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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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97:騎士らしくなったな、拓海

瞳と同じルビー色のドレス、同色のつば広の帽子(キャプリーヌ)という、目にも鮮やかな装いで、ベリルはハンベルグと馬を並走し、森へ向かった。


敷地内の森なので、きちんと手入れがされており、馬を走らせるのも楽だ。


森の中を進むと、まるで小型のサーカスのようなテントが見えてきた。テントは二つあり、どうやらここで休憩をするようだ。


よく利用される場所だからだろうか。ちゃんと馬の水飲み場も用意され、先客の馬も2頭いる。


ベリルとハンベルグは、奥の大きめのテントに入っていった。


キャノス、ハンベルグの第一騎士のイザーク、そして俺は馬に水を飲ませ、手前の小さなテントに向かう。


テントの正面の布は、くるくると巻き上げられ、上の方で留められている。中にはいり、椅子に座ると……。正面遥か先に広がる、美しい紫色のラベンダー畑が見えた。


テーブルには飲み物とフルーツが用意されている。


ティーポットを手に、キャノスとイザークのカップに紅茶を注いだ。


するそこにハンベルグとカレンがやってきた。


なんだ、先客の馬は、カレンだったのか。ということはアレンもいるのか。


「拓海、ベリルの相手を頼む」


「⁉」


「俺はこっちで休憩させてもらうよ。デートしていたなんてバレたら、ベッティーナに叱られるからな」


「ハンベルグ様……」


チラッとイザークを見た。


イザークは何も見ていません、聞いていません、という顔で、俺がいれた紅茶を飲んでいる。


「ベリル様を待たせてはいけないですよ、拓海」


キャノスにも促され、立ち上がる。

ハンベルグはすれ違う時、肩をポンと叩いた。


「お前を選ぶとはな。流石だと思った。幸せになれよ、拓海」


「ありがとうございます、ハンベルグ様」


深く一礼し、ベリルのいるテントへ向かった。


ベリルのいるテントも、俺がいたテントと同じように、正面の布が巻き上げられている。


テントの中には、ベリルとアレンがいて、俺に気づくとベリルの頬が緩む。その微笑を見ただけで、恋する乙女のように、胸がキュンとする。


ベリルの隣に腰を下ろすと、アレンが目の前のティーカップに紅茶を注ぎ、すぐにテントから出て行った。


「美しい景色だろう」


ローソファに腰掛けたベリルが、ラベンダーを畑の方に顔を向けたまま、声をかける。


「うん。ラベンダー畑に行った時は、その香りを感じられ、それはそれでよかった。でもこの距離から眺めると……。まるで絵画を見ているようだ。ゆったりと何時間でも、眺めていられそうだよ」


「それは私とここに何時間でもいたい、ということか?」


ベリルがルビー色の瞳を細め、こちらを見る。


「そうすることが許されるなら。ずっとベリル様とここで、この景色を眺めたいですね」


ベリルの手を取り、その甲にキスをした。


「騎士らしくなったな、拓海」


ベリルは開いていた扇を、ゆっくり閉じる。


「ハンベルグはこの席を俺に譲ってくれたし、ベリルと俺のことも知っていた。第一騎士のイザークも知っているようだった。……もしかしてクレメンスも、ベリルと俺のことを知っているのか?」


「そうだな。その辺りを拓海に話していなかったな」


ベリルがガラスに入ったベリー色の飲み物を、口に運んだ。


「私と拓海のことは、ヴァイオレット達三騎士、スピネル、アレンとカレン、ハンベルグとイザーク、クレメンスとその第一騎士のオスカー、そして父上が知っている」


「なるほど。分かった。……ハンベルグとクレメンスは、お互いの手の内を明かして盟友となった、そんな感じなのか?」


「そうだな」


「……クレメンスの想い人って……」


「気になるか?」


「気になるよ」

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます‼

本日もゆるりとお楽しみください。

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