らばっていく。

明里と快人は仲が良い。

「なぁ、明里!俺たちの班、一緒に回ろうぜ!」

「みんなが良ければ、私はいいけど。」

「じゃあ決まりな!」

快人は他の生徒に向かって言った。

強引に一緒に回る事になり、

快人と明里が仲良く歩いているので、自然に真桜と愛理も並んで歩いていた。


快人は楽しそうだ。

「あっ!明里!見てみろよ!肉まんだって!」

「快人さっきから食べてばっかりじゃん!

お昼ごはん食べれなくなるよ〜。」

「だって、肉まんうまそうじゃん!」

「だめー!肉まん禁止。」

快人はしょぼんとする。

「分かったよ〜。」


二人の後ろを真桜と愛理は歩いている。

愛理は真桜に小声ではなす。

「ねぇ、あの二人、いい感じだよね。」

「確かに。そのうち付き合いそうだよな〜。」

「ふふっ。確かに。

あっ!でも明里が快人くんと付き合ってしまったら、私達一人になる!

どうしよ・・・


・・・その時は、残された者同士、

仲良くしてくれる?」

愛理は少し照れながら言った。


「そうだな。一人ぼっちは辛いもんな。

その時はよろしくな!」


「うん!」

二人は見つめ合い、笑いあった。



その夜。

観光を全力で楽しんだ真桜達の部屋では、会議が行われていた。

快人は、ニヤニヤしながら話し出す。

「諸君!我々は、全力で楽しまなければならない!」


「はい!隊長!」

グループの男達は、ワクワクした表情だ。


真桜は、少し離れた所で頭を抱えている。


快人が立ち上がった。

「でわ、諸君!出陣だー!」

「おー!」


抑えられないテンションの快人達の後ろを仕方なく真桜は追いかける。


トントントン。

「はぁ〜い!」

ガチャ。

ドアが開くと、明里が顔を出す。

「快人、どうしたの?」

「研修旅行とか修学旅行と言えば、男グループが女グループの部屋にいくってきまってるだろ?」


明里は目を細めている。

「へぇ〜。」

快人は、ドアを無理やり開けて部屋に入る。

明里は、焦って追いかける。

「ちょ、ちょっと!」


快人は明里のグループの女子から罵声を浴びた。

「なんで入ってきてんの?」

「最低〜!」

快人は、両手をかざし、静止を求めた。

「我々は、全力で楽しみに来た!」

快人の後ろで明里は頭を抱えている。

快人に続いて、他の男子も部屋に入ってきた。

「隊長!我々もお供致します!」



女子達は、仕方ないなという雰囲気になり、快人達は部屋にいる事を許された。


辺りを見回していた愛理が快人にたずねた。

「あれ?黒川くんは?」

「あ〜あいつはシャイだから、外にいるんじゃね?愛理ちゃん呼んで来て!」

「あ、うん。分かった。」


愛理は、恐る恐るドアを開けた。

真桜はドアの横の壁にもたれ、頭を抱えて座っていた。

「黒川くん、入らないの?」

「あ、うん。俺、学級委員なんだけどな・・・あいつらを止められなかった。」

申し訳そうな真桜の手を掴み、愛理は部屋に引っ張り込んだ。

「ふふっ。」

愛理はうれしそうに、真桜を部屋の奥へと引っ張る。

「隊長!黒川くん確保しました!」

愛理はうれしそうに、快人に言った。

「あっ、ごめん、愛理ちゃん。その下りもう終わったから。」

快人は冷めた表情で言う。

愛理は顔を赤くして、真桜の後ろに回り背中におでこを押し当てた。

「ちょっと快人!愛理が恥ずかしい事になってるじゃん!やめてあげてよ〜!」

明里がフォローすると、笑いがおきた。

「あははははっ!」

真桜は、愛理がしょぼんとしてるのを見て、快人に言った。

「快人!お前は隊長クビな。」

愛理の方を向き、真桜は言う。

「白石隊長!こうなったら、私も全力で楽しみます!座りましょう!」

真桜は顔を赤くしながら言い、愛理の手を取り、敷かれた布団に一緒に座った。

真桜は恥ずかしくて、下をむいている。

愛理は、真桜を見つめ、

「ふふっ。ありがとう。」

と言った。


それを見ていた明里は、うれしそうにニヤニヤしている。

「へぇ〜。」

明里はニヤニヤが止まらない。

快人と見つめ合い、満足そうだ。


「はい!じゃあ、じゃんけんで負けたやつが好きな人を発表!」

快人は立ち上がり、叫ぶ。

「え〜!」

みんなからブーイングの嵐だ。

快人は引かない。

「じゃあいくぞ!じゃんけん、」


みんなチョキを出す中、パーが一人。

愛理だった。

愛理は布団に倒れ込む。

「いやー!」

快人は愛理につめよる。

「さぁ!隊長!発表して下さい!」

みんなが愛理を見て、静かになる。

「ごめん。私、好きとか良く分からなくて・・・今まで多分、恋した事ないと思います。面白くなくてごめん。」


快人は、明里の耳元に顔を近づけ、小声で言う。

「なぁ、明里、愛理ちゃんって真桜の事好きなんじゃないの?」

明里も小声で答える。

「ほんとに好きが分からないみたい。

多分好きだと思うんだけど、今はそっとしといてあげて。」


快人は再び立ち上がり、叫ぶ。

「良し!2回戦!」

「はあ〜!もう終わりにしよ〜よ!」

快人は聞かない。

「いくぞ!じゃんけん、」

今度は、みんなグーの中、一人チョキ。

「おー!真桜くん!」

快人は真桜につめよる。

「さぁ、真桜!発表だ!」

真桜は頭は、抱えている。

「さぁ!さぁ!」

快人は容赦なくつめよる。

「白石さん。」

真桜は誰にも聞こえない小さな声でいったが、隣りにいた愛理には聞こえていた。

愛理は目を丸くし、真桜を見つめている。

快人は聞き取れなかった。

真桜に問いかける。

「なんて?聞こえないよ!」

快人が真桜を問いただしていると、


トントントン。

「おい!起きてるのか?入るぞ!」


「ヤバい!先生だ!電気消して隠れろ!」


快人は、電気を消し、布団に潜り込んだ。

真桜はどうしていいか分からず、オロオロしている。


「黒川くん!こっち。」

愛理は、真桜の手を引き、自分の布団で、真桜を隠した。


ガチャ。

「おい!消灯時間過ぎてるぞ!

寝たふりか〜?」


「・・・」


真桜は、愛理と同じ布団で、ドキドキしていた。

真桜は、頭が真っ白になった。

(顔が近い。かわいい。いい匂い・・・)


真桜がそんな事を考えていると、

愛理は、口を手で覆い、

笑いそうになっているのを必死に耐えてようとし始めた。


「まったく。」

先生は、誰も返事をしないので立ち去って行った。


「はぁ。」

みんなまだ隠れていたが、

安堵のため息をついた。


「あははははっ!」

先生が出て行って、安心した愛理は笑ってしまった。


その時、

ガチャ。

「ちゃんと寝ろよ!」

先生はもう一度、入ってきた。

愛理は笑い声を聞かれたと思い焦る。

(まずい!布団めくられたら、黒川くん見つかっちゃう!)

愛理は、布団の中が一人に見える様に、真桜の顔を胸元に押し当て、布団から顔を出した。


「先生。ごめんなさい。ちゃんと寝ます。」


「白石〜!学級委員なんだから頼むぞ!他のヤツも起きてるんだろ!早く寝るんだぞ!」

そう言い捨て、先生は部屋から出て行った。


みんな警戒して布団からでない。


愛理も、また布団をかぶり、真桜を見つめ、小声で話しかけた。

「大丈夫?黒川くん顔赤いよ。」


真桜は、呆れた表情で、

「そりぁ、男だから。」

「えっ?どういう事?」

「・・・胸」


愛理は、真桜の顔を自分の胸に押し当てていた事に気付いた。

「きゃっ!えっち・・・

もしかして・・・

私の太ももに当たってるのって・・・」


「仕方ないだろ・・・」

真桜は恥ずかしそうにいった。


愛理は話題を変えなければと、

思った。


「・・・ねぇ。黒川くん。」


「何?」


「さっきの発表、多分私だけ聞こえた・・・」

真桜は、ドキッとした。

でも、聞こえてしまったなら、

仕方ないと開き直った。


「俺もさ、好きって分からないんだ。

でも・・・多分、好きになるとしたら、白石さんだと思う。」


愛理はニコッと微笑み、

「嬉しい。あのね、私も・・・好きって分からない。でも黒川くんにそう言われて、嬉しいって思った。黒川くんはえっちだけど、素敵な人だと思う。」


真桜は嬉しそうに愛理を見つめた。

「うん。ありがとう。

えっちは余計だけど。」

愛理は、また、真桜を見つめて微笑んだ。

「ふふっ。これからも仲良くしてね。」


「うん。仲良くしよう。」


二人は、見つめ合いながら、胸の辺りが熱くなるのを感じた。


しばらく様子を見ていた快人が、声を抑えながら言う。

「なぁ、もう大丈夫だろ!」

快人は起きがった。

「みんな!撤退だ!」

快人の声で、男子は起きあがり、部屋に戻って行った。


明里は、ニヤニヤしながら、愛理に抱きついた。

「愛理!どうだった?同じお布団は!」

愛理は照れながら答えた。

「ナイショ!」

明里はうれしそうだ。

「ナイショって事は、何かあったなー!」

「また追々、はなすね。」

愛理は嬉しそうに言った。

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