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プロローグ
閲覧いただき誠にありがとうございます。
拙い文章ではありますが楽しんでいただければ幸いです。
誤字脱字などあるかと思いますが温かい目で見ていただければと思います。
取り繕うことが当たり前だった。
誰にも決して素を見せない。
そうしないといけなかった。
そうしないと生きていけなかった。
決して驕らず、自己主張せず、従順に、利他的であることが私に許された権利だった。
幼かった頃の私は未熟だった。
でも、
歳をとるごとに悟った。
私の人生の主役は私ではないということを。
本当はずっと気づいていた。
気づかないふりをしていた。
だから抗ったんだ。
でも、
無駄な抵抗だった。
それから私はずっと心を殺して生きてきた。
そうすると楽だった。
いつしか本当の自分が分からなくなった。
でも、
それでよかった。
むしろよかった。
私のような人間に、
脇役に、
引き立て役に、
闇に、
自我はいらない。
私はただ彼女を、
主役を、
ヒロインを、
光を引き立てられればいいんだ。
それが私の存在意義なんだ。
そうなんだ。
きっと。