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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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38:嬉しいんだけど、緊張する!

ウェディング舞踏会は、未明まで続く。

ウルフ王国の面々は、国王陛下夫妻をのぞき、間違いなく、踊り続けるだろう。

後のみんなはどうだ?

ポリアース国のメンバーは……グレゴウス教皇は高齢だし、付き添う形のノエルも早々に休むだろう。

テルギア魔法国の魔法使い達は……回復の魔法だって使えるから、時間はあまり気にせず、楽しみたいだけ楽しむ……そんな風に思えた。

一方のヴァンパイア達はもうみんなノリノリだ。

ウルフ王国の王族達とダンスしてワインを楽しんでいるし、こちらもそのまま夜を明かす気がする。


「拓海様、そろそろお支度しましょうか」


アレンとカレンに声をかけられた。

見るとベリルは、スピネルと二人のメイドに囲まれ、ホールを出て行くところだった。


「う、うん。そうだな。支度。そう、支度、しよう」


俺が返事をすると、アレンとカレンが俺を先導するように歩き出す。その後ろを俺がついてき、シナンも数歩遅れでついてきている。

あ~、いよいよか。

嬉しいんだけど、緊張する!

この瞬間からもう、心臓がバクバクしている。

いよいよだと、緊張で体の中心は熱いのに、手はなんだか冷たく感じていた。


「拓海様、緊張されています?」


チラリとこちらを振り返ったアレンが、いつも通りの声音で尋ねる。


「そ、それは……緊張するよな!?」


「ええ、当然です。ここで余裕しゃくしゃくでしたら、腹立たしいです」


アレンがそう言うとカレンまで「もし余裕ぶっこいたら、、めっちゃプレッシャーかけますよ」と、とんでもないことを言う。


「迷いますよね。緊張しているならリラックスできる入浴剤……ラベンダー一択でしょうが、『入浴してすっかり落ち着きました!』ではその後、困りますからね」


アレンがそう言うとカレンは。


「ならばもう逆に、その緊張を爽快感にまで高める、ペパーミントの入浴剤がいいのでは?」


二人はしばらく、入浴剤を何にするか持論を展開し、最終的に「ベルガモットの香りの入浴剤を使う」ことで落ち着いていた。リラックスすると同時に、気持ちを高める効果もあるらしい。


というか、入浴剤の香りにさえ気を使い、俺を応援しようとしているのだと思う。アレンとカレンは。そう思うと、本当にこの双子のライカンスロープの召使いはイイ奴だ。


部屋に到着すると、シナンは廊下で待機。

今晩は特別に、このまま廊下で寝ずの番になるという。


アレンとカレンは、手際よく入浴の準備を進めてくれたので、あっという間にバスタブにつかることができた。


湯船につかった瞬間、もう盛大に「しみる~」と声が出てしまう。


もう早朝からずっと、緊張の連続だった。こうやって温かい湯船につかると力が抜け、筋肉のこわばりも解けていくように感じる。


やばい……。

このまま眠りそうだ。


「拓海様!」


アレンの声に、閉じかけていた目をこじ開ける。


「ちゃんと体も洗ってください。入浴が終わったら、キャノス様が回復の魔法をかけてくださりますから」


「そ、そうか。それは良かった!」


「人間には厳しいスケジュールだったと思いますから。でもこれからが拓海様が待ち望んだ時間ですよね。頑張りましょう」


そう言われるとなんだか、猛烈に恥ずかしい。

確かに待ち望んだけど、それだけではないからな。


「大丈夫です。分かっていますから」


アレンはまるで俺の心を読めるかのようで、驚いてしまう。

でもともかく準備は進めないと。

ということで髪を洗い、体も洗い、すっかりさっぱりして、バスローブを着て髪を乾かす。その後は、アレンが用意してくれていた寝間着に着替えた。


バスルームを出ると、ソファにキャノスが座り、俺を待っていてくれた。

テーブルには水も用意されている。


「拓海、こちらへどうぞ」


キャノスに言われ、ソファに腰をおろすと、キャノスは早速回復の魔法をかけてくれて、アレンはグラスに水を注いでくれる。なんだかもう、その時に向け、至れり尽くせりだ。


「これでもう、大丈夫ですよ。体の疲れは勿論、眠気もとれたはずです」


「本当だ。わりと立っている時間も多かったから、ふくらはぎが張っていたけど、それも収まった。眠気も……ないな」


「良かったです。私はこの後、シナンと二人で寝ずの番に入りますから。安心して過ごしてください」


キャノスはニッコリ笑い、アレンは「片付けが終わったら、僕とカレンは下がらせていただきます。拓海様はどうぞ、あちらから夫婦の寝室へ」と笑顔だ。


俺はチラリと、そこに存在しながら、一度しか開けたことのない扉を見る。


夫婦の寝室。


俺とベリルの間に存在する、夫婦となった俺とベリルが寝るためだけに存在している部屋だ。ムーディな雰囲気満点で、絨毯もカーテンもボルドー一色で統一されている。天蓋に使われている布も、少し明るいボルドーに黒のフリルとなんだかもう……エロティック。


俺が夫婦の寝室に思いを馳せている間に、キャノスは部屋を出て行き、アレンとカレンはバスルームだ。


つまり、後はもうベリルと二人でどうぞ、ということ。


ここから先は、俺一人で向き合うしかない。


ドキドキしながら、夫婦の寝室につながる扉のドアノブを掴んだ。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『お前を自分の眷属にする!』

いきなりどうした!?


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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