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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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95:健全な朝帰り

翌日の朝、淡い期待で目覚めたが、ベリルの姿はなく、いつの間にか上衣を着せられていた。


サイドテーブルの横に置かれたメモには、今日と明日の予定が書かれている。


◎本日

朝・クレメンス:

朝食デート(護衛・バーミリオン)


午前・エクリュ:

美術館デート(護衛・ヴァイオレット)


昼食:食堂


午後・ハンベルグ:

乗馬デート(護衛・キャノスと拓海)


夜:夜会


◎明日

朝食後、夜会を行ったホールにて婚約者発表


朝食デート? 

ということは、もうとっくの昔に起きて、ベリルは部屋を出たのか……。


それにしても、詰め込んだ感が半端ない予定だ。


しかもハンベルグは明確に、ベリルではなく、元婚約者に気持ちがあることを明かしている。そのデートの護衛であれば、俺は嫌な思いをしなくて済む。


ベリルが俺のことを考えてくれたと分かり、自然と笑みがこぼれる。


ベリルがいたであろう場所に、体を横たえた。

……ベリル。


「拓海様、起きましたか?」


驚いて起き上がると、アレンがいる。


「さすがにこの時間ですと、目を覚ましているゲストが多いですからね。着替えたら、スピネル様の部屋から、自室へ戻るようにしてください。自室の方へ朝食をお持ちしますから」


アレンはそう言うと、着替えをベッドに置いた。


「ア、アレン、その……」


「拓海様、何も言う必要ありませんよ」


「え……」


「ベリルお嬢様にお仕えして、みんな長いんです。ベリルお嬢様のお気持ちに、みんなとっくに気づいていますから」


「アレン……」


「拓海様、手は動かしてくださいね」


慌てて俺は着替えを始める。


「ご自宅で、毎晩のように拓海様のお部屋に、ベリルお嬢様は足を運んでいたんですよ。それを誰かの協力なしに、できると思いますか? ロードクロサイト様のいるあの家で。みんな、ベリルお嬢様に協力していたんです。拓海様の部屋に、ベリルお嬢様が足を運んでいると、バレないように」


「そうだったのか……」


シャツのボタンをとめながら、謎が氷解し、スッキリした気持ちになっていた。


箱入り娘のベリルが、いくら自分の騎士とはいえ、毎晩のように男子の部屋に行く。それがなぜ許されていたのか、ずっと気になっていた。


「我々は全員、ベリルお嬢様の気持ちに気づいている。それなのに当事者である拓海様が、まったく気づいていなかった。これは驚きですよ」


……。


「拓海様、着替えを続けてください」


「……はい」


ズボンを履き替える。


「まあ、でもぼくの予言通りになりましたね。別荘に来られた日、アンナ様に絡まれた拓海様に、ぼくは言いましたよね。あの時も拓海様は、なんのことかさっぱり分かっていなかったようですが」


確かにアレンはあの時、沢山ヒントをくれていた。


でもそれに気が付かず、アンナの情夫でもいいか、なんて、今思えばとんでもないことを考えて……。


「着替え、終わりましたね。では案内します」


アレンの案内で、スピネルの部屋に向かう。


スピネルの部屋とベリルの部屋の応接室は、扉一枚でつながっていた。


すんなりスピネルの部屋に入ると……。


スピネルはオーガンジー生地の黒いガウン姿で朝食をとりながら「あら、拓海くん、朝帰り?」とウィンクした。俺は「朝帰りですが、健全な朝帰りですから!」と強調する。ベリルの名誉のために。


部屋に戻るとすぐにカレンが来て、朝食をテーブルに並べてくれた。


いつもより30分ほど遅い朝食を終え、庭園に行くと、あのベンチにエクリュがいた。

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