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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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39:お前を自分の眷属にする!

夫婦の寝室に入ると、情熱的で華やかな甘い香りが漂っている。

その香りの発生源は……ベッドだ!

間接照明のムーディな部屋の中を進み、ベッドの上を見ると、そこにはベルベッドのような厚みのある真紅の花弁が敷き詰められている。

これは挙式の時のブーケにも使われた、ベリルの名を冠した薔薇の花びらだ。

サイレントヴィレッジの植物園でこの薔薇を見た時、ベリルは魔法で美少女に変身していた俺に対し、こう言っていた。


――「婚儀の日の夜には、この私の名を冠したバラを取り寄せ、薔薇風呂にしようと思う。そしてベッドには、この薔薇の花びらを敷き詰めるつもりだ。そこでダナ、お前は私の血を吸い、ヴァンパイアへ生まれ変わる」


つまりベリルは、有言実行したわけだ。


今日のベリルはこの薔薇と同じ、情熱的で華やかな甘い香りがするのか。


想像するだけで、鼻血が……と思ったら、いきなり扉が開く音がする。

心臓にくる! もう本当にビックリしてしまう。


声こそ出せなかったが、飛び上がったので、部屋に入ってきたベリルが「どうした、拓海!?」と驚いた様子で俺に声をかけた。


「なんでもないよ」と答えようとしたが、「なんでもない」などと答えられない!


部屋に入ってきたベリルは……。


俺の想像では、黒のキャミソールタイプのネグリジェか、真紅のベアトップタイプのネグリジェという、もう妖艶でエロさ全開の姿で現れると思っていたのだ。何せベッドには、薔薇の花びらが敷き詰められているわけだし。


でも目の前のベリルは……。


純白だった。


照明が抑えられたこの部屋でさえ、輝いているように感じる白いネグリジェ。繊細な刺繍とレースに、長袖のロングスカートと、露出は抑えられている。それなのに体のラインはバッチリでていた。


豊かな胸の膨らみ、くびれたウエスト、きゅっと盛り上がったお尻。


これだけ白く清楚な姿なのに、エロさを感じさせるなんて、なんて罪な……。


いきなり全力疾走直後かのように、心臓がドッキン、ドッキンしている。


ヤバい、このまま心臓発作で倒れるのでは、俺!?


そんな状態の俺に対し、ベリルは手にしていた分厚い本をペラペラとめくり、指示を出した。


「拓海、まずはベッドに腰かけて欲しい」

「!? わ、分かった」


ベッドに腰かけると、ベリル自身は横になった。


それはもう「どうぞお召し上がりください」と用意されているようで、もうすぐにでもベリルに覆いかぶさりたくなっていた。


「順番としては、血の交換を行う。この儀式で拓海は、人間からヴァンパイアへと変わる。でもこんな儀式の経験、誰もないからな。どうなるか分からない。すんなりヴァンパイアに生まれ変わることができたら、一通り確認を行い、その後は誓いのキス、そして……」


そこでベリルが視線を伏せ、頬をうっすらと染めると「結ばれることになる」と囁いた。


それを見ると、一瞬意識が飛びそうになるが、なんとかそれを堪える。


「ベ、ベリル。その、実はこれを取り寄せた」


テルギア魔法国から取り寄せたということで、ネフライトからもらった丸薬の入った瓶を渡す。


「俺も自分がヴァンパイアになったらどうなるか分からなくて、調べたんだ。すると気絶する可能性もあるって。で、この丸薬が気付け薬になり、あと消耗した体力の回復になるらしい。だからもし俺が吸血をして気絶したら、これを……飲ませて欲しい」


「ちゃんと調べたのか、拓海。分かった。水の用意もあるから、気絶した際は、その丸薬を飲ませよう」


「うん、頼んだ」


「……それで血の交換だけど、俺さ、牙がないから、ベリルの首から上手く吸血できるかな?」


「そうだな。私は私でキャノスに魔法発生装置――治癒魔法が発動する包帯を用意してもらっている。だから首でもいいが……手首にしておくか?」


血の交換の後に誓いキスがあって、その後に……ということを考えた時、ベリルの首に包帯が巻かれているのは……なんだか可哀そうな気持ちになりそうだ。ならば手首だろう。


手首から吸血することを告げると、ベリルはあっさり俺に自身の左手首を差し出す。


「えっと……もう、吸血しても?」

「ああ、構わない」

「……何か言ったりしないのか?」

「?」

「ほら、その、なんか呪文ではなく、えーと、『私はお前を自分の眷属にする!』みたいな」


俺の言葉に、ベリルは吹き出す。

言った自分が言うのもなんだが、「なんなんだよ、眷属って!」と自分ツッコミをバッチリいれたくなっていた。


「拓海は私の最愛の相手であり、パートナーであり、夫になる。眷属などではないからな。……まあ、あえて言うなら」


そこでベリルが、ルビーのような瞳を俺に向けた。


「この時をずっと待っていた。拓海が私と同じ時間を生きることができるようになる――それを心から嬉しく思う」


「ベリル……」


そうだ。

もう俺だけ早死にする――とかって悩む必要、ないんだよな。

ベリルの左手をとると、一度深呼吸をし、その後は勢いで噛みついた。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『俺、どうなっていた!?』

うん、どうなっていたん!?


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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