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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

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11: 取引

紅茶を口に運んだベリルに、俺は話して聞かせる。


「湖の乙女はモールを手に入れ、ネフライトを撃退するが、さすがに殺しはしない。でも深手を負うだろう。そうなるとデスヘルドルの死の管理者・ジェットも黙ってはいない。ただ、湖の乙女を相手に戦闘したいとは思わないはず。その結果、死の管理者・ジェットの怒りが俺に向かう可能性がある」


ベリルは俺の言葉に顔付きが変る。


「そうならない方法をモールが提案してくれた」


「どんな方法だ、拓海?」


ベリルが真剣な眼差しで俺を見た。


「湖の乙女にモールの魂を届ける時に交渉する。モールの魂を渡してもいい。だが条件が一つあると告げるんだ。この魂を渡せば、俺はデスヘルドルに目をつけられる可能性がある。だから俺や俺の仲間に手出し不要と、湖の乙女からネフライトに通告させる」


「……湖の乙女は、そんな取引条件に応じるのか?」


俺は応じるを示すため、深く頷く。


「目の前にモールの魂がいるんだ。そしてここでその魂を受け取らないと、モールの魂はデスヘルドルに回収される。いくら湖の乙女が特異な存在でも、単身デスヘルドルに乗り込むのはキツイ。今なら簡単に手に入る。それならばその条件、飲もうとなると、モールは言っていた」


するとベリルはしばし考え込んで、俺に尋ねる。


「湖の乙女は我々と取引をするとして、ネフライトはどうなのだ? モールの魂を手に入れることに失敗し、その原因を作った拓海と私達に手出し不要と湖の乙女から言われ、あっさり受け入れるのか?」


「受け入れなければ、戦闘になるはずだ。だが、モールの魂一つのために、多くのマグネス(死の使者)を犠牲にすることを、さすがに死の管理者・ジェットも、良しとはしないはず――そうモールは言っていた」


ベリルは俺の言葉を反芻し、「そうか」と深々と頷いた。


「モールの提案は妥当だな。その作戦で行くのがいいと思う。……湖の乙女に会いに行く時、シナンは連れて行くのがいいのか、それとも留守番がいいか?」


「あ、それについてモールは、シナンは留守番でいいだろうと言っていた」


ベリルは不思議そうな顔で「その理由は?」と尋ねた。


「モールが手に入ると分かった瞬間、湖の乙女はシナンに対する興味がなくなる可能性がある。そうなると、シナンに与えたギフトを取り消すかもしれない。でもシナンはあのほくろを活用し、俺の護衛にもついてくれている。ほくろの力はないよりあるに越したことはない。だからシンナは同席させず、むしろ忘れておいてもらえるといいだろうって」


「そうか。ならばシナンは留守番だな」


その後は誰が湖の乙女に会いに行くか、メンバーの厳選を行うことになった。



湖の乙女に会いに行くメンバー。


その筆頭は当事者である俺。


俺以外の人選はと言うと……。


湖の乙女は魔術の効かない体質(ノー・ダメージ)に対しても、自身の力を行使できる。そのことから人間であるリマの同行は危険となった。いくら暗殺スキルが優れているとはいえ、相手は次元の違う存在。リマも自身が留守番になることには納得してくれた。


シナンはそもそも論で行かない方がいいとなったので留守番が確定。


そうなるとシナンの代わりに俺を護衛するということで、ゼテクが同行することになった。


次にベリルが来るのは……いろいろな意味で確定だ。俺はベリルの婚約者だし、ベリルの魔力と魔術は優れている。いざとなれば自分の身は自分で守れるのだから。


ベリルが出向くとなると、彼女を護衛するヴァイオレット、キャノスの同行は必須となる。


つまりは、俺、ゼテク、ベリル、ヴァイオレット、キャノスの五人で出向くことになった。それ以外のスピネル、アレン、カレンは留守番だが、彼らは自身を非戦闘員と理解しているから、この決定に異論を挟むことはなかった。


「五人なら妥当であろう。それぞれの立場を考慮すれば、この人数になったことに違和感はないはずだ。これ以上であれば、湖の乙女も警戒するだろうが、これなら大丈夫だろう」


ベリルはそう判断した。そしてこの五人は今、レッド家の会議室に集合していた。

円卓のテーブルに着席し、改めて今後、どう動くかを話し合うことになっている。

ちなみに同行をしないが、シナンとマリはご意見番としてこの場に同席していた。


「ベリル様。このメンバーで湖の乙女の元に向かうことは理解できます。問題は湖まで行ったからといって、湖の乙女に確実に会えるわけではありませんよね?」


キャノスの指摘にベリルは頷く。


「湖の乙女は基本的に気まぐれだ。こちらが会いたいと願ったところで、会いにきてくれるわけではない。……シナン、何か方法はあるか?」


ベリルに問われたシナンは答える。


「正直、湖の乙女は神出鬼没だ。ベリル様の言う『気まぐれ』が相応しいと思う。ただ、湖の乙女は美しい者を好むから……」


そこでシナンはチラリとキャノスとゼテクを見る。


「キャノスとゼテクを前面に出せば、寄って来るのでは?」

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『ターザン?』

いろいろいいとこどりをした結果……。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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