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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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33:元婚約者候補たち

続けて俺達のところへ挨拶に来てくれたのは、エクリュだ!


彼もまたベリルの婚約者候補であり、類まれな絵の才能と美声の持ち主。何より天性の観察眼で、俺自身より先に俺がベリルを好きであると気づき、「拓海くん……もしかして君は、ベリル嬢のことが好きなのか?」と尋ねたのだ。もしエクリュがいなければ、俺は自分の気持ちに気付かないで、ベリルは俺ではない誰かと結ばれることになっていたかもしれない。


そう思うにつけ、エクリュは特別な存在に思える。


「ベリル嬢、拓海くん、おめでとう。実に絵になる挙式だった。本当はあの場でスケッチをしたいぐらいだったが……。沢山、カメラマンがいたからね。写真を可能な限り手に入れ、あの挙式のシーンの絵を描こうと思うよ」


エクリュはご機嫌でこう続ける。


「僕は現実で悲劇が起きることを嫌い、自分の絵の中で不幸を描いてきた。でも今日の二人を見たら……。幸せを絵にするのも悪くないと思った。自分もその幸せを手に入れたいという原動力になる可能性があるからね」


「エクリュ、ありがとう。私はエクリュが描く幸せな絵、見て見たいと思う。楽しみにしている」


ベリルが笑顔になり、俺も同意を示す。


「きっと完成した絵は国立美術館に飾られますよね。絶対に見にきます!」


「拓海くん、連作でいくつか描くつもりだ。そのうちの一点は勿論、二人に進呈するよ。絵のモデルは二人なんだからね」


これにはもう、ベリルと顔を合わせ、大喜びだ。


エクリュが俺達のそばを離れた瞬間。


「拓海! おめでとう!」


熱烈大歓迎で俺を抱きしめるのは……ピスタチオ家の双子の兄弟・レオだ。


鮮やかなグリーンのスーツの上下のレオは、プロのサッカー選手。筋肉質でがっちりしているレオに抱きしめられるのは、なんだか迫力がある。


「いやあ、本当に、めでたいよ! ベリル嬢を幸せにするんだぞ、拓海!」


レオはもうその力強い手で、俺の背中をバンバン叩いた。

そこで俺の視界に、青みがかったグリーンのスーツが目に入る。


「レオ、お前、むさくるしいぞ。拓海、おめでとう。ベリル嬢、本当におめでとう」


カイが挨拶をしてくれたが、レオは、今度はベリルに熱烈大歓迎抱擁をしていて、ベリルはカイに反応できる状態ではない。そこで俺はモールのことをカイに報告することになった。胸に現れた魔術円を、カイに鑑定してもらっていたからだ。


「そうか。ではあの魔術円も胸にないのか。それはなんだか安心するような、寂しいような、そんな感じかな?」


「はい、まさにその通りです。……でも、あるべき場所に皆、落ち着いたと思います」


「まあ、そうだろう。自分の中に別人格がいるというのは……普通の状態ではないからな。それに実体がないのは辛い。モールも今はその湖の乙女と幸せだろう」


そうだと思う。

つい先日、俺の部屋に現れたモールは、本当に生き生きとしていたのだから。


「レオ、もう、十分、祝いの気持ちは伝わったから。放して欲しい!」


ベリルの声に、俺とカイと二人がかりでレオを引きはがす。カイとレオは、俺達のそばを離れた。

この様子を見ていたのは……。


クレメンスとアンナだ。


クラウド家のクレメンスは、ベリルの婚約者候補であり……そして元婚約者。

お互いの利害が一致したクレメンスとベリルは密約の元、婚約関係を結ぶが、それは魔女にさらわれたベリルの兄カーネリアンが、ブラッド国に戻ると同時に解消されていた。


カーネリアンを取り戻すため、テルギア魔法国に向かった時。クレメンスはベリルと俺に自身の三騎士と共に同行し、いろいろ手助けをしてくれた。


何より、絵に描いたようなイケメン、魔力も強い。五つの有力ヴァンパイアのクラウド家の一人であり、性格も良し。ホント、まともに勝負したら絶対かなうはずのないクレメンスだったが、彼には想う相手がいるそうで。おかげでベリルと俺は、こうやってゴールインできた。


「ブラッド国では、婚約してからだいたい三年から五年で結婚に至ることが多い。一年以内に結婚に至るということは……本当に二人は心から求めあい、愛し合っているのだろうね。いいことだ。今も幸せだと思うが、その幸せがずっと続くことを願っているよ」


クレメンスは、レオとは対照的な優しいハグで、ベリルと俺を祝ってくれた。


「あああああ! ベリルお姉様! なんてお美しいのでしょう……。ベリルお姉様のこのお姿を見たら、いろいろとハードルが上がってしまいます。アンナは将来、どんなドレスを仕立てても、ベリルお姉様のドレスにはかなわないと思いますわ……」


クレメンスの妹のアンナが、うっとり顔でベリルを眺めている。


ツインテールにペールブルーのドレスのアンナは、大変可愛らしい令嬢だ。初対面の時は、俺の婚約者になりたいと、熱烈アピールをしてくれた。でもアンナの憧れであるベリルが、俺を好きだと知ると……本人曰く「かなり泣いた」けれども、ベリルと俺の幸せを応援してくれた。


「拓海様も今日はビシッと決まっていますね。どうかベリルお姉様を大切にし、お幸せになってくださいね!」


アンナの笑顔に俺も笑顔になり「分かったよ!」と応じる。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『なんかエモイな』

昭和レトロな何かがあるようです。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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