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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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99:キスをしたい

「夏にホットアップルパイを食べるのは、一興だ」


「そうですね、ベリルお嬢様。敷地の外は冬。美味しい林檎が沢山手に入ります。でも敷地の中は夏。夏に冬が旬のリンゴのパイを楽しむ。こんな楽しみ方、この別荘でしかできません」


「しかもこの場所で、温かいパイを食べるのがいい」


「ええ。キャノス様の魔法のおかげです、ベリルお嬢様」


ホットアップルパイが乗った皿とフォークをセッティングすると、アレンはうやうやしく一礼し、テントを出た。


その頃には、快感も収まっていた。

だが、まだ心臓はドキドキしたままだ。

だってアレンにバッチリ見られていたのだから……。


ベリルはゆっくり俺の手首を解放した。そしてぐいっと勢いよく俺の体を起こすと、手早くシャツのボタンをとめる。


アレンに見られたこと、全然気にしていない……。


「拓海」


ふいに優しい声で名前を呼ばれた。


ベリルの手にはフォークがあり、そこに切り分けられたアップルパイが乗せられている。初々しい笑みを浮かべ、そのアップルパイを俺の口元に運んだ。


……これってもしかして俺とベリルのファーストバイト。


いや、それは披露宴の時にするものだよ、と自分で自分をツッコミつつ、でも嬉しいことに変わりはなく、満面の笑みでアップルパイを頬張った。


「……! 出来立てのように温かい!」


「美味しいか?」


「美味しいよ。ベリルも食べて」


自分の前に置かれたアップルパイをナイフで切り、フォークですくう。


控えめに口を開けるベリルは、なんだか色っぽく見える。


ドキドキしながら、その口元へフォークを運ぶ。


ベリルはさらに少し口を大きく開け、俺をチラッと見てから、アップルパイを口にいれた。


その時。


林檎の果汁が、ベリルのチェリーレッド色の唇から、一滴だけこぼれ落ちた。


ベリルの腕を掴み、顔を近づけ、その滴を自分の唇で受け止める。


ゆっくり顔を離すと、ベリルの唇は、ほんの数ミリ動けば届く距離にあった。


……キスをしたい。

ベリルと唇のキスをしたことは、まだない。


「拓海、私達は騎士なのだから、婚儀の前に、過ちをおかしてはいけないよ」


唐突にキャノスの言葉を、思い出してしまった。

断腸の思いで、ベリルから離れる。

くそーっ、俺、なんで騎士道なんて学んでしまったんだ⁉

それに婚儀の前の過ちって、どのレベルが過ちなんだ⁉


「拓海、冷めないうちに食べたい」


ベリルの言葉に我にかえり、慌ててアップルパイをフォークですくう。


結局。


あの後はただお互いに、アップルパイを食べさせあって終わった。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは……明日の7時に明らかに‼

それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています‼

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