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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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59:お似合いの二人

「明日、ベリル様は午前中シディアンと、午後はカイとそれぞれ映画館デートをするそうです。映画館と言っても、この別荘にあるシアタールームを使うから、護衛は不要とのことでした」


「じゃあ、俺たちは一日フリーなのか?」


「と思ったら、拓海は午前中、仕掛け人をやって欲しいそうです」


「仕掛け人……?」


「ベリル様とシディアンが観るのはホラー映画。その映画の上映にあわせ、ちょっとした恐怖演出をして欲しいそうです」


「……つまり、ハプニングの仕掛け人ということか」


「そういうことです。ちなみに午後のカイとのデートの仕掛け人は、バーミリオンですね」


「なるほど」


「拓海は午後がフリーになるので、午後からボクシングの練習をやりませんか?」


「そうだな。本当は剣術や乗馬もやりたいのだけど……」


「休暇中なのに拓海は真面目ですね」


「まあ、俺はキャノスなんかより出遅れているから……」


「気持ちは分かります。私の方で乗馬の練習ができないか確認しておきますよ。馬がいることは分かっていますからね」


「ありがとう、キャノス」


気づけば夜会も終盤に差し掛かっている。


するとクレメンスが動いた。


ミッドナイトブルーのスーツでビシッと決めたクレメンスは、エクリュと話を終えたベリルをダンスに誘った。二人がダンスを始めると……。


空気が変わった。


演奏が始まると同時に、音楽が奏でる世界を二人が具現化していた。

音色の一つ一つが紡ぐ物語を、二人がダンスで演じて見せている。


ヴァンパイアの音楽なんて俺はもちろん知らなかったが、それでも分かった。

これは男女の出会いの喜びを奏でた曲なのだと。


クレメンスとベリルの表情、ダンスのステップ、全体の動き。


そこから溢れるような想いが伝わってきている。

誰もが今していたことをやめ、二人の姿を目で追った。


まさに王子と姫君による恋のダンス。

初々しい恋が生まれた瞬間を表現したダンスに、目が釘付けになった。


今、ダンスを踊るベリルは、クレメンスのことしか見ていない。

クレメンスもまた、ベリルのことしか見ていなかった。


二人だけの時間が確かに流れている。

そこに立ち入る隙など見いだせなかった。


誰にも邪魔できない二人だけの世界……。


明るい音楽で、ダンスも軽快なステップが多いのに、俺の気持ちはなぜか沈んでいった。


レオと踊るベリルを見ていても、こんな気持ちにはならなかったのに……。


最後、見事にポーズを決め、ダンスが終わると、一斉に拍手が起きる。


俺も慌てて拍手を送った。

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