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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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16: 同じ悩み

カーネリアンにシナンがアドバイスをした翌日。


俺はまたもテラスでコーヒーとチョコレートを楽しみながら、カタログをペラペラめくっていた。


挙式が行われる部屋は騎士叙任式にも使われている部屋でとても広かった。

部屋……と言っているが、ホールだ。

ここに飾る花と、披露宴会場となる来客用ダイニングルームの飾りつけで使う花を、カタログから選んでいる最中だった。


ベリルの瞳、髪色にあわせ、赤系統の花でいい……と方針は決まっていたが、こんなに赤い花に種類があるなんて……。


赤い薔薇は決定で、あとは……。

かすみ草だろう、それと……。


「はあー」「はあー」


またも声が被る。

そしてその声の主は……カーネリアン!


「カーネリアン様、どうしたのですか!? バーミリオンと仲直り、できなかったのですか!?」


コーヒーを飲みながら尋ねると、カーネリアンは即答する。


「いや、それはできたよ。シナンの言う通りだったよ。僕から全身全霊で謝罪したら、バーミリオンは驚き、逆に自分からも謝罪してくれた。おかげで超えてはいけない一線を超えそうになり、危なかった」


これには驚き、コーヒーを吹き出しそうになってしまう。

同時に、仲直りできているのに、なぜにため息?と思ってしまう。

それを尋ねると。


「バーミリオンと熱い抱擁を交わしていると、なんというか彼女が実に情熱的で積極的であることが分かった。そして……慣れている。そう、男の体のどこに触れると喜ぶか心得ている感じだった」


「それは……バーミリオンは男として生きている時間が長かったし、上流貴族向けの娼館にも行ったことがあると言っていた。そこで働く女性からいろいろ習ったのでは?」


するとカーネリアンは、盛大なため息をつく。


「僕もそう思った。バーミリオンは間違いない。僕よりも知識がある。婚姻の儀式の後に迎える初夜。僕は……主導権を握ることができるか、自身がない! なぜなら秘密の花園にも行っていないからな。経験がない!」


いきなりの義兄の童貞宣言。さらに俺と同じ悩みを持つことに驚き、むせていると……。


「カーネリアン様。今からでも遅くはありません。秘密の花園を利用しては?」


奥の部屋にいたシナンが、俺達のテーブルの所へとやってきた。

なんだかデジャブを覚える展開だ。


「秘密の花園を利用するつもりはない。僕の初めてを捧げるのは、バーミリオンだから」


カーネリアンは照れることなくそう言い切った。

俺と同じく、主導権を握ることができるのか、経験がないから自信がないと言っているが、俺のようにうじうじ悩まず、実に堂々としている。


「カーネリアン様。ならばバチェラー・パーティーをやりましょう。男同士だけで集まり、そこで初夜に関する知識を詰め込みましょう!」


「シナン、そのバチェラー・パーティーとは何なのだ?」


カーネリアンに問われたシナンは、ポリアース国では有名なそのパーティーについて、こう説明した。

独身最後を男友達と過ごす――具体的には、お酒を飲み、ストリップを楽しみ、最後にハメをはずすパーティー、それが「バチェラー・パーティー」というものらしい。

重要なのは、男同士だけで過ごすこと。

別にストリップを楽しむのが重要ではない。

カーネリアンが初夜で主導権を握り、自信を持てるよう、一晩語り合うということだった。そのためにシナンは、既婚男性を集めるとうけおった。


「シナン、それはありがたい。それでいつ決行する? 婚儀まで、今日をのぞくとあと五日しかない」


するとシナンは明後日を提案し、カーネリアンは快諾した。


「拓海様も参加するか?」


シナンに聞かれた俺は「する!」と即答した。


「ベリル様に勘違いされないよう、ちゃんと話すのだぞ、拓海様。カーネリアン様の独身最後を祝い、男同士でおしゃべりするだけだと」


「分かったよ、シナン」


こうして。

思いがけず義兄のおかげで、長年の謎を解消できる機会に恵まれることになった。そして俺はこの日の夜、ベリルにバチェラー・パーティーについて説明することにしたのだが……。


「拓海、おしゃべりとは何をするのだ? しかも男同士だけとは、ずるいではないか!」


ベリルが好奇心旺盛であることを忘れていた。

秘されると秘されるほど、ベリルは知りたがりになってしまう。

それに俺は嘘をつくのが下手であり、かつベリルに脇腹と背中という弱点を知られていた。よってあっさり陥落することになった。


「なるほど。初夜で何をするか皆で学ぶのか」


「そ、そうだよ、ベリル。ベリルだってスピネルからレッド家の女性に代々伝わる秘伝書で学ぶことができるだろう? でも俺はそんな本ないから! だからシナン達に習うんだよ」


「……そうか。拓海も……大変だな」


なんだか最後は、同情された気がする。

もしやベリルも初夜に関しては、悩んでいるのかな?

だが。

主導権うんぬんについては、ひとまず隠し通すことに成功した。

そこはやはり男同士で秘密にしたいところだから、ホッとする。


とにかくベリルからは「兄上も参加するのだ。拓海が参加しても問題ない」と言われ、俺はバチェラー・パーティーに堂々参加することになった。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『秘密の集い』

ドキドキしながら部屋へ向かうと……。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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