表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode7二人の愛完結編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

512/547

7:父上からの伝言

「女々しいぞ、拓海。いずれ見つかると分かっていたことだ。魔力を使ったことに後悔はない」


モールは……。

最初はとんでもない奴だと思ったけど。

ノエルに対しての行動とか、ベリルを侮辱するようなことも言ったけれど……。

憎めない。


――なあ、モール。明日は一日時間がある。デスヘルドルに行く前に食べたいものとか、やりたいことがあれば、それをやろう。


「う……ん。ならばあのヴァンパイアを抱きたいが」


――モール!


「冗談だ。だが急に言われてもな。この世界のこと、ようやく分かり始めたところだ。考えておく」


――そうか。


「まあ、すぐに思いつかないぐらい、なんだかんだで満足しているということだ。だから気にせず、寝ろ、拓海」


――分かった。


「では場を譲る。我のことは寝かせろ」


――分かったよ。


「でも、その前に」


――?


「ベリル、頼む! 眠れない!」


――な、モール! 何言っているんだよ!


瞬時にモールは退場し、そして扉がノックされ、ベリルが部屋に駆け込んできた。


「ベリル!」


白いネグリジェのベリルが俺に抱きつく。


「モールと話したのだな。大丈夫だ。ちゃんと私が眠れるようにしてやる」


そう言うなりベリルは俺を抱き上げる。

いつだってこれをされると恥ずかしくなってしまう。

だがすぐにベッドにおろされ、ベリルは俺の寝間着の上衣を脱がしていく。


ゆっくり明かりが落ち、その後は――。


濃厚な快楽と共に、深い眠りに落ちていった。



「はーい、拓海様、起きてください」

「起きないと鼻からお水を流し込みますよ」


うん!? 水?

というかこの声は……。


「ヴァイオレット? リマ?」

というか。

なんで俺の部屋にみんないるんだ……?


部屋にいるのは、隊服姿のヴァイオレットとリマだけではない。

同じく隊服姿のキャノス、シナン。

さらには揃いの白シャツにピーコックグリーンのジレ(ベスト)、ジレと同色のキュロット姿のアレン、カレン、それにボールド色のドレスに白衣のスピネル。


このメンバーがいたら、必ずいるのは……。


そう。

ローズピンクのドレス姿のベリルもいた。


「おはよう、拓海」

ベリルを皮切りに、皆、口々に俺へ朝の挨拶をしてくれる。俺もそれに応え、そして――。


「拓海、父上からの伝言がある」


ベッドに起き上がった俺にアレンが紅茶を渡し、ベリルが俺のベッドのそばの椅子に腰をおろす。他のメンバーも壁によりかかったり、ソファの背にもたれたり、それぞれ話を聞く体勢になる。


「私達がいるティストラン大陸に、この世界のことわりから外れた存在がいる。生者でもなければ死者でもない。異質の存在。他の種族との接点を持たない存在。それがなんであるか、分かるか、拓海? ――そう、父上は問うている」


アレンから受け取った紅茶を手に、俺は固まる。

目覚めてすぐ問われる質問にしては難解過ぎた。

俺が困り顔でベリルを見ると。


「拓海様、これだよ、これ」


壁にもたれるシナンが自身のほくろを指差す。


「え、モール?」

「バカなんじゃない、拓海!」


即刻、リマに否定される。

えーと、そうなると、何だ!?


「拓海、シナンのほくろは特別ですよね?」


キャノスが助け船を出してくれる。

特別。

そうだよな。

女性をいちころにできるのだから。


「拓海、あのほくろをシナンは誰に授けられたか、覚えているか?」


ヴァイオレットにさらに尋ねられ、思い出す。

ブノワの自主制作映画にも登場した……。


「湖の乙女――だよな?」


「正解よ、拓海くん。湖の乙女は精霊と言われる存在、この世界の理とは別の次元で生きているの。だからこそ、シンナくんのほくろみたいな、特別な力を授けることもできる。しかも確かにそこに存在しているのに、彼女と結ばれようと思ったら、この世界の者だったら死ななければならない」


窓際のテーブルのそばの椅子に腰をおろしているスピネルはウィンクし、さらに続ける。


「つまり、死者に、魂という存在にならないと、彼女と愛し合うことはできない。では湖の乙女は死者であり、魂なのかというと――これまた違う。その存在はデスヘルドルの管理者ジェットやマグネス(死の使者)と同じ。特別で特殊な存在なのよ」


「それってつまり……」


スピネルに代わり、ベリルが答える。


「デスヘルドルを統べるジェットやマグネス(死の使者)に唯一、この世界で対抗できる存在、それが精霊であり、湖の乙女だ。彼女の行動にはジェットやマグネス(死の使者)は干渉できない」


「そ、そうなのか……!」


俺の問いに、その場にいる全員が頷く。

アレンやカレンさえ、頷いていた。


「昨晩。あの話し合いの後。皆、なんとも言えない気持ちを抱えることになった。……拓海の気持ちが分かるから、なんとかできないものかと考えた。それは……父上も同じだった。それぞれが書物を調べ、情報を検索し、そして辿り着いた。デスヘルドルと唯一肩を並べられる存在を見つけ出した」


ベリルのこの言葉には胸が熱くなる。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『魔王の姿』

モールの容姿が明らかになる!


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●第2回ドリコムメディア大賞●
●一次選考通過作●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇
『【完結】断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇』もおススメです☆

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
『悪役令嬢は死ぬことにした』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ