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第12話 水中戦

 この前の鎧殻巨人と似た反応を魔力で感じ取ったクオセルは、玖狼に乗り、目的地を目指していた。しばらくすると、この前と同じセルド島の沿岸部に鎧殻巨人が直立不動で立っていた。


『……待っていたぞ、駆動巨人』


 鎧殻巨人は低い声でそう言う。


「あんたの目的は何だ? 仲間……鎧殻巨人は他にもいるのか?」


 シンクロシステムで玖狼と一体になったクオセルも地上に降りたち、疑問を鎧殻巨人に問う。


『目的は貴様との戦いだ…… 鎧殻巨人の同胞は他にもいるが、この戦闘には手出ししない。一対一で決着をつけたいが、場所を変えるぞ』


 そう言うと、鎧殻巨人は海に向かって飛んでいった。


 玖狼もそれを追う。しばらく飛び、後ろにセルド島の姿が小さくなったころ、鎧殻巨人は進むのを止め、こちらを振り向く。

 玖狼も前進を止め、浮遊したままメッサーを構える。


「……水上での戦いがお望みか……」


 眼下には、どこまでも紺碧の海が広がっている。


『行くぞ!』


 鎧殻巨人は空中で長剣を突き出してくる。玖狼はメッサーでその攻撃を反らすと、逆にカウンターの突きを繰り出す。それを鎧殻巨人は横に避ける。


「空中戦なら、勝てると思った?」


 そのまま、メッサーで的確に攻撃を加える。この前の戦いで、鎧殻巨人の動きは予習済みだ。今回は逃がしはしない……


 玖狼の激しい攻撃に鎧殻巨人は防戦に回りながらも、隙を見て反撃する。しかし、近接戦では玖狼の優勢は変わらなかった。


『……前回よりやるではないか。ただ、これならどうだ』


 鎧殻巨人は甲殻類のような口部を開き、光弾を放つ。


「ちっ!」


 近距離からの頭部を狙った攻撃であったが、 コアの重力操作を使い、真下に退避する。


 そして、退避と同時にメッサーを一閃させ、鎧殻巨人の胴を狙うが、その攻撃は剣で防がれた。


 しかし、鎧殻巨人は玖狼の力の乗った攻撃を受け、後方に吹き飛ぶ。そのまま向かってくるでもなく、空に背のスラスターを向け、海面に向かって飛び込んだ。


「逃がすか!」


 玖狼も追おうとするが、海中から青い光弾が飛んでくる。


「あいつ!」


 玖狼はそれを躱すが、水中の鎧殻巨人は次から次へと光弾を発射していく。


(こっちも水中戦に付き合うしかないか……)


 水中は機体の動きが重くなり、クオセルはあまり好きではなかったが、そんなことも言ってられない。


 スラスターを噴出して、勢いよく海中に飛び込む。


 鎧殻巨人はそれを待っていたとばかりに腹下に空いた丸い穴から、拡散粒子砲を放出する。


 さすがに直撃はまずいと思い、玖狼は空中で動きにくいなかで、なんとか拡散粒子砲を躱す。すると、鎧殻巨人は腹下にエネルギーをチャージしつつ、口から光弾を放つ。


(こっちに便利な飛び道具が無いのが悔やまれる……)


 攻撃を避けながら、クオセルはそんなことを考える。片手用銃剣では威力不足だし、キャノンはチャージに時間がかかりすぎる。やはり接近戦で勝利するしかないが、光弾を放つ相手に近づくのは容易ではないし、危険であった。


(相手とて、そう何発も光弾や拡散粒子砲を撃っていたら、すぐエネルギー切れになるはずだ…… それを待とう……)


 しかし、鎧殻巨人の方は近距離から拡散粒子砲を撃とうと、近づいて来る。エネルギーが切れる前に、近間で確実に当てる算段だろう。


(鎧殻には光弾が効かないが、あそこなら!)


 玖狼は左手に片手用銃剣を装備する。そして、鎧殻巨人の腹下の穴に狙いを定める。


(当たってくれ!)


 そう念じ、腹下の穴に目掛けて何発も光弾を打ち込む。


 そのうちの一発が見事穴に吸い込まれていく。鎧殻巨人はちょうどそこに膨大なエネルギーをチャージしていたのもあり、光弾を受け、内側から大爆発を起こす。鎧殻が破裂し、いくつもの肉片が飛び散った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 結局鎧殻巨人の肉片はその後、跡形もなく消失し、詳しい正体などは分からなかった。


 あと、この戦いを通して、玖狼にはもっと便利な火器が必要だとクオセルは思うのであった。



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