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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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83:ただの供物に過ぎん

「全く、おぬしは次から次へとんでもないことをする。なぜそうまでしてわしらから逃げようとする? わしらはおぬしを殺すつもりはない。仲間へ迎えようとしているだけじゃ」


非常用ボタンを押した結果、トイレの外についていたランプが点灯。


すぐにジャマールが気づき、トイレのドアを壊す勢いで、開けようしているのが分かった。


俺は「流すボタンと間違えて押した、すまない」と言い、自らドアを開け、外へ出たが……。


ゼテクはすぐに見破った。俺の嘘を。


結局、車に乗せられ、振り出しに戻る。

つまり、再び両手と両足を縛られた。

ただ、口は自由だった。

どうせ魔術を使えないからだ。


でもかなり警戒されてしまったようで、レイラは助手席に座り、代わりにゼテクが俺のそばに座っていた。


「俺はお前たちの仲間になんかなるつもりはない。金をもらって誰かを殺す手伝いをする気はない。それに俺には既に仲間がいる」


睨むと、ゼテクはため息をついた。


「ベリル嬢がおぬしの仲間なのか? ヴァンパイアが仲間? おぬしの血を吸うだけじゃろうが。魔術が効かない体質(ノー・ダメージ)であろうと、ヴァンパイアからしたら供物に過ぎん」


ゼテクは魔術が効かない体質(ノー・ダメージ)(厳密には違うけど)とは知っているが、俺の血が特殊であることは知らないようだった。


しかしそんなこと、今はどうでもいい。


「確かにベリルは俺の血を吸う。でも俺はベリルの騎士だ」


「血を吸われておるなら、供物に違いはない」


なんなんだ、この偏屈じじい……。


「俺は供物なんかじゃない。俺は……俺はベリルを愛している。そしてベリルも俺を愛してくれている!」


ゼテクの表情が変わる。


「ベリル嬢がおぬしを愛しているだと? まさか。純血主義を謳うレッド家じゃぞ? 次期当主のベリル嬢が、供物を愛するだと? あり得ん」


「じゃあ聞くがゼテク、お前はどうなんだ? 純血主義だったくせに、どうして暗殺組織に属している?」


ゼテクが俺を、ジロリと見た。


「俺がただの供物だというなら、前回なぜベリルは俺を助けた?」


ゼテクは無言でこちらを見ている。


「ただの供物なら血を吸い切っておしまいのはずだ。魔術が効かない体質(ノー・ダメージ)だろうと関係ないのだろう? ヴァンパイアからすると。それなのに俺は生きている」


畳みかけるように続けた。


「俺のシャツのボタンをはずし、首につけているものを見てみろ!」


ゼテクの隣に座るリマが、ゼテクを見る。

それでもゼテクは無言のままだった。


「ベリルが俺につけてくれたものが首にある。元々はベリルが身に着けていたものだ。だからきっと価値があるはずだ。供物に与えるようなものか、その目で確認してみるがいい」


「……師匠、確認してみる」


リマが動いたが、ゼテクはそれをめない。

俺に近づくと、リマはシャツのボタンを三つ、はずした。


「君、重ね着しているの⁉」


「あ、うん。寒いから半袖の上に長袖を着た……」


「ホント、君、面倒!」


リマはキレ気味にそう言うと、半袖シャツのボタンも同じようにはずした。

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