表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

545/547

40:俺、どうなっていた!?

「拓海、大丈夫か?」

「ベ、ベリル……」


なんだか頭がボーっとする。


「俺……」


どうして寝ているんだっけ?

純白のベリルを見て、自分がどんな状況にあったのかを思い出し、ガバッと起き上がる。


「ベリル、俺、どうなっていた!?」


婚儀の夜の儀式の一つ、血の交換のため、俺は……ベリルの手首から吸血したはずだ。ベリルの手首には、白い包帯が巻かれている。


「痛かったか? ベリル……」


ヴァンパイアの吸血であれば、吸血と同時に魔力が送り込まれるから、痛みはない。むしろ気持ち良くなる。でも俺は人間で吸血したから……魔力を送ることもなかった。


「痛かったよな。ごめん、ベリル」


その細い手首を手に取ると、ベリルは「問題ない」と言い、包帯をするりと外してしまう。左手首にはうっすらと血の跡が見えるが、怪我はない。


「キャノスの治癒魔法が発動するようになっていたから。もう傷も癒えた」


そうだ。

そう言っていた。この包帯は魔法発生装置だと。

ベリルは外した包帯をサイドテーブルに置くと、水の入ったグラスを俺に渡してくれた。


吸血したはずなのに、口の中に血の味とか……感じないな。


「拓海は私の手首から吸血してしばらくすると、そのまま意識を失った」

「……! そ、そうなのか。それで?」

「しばらく体が痙攣し、何かに耐えているようで……。ひとまず様子を見ることにした」


全然覚えていない。

でもネフライトに意識は失うだろうと聞いていたから、驚きはなかった。

そこでグラスの水を飲もうとして「……ベリル、牙が」と俺は叫ぶ。


「ああ。痙攣が落ち着いた後、呼吸も落ち着き、まるで寝ているような状態になった。そこで渡されていた丸薬を飲ませた。その時、犬歯が牙になっていることも確認している」


自分がヴァンパイアになったのか、まだ実感は何もないが、牙が生えている。

その事実に、自分がヴァンパイアになったのだと、じわじわと認識することになった。


「どこか具合が悪いところはないか? 体もそうだが、気分も問題はないか?」


ベリルに尋ねられ、自分の体調や気分を確認するが、気になるところはない。それは丸薬のおかげかもしれないが、ともかく大丈夫だった。それを伝えると、ベリルは安心した表情になる。


「では本当に拓海がヴァンパイアになったのか、確認しないとな」

「そうだな。……って、どうすればいい?」

「まずは力だ」


ベリルはそう言うと俺を押し倒し、馬乗りになる。


「私を排除できるか?」

「!!」


ベリルはヴァンパイアで怪力だから、俺の力では……。

いや、違う。俺もヴァンパイアになったのだから!

俺の肩を押さえつけるベリルの腕を掴む。

いつもならびくともしないが。


「!」


掴んだ腕は簡単に持ちあがる。

そのまま肩を押さえる両腕を掴み……。

ベリルをベッドに押し倒し、俺が馬乗りになることに成功していた。


「ベリル、俺、怪力になっているんだよな!?」

「そうだ。間違いない」


一気に自分がヴァンパイアになったのだと、実感することになる。


「では、次は魔術だ」

「!」


怪力になったはずなのに!

ベリルは簡単に俺から逃れ、ベッドの横に立っている。


「魔力を魔術として行使するには、呪文の詠唱が必要だが、その際、使う魔術をイメージしたりと、一筋縄ではいかない。よって今後、拓海は魔術を使うため、学習する必要がある。だが呪文を詠唱するだけでも、魔力があれば反応が出る。それで拓海に魔力が巡っているかを確認できる」


「そうか。……じゃあ今から呪文を詠唱するのか、俺?」


ベリルが頷いた。

これにはもう、なんだかテンションが上がってしまう。

だってそれこそ、ゲームやアニメで見た世界じゃないか!

呪文の詠唱。

ベッドから降り、ベリルの横に立つ。


「ベリル、呪文を教えて!」


頷いたベリルは、蛍の森で、『ザイド』のメンバーに襲われた時に使っていた呪文を、俺に伝える。


そうだった。呪文の詠唱、英語なんだよな。

英語か……。あまり得意科目ではなかった。

でもともかくだ。

プレイしていたゲームの主人公を思い出しながら、俺はベッドのそばでポーズを決める。


「Wall of Fire, Prevent Enemy Attacks.(炎よ、壁となり攻撃を防げ)」


ベリルのように、炎の壁は現れないが。

なんだろう、全身がぶわっと急激に熱くなった。

熱くなって……。


なんだか宙に線香花火のような火花が一瞬、いくつかパチパチと爆ぜた。


「うん。合格だ、拓海」


ベリルは満面の笑みだが、俺は「えええええっ」とそのしょぼさに驚愕する。ベリルが呪文を詠唱した時の炎のスケールを覚えているだけに、この結果にはトホホなのだが。


「問題ない。魔力は体内を巡っている。練習を積めばちゃんと魔術を使えるようになるから」


ベリルはそう言ってくれるが……。


「拓海。すべきことを進めよう。今度は私が拓海に吸血する」


そうだった。

血の交換だから、今度はベリルが俺の……。


ベリルが俺をお姫様抱っこすると、ベッドにおろした。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『つ、遂にだ!』

いよいよその時です。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●第2回ドリコムメディア大賞●
●一次選考通過作●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇
『【完結】断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇』もおススメです☆

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
『悪役令嬢は死ぬことにした』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ