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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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31:パレード

挙式が終わるとオープンカーに乗り、パレードだ。

もうひたすら沿道に集まるヴァンパイアに手を振り、笑顔を見せる。


「拓海、この『誕生の証』は、サイレントヴィレッジで手に入れたと思うが、一体いつ手配したのだ?」


にこやかに微笑み、手を振りながら、ベリルが俺に尋ねる。


「うん。実はベリルがオックス家に泊まることになった時、キャノスが宝飾品店に行くと話しただろう。あの時に行ったんだよ」


「なるほど。そうだったのか。……ふふ、私を驚かすために。ありがとう、拓海。大切にする」


今日は天気もいい。明るい陽射しが俺達に降り注いでいた。

純白のドレスはその光を受け、もう神々しいまでに輝いているのに。さらに笑顔になるから、もうその煌めきと言ったら……。

沿道のニュースペーパーのカメラマンが、シャッターを切りまくるのは当然だ。


パレードは概ね問題なく進行することができている。


何度か沿道から花束が投げ入れられ、それは騎乗でオープンカーに沿って進むキャノスの魔法により、ふわりと先導する車の騎士へと届けられる。毒が塗られているとか、爆弾が仕掛けられているとか、そんなことがないか確認するためだ。


沿道からオープンカーに飛び出すヴァンパイアがいて、それは徒歩で随伴するシナンが止めてくれる。


翼を広げ、空から俺達を祝おうとするヴァンパイアもいて、それは上空から俺達を警護するヴァイオレットと護衛の騎士によりガードされた。


そうこうしているうちにぐるりとコースを一周し、レッド家の敷地に戻って来ている。


「お帰りなさいませ、ベリル様、拓海様。これから披露宴ですので、お着替えをしましょう」


スピネル、アレン、カレンと他にもメイド数名が俺たちを迎えてくれた。

その後はもう早着替え。

今度は俺が白のフロックコートで、ベリルは自身の髪色に合わせたワイン色のドレスに着替えた。


ベリルのドレスは実に美しい!

シルクサテンとオーガンジーのダブルフェイス生地はウエストでタッキングされ、まるで大きな花びらを飾ったかのように見える。しかも大き目のパフスリーブにはビジューが散りばめられ、動く度にキラキラ輝く。


アップにした髪を飾る宝石、俺の贈った誕生の証のチョーカー。


もうすべてが完璧で、ひれ伏したくなる美しさ。


そのベリルを伴い、披露宴会場に到着すると、もう拍手喝采。

ニュースペーパーのカメラマン、レッド家が手配したカメラマン、ウルフ王国が用意したカメラマンともう絶え間なくフラッシュの嵐だ。

料理は次々と運ばれ、プロの歌手の歌唱も始まり、披露宴は料理を楽しむために進んで行く。出席者による余興はないので、落ち着いて食事を楽しみ、プロのショーを満喫できた。


その後はダンスタイム。


最初にベリルと俺がダンスすると、後はみんな自由に踊り出すが、同時に皆、順番に俺とベリルに声をかけてくれる。


自然と遠方からの賓客からの挨拶ということで、まず俺達の元へ来たのは、ウルフ王国の国王陛下夫妻だ。彼はいつも通りのノリで、ベリルと俺に声をかける。


「おめでとう、ベリル嬢、拓海くん。うん、こうやってみるとね、二人は本当にお似合いだ。末永く、仲良くね、うん。幸せになって欲しいよ」


国王陛下はそう言いつつも、自身の子供達を、妾や情夫にどうかなんて、本日も際どいジョークを言うから! 俺はヒヤヒヤだが、ベリルはそつなく受け流している。


その国王陛下夫妻の挨拶の後は、彼らの子供達が続々やってきて……。


やはりウルフ王国の子沢山ぶりはすごい!


それが終わるとテルギア魔法国の偉い方々で、プライドが高い魔法使い達だが、今日は礼儀正しく御礼の言葉を伝えてくれた。そして彼らの後に俺達のところへ来たのは、ポリアース国の首相とグレゴウス教皇とノエルだ。


「ベリル様、拓海様、本当におめでとうございます。今日というこの日は、ティストラン大陸において、歴史的な一日として多く者の記憶に刻まれたことでしょう。ヴァンパイアと人間の結婚。本当に奇跡です。どうか、二つの種族の架け橋となるべく、お幸せになってください」


そこでグレゴウス教皇は、自身の首から下げていた十字架のペンダントを手にとり、祝福の祈りの言葉を捧げてくれる。その声は年齢より若々しく、凛として思わず背筋が伸び、鳥肌が立った。


「ベリル様、拓海様、おめでとうございます。本当に、本当に……」


ノエルは……俺達の前に来た時から、目が真っ赤で泣き腫らした顔をしていた。そしてここでまた感情が昂り、涙が止まらなくなっている。


すると……。


テルギア魔法国の大臣の一人が、自らノエルに魔法を使い、腫れた瞼を癒し、目の充血を抑えてくれた。プライドの高い魔法使いが、ポリアース国の人間に、自発的に魔法を使うなんて実に珍しいこと。「ノエルはまた奇跡を起こしましたね」とグレゴウス教皇は微笑む。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『おめでたい席のおめでたいニュース』

誰のどんなニュースがもたらされるのでしょう?


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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