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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode6ウルフ王国結婚狂騒曲編

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57:甘えさせて、ベリル

「!? もう寝るのか? まだ21時を過ぎたばかりだが?」


「他に何かすること、あったか?」


「いや、特には……」


「じゃあ」


おもむろにお姫様抱っこでベリルを抱き上げる。


「拓海!?」

「甘えさせて、ベリル」

「!!」


驚いて、さっき以上に頬染めるベリルは……。

ホントに、可愛い……。

照れたベリルが可愛いというのはもちろん。

俺の言葉で照れてくれるベリルが、堪らなく愛しい。

女子の扱い方なんて、全然分からなかったのだが。


なんてことはない。


ベリルが笑顔になってくれることをして、悲しい顔になることは、やらなければいいだけだ。そして今のベリルは……照れながらもとっても嬉しそう。だからこのお姫様抱っこは、正解。


ということでベリルをベッドにおろして。

ゆっくり抱きしめながら、ベッドに転がる。

改めてその体を抱きしめ、気づく。

今日のネグリジェは、背中が結構あいていると。

こ、これはもしかして、背中にキスをできるチャンスでは!?

そう思った瞬間。

ドキドキだった心臓の鼓動は、バクバクへと変化する。


「ベリル」「拓海」


!!

同時にお互いの名を、呼んでしまった。

元いた世界のままの俺だったら。

構わず自分から話をしてしまうが、この異世界にきて、騎士道精神を学んだ。だからここは、ベリルに譲る。


「どうした、ベリル?」

「拓海こそ、どうした?」


ベリルは優しい。俺のことを尊重してくれる。


「俺はたいしたことを言うつもりじゃないから。ベリルが先に言って」


「うん……私はただ、少しばかり使った魔力の補給をしたかっただけだ」


「ベリルの小さな花火、可愛らしくて綺麗だった」


そう言いながら寝間着のボタンをはずしていくと、ベリルが微笑んで上体を起こす。


「6月は一年で一番過ごしやすく、天気もいい。太陽もなかなか沈まず、ブル―アワーのような明るい夜空の時間が長く続く。だから6月の週末は、レッド家の敷地内で魔術を使い、花火を打ち上げる。それは色とりどりでとても美しい。父上は珍しい水色の花火を打ち上げられるし、母上はグリーンの花火。6月の週末の花火は、メクレンブルの風物詩になっている」


ゆっくりと寝間着の右側を脱がしながら、ベリルが花火について教えてくれた。


「そうなのか。俺が元いた世界では……というか俺がいた日本という国では、6月は雨の季節。花火なんて7月か8月だよ、打ち上げるのは」


サラサラとベリルのワイン色の髪が、肩や胸に落ちてくる。


「ブラッド国の6月は、湿度も低く、気温は高いが過ごしやすい。何より今年の6月の花火は、これまでになく盛大なものにしよう。拓海の誕生日があるからな」


ベリルの甘い声がすぐ耳元で聞こえ、瞬時に気持ちが昂る。

同時にキスのことを思い出す。


そう。

俺の誕生日の時に。

ベリルにキスをプレゼントしてもらう。

その盛大な花火を見ながら、ベリルとキスをしたい……!


ベリルとキスをする自分を想像し、堪らなくなり、ベリルの名を呼ぶと。

ゆっくり唇が首筋に触れ、静かに牙が刺さり、魔力が体内へと流れこんでくる。


痛みはすぐに快感に上書きされ、全身に刺激が巡って行く。


その快感は、まるで……。


脳裏に浮かぶ、ベリルとのキス。

唇を重ねるキスがもたらす快感。

そんな風に思えてしまう。


つまり、ベリルの吸血の快感と妄想のキスの快感が、完全に俺の中でリンクし、かつてない高揚感を味わうことになった。それはベリルとキスをしたい願望を、さらに高めることにつながり、この昂りを落ち着かせるのは……とても大変だ。この昂りのまま、ベリルの背中にキスなんてしたら……。


止まらなくなりそうだ。


だからベリルの背中へのキスは我慢し、吸血で意識を飛ばしてもらい、俺は眠りについた。

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