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幼い頃から病弱だった。家のベッド、保健室のベッド、病院のベッド。記憶にあるのは、そんな景色ばかり。
そんな私が憧れた存在。それがアイドルだった。たくさんの努力を重ね、泣いて笑って仲も良くて、ステージではキラキラと輝いて私たちに元気を与えてくれる。直接見られたことはないけど、ネットで活動を追ったり動画を見たりして、私はいつも彼女たちに励まされていた。
――いいな、アイドル。もし健康だったら、なれる未来もあったのかな。
医者や家族の慌ただしい声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じていく。病室の窓から見える桜が、私の見た最期の景色だった。