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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode6ウルフ王国結婚狂騒曲編

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56:ベリル、寝よう!

「あ、ベリルお嬢様、拓海様、お帰りなさいませ」


部屋の外には、カートではない別のいかついベアウルフが、警護についてくれていた。でも部屋の中では、双子のライカンスロープが、入浴の準備をして待ってくれている。両方とも同じライカンスロープの血が流れているのに。同じ種族とは思えない。


「拓海、疲れただろう。ゆっくり湯船につかり、休むといい」


相変わらずベリルは、俺に気を使い、優しい。

ベリルは髪も結い上げているし、ドレスを脱ぐのに時間がかかる。

だから有難く先に入浴させてもらう。


俺と入れ替えでベリルはバスルームに向かい、アレンはベリルのドレスなどを片付け、カレンは冷たい飲み物を用意してくれた。


「なあ、カレン。第六王子の次女の事件。ポリアース国の人間とライカンスロープは、やっぱり対立しているのか?」


炭酸水で喉を潤しながら尋ねると、カレンはアレンの片づけを手伝いながら答える。


「そうですね……。対立というか、ポリアース国の人間の皆さんからは、恨まれている気がします。うんと昔は、本当に人間を連れ去ることが、多かったみたいです。でも、今は法律でも禁じられていますから。恐らく、今回逮捕された新郎の元婚約者をさらったライカンスロープには、厳罰が下されると思います」


するとアレンも、こう捕捉する。


「今回の事件を受け、国王陛下は、ライカンスロープと人間の婚姻を、申請許可制にするかもしれません。つまり、国王陛下が許可しないと、人間との婚姻を認めない制度を、成立させるかもしれないです。当事者を呼び出し、個別に審理官が面談をして、最終的に国王陛下がジャッジする、みたいな。昔からこの案はあったのですが……」


そこで困ったようにアレンがため息をつく。


「特定の季節に、申請が集中するんですよね。つまり今、春。春は申請数がぐんとあがるので、さばききれないのではと見送られてきていたのですが。でもまさか王族の結婚式で、こんな事件が起きてしまうと……」


カレンとアレン、共に同時に腕組みをして、ため息をつく。


「国王陛下一人にやらせようとするから、大変なのだろう? 王族はあれだけいるのだから、王族のみんなで手分けしてやればいいんじゃないか?」


「!! 拓海様、斬新な案ですが、確かにそうですね」


アレンが目を丸くする。


「カート叔父さんに話してみましょう」


カレンは名案という顔で頷く。

そんな感じでしばらく話していたが。

片づけも終わり、双子のライカンスロープは今日の業務を終え、部屋を出て行く。入れ替わるようにベリルが入浴を終え、リビングルームに来た。


ベリルはラムネ菓子のような、淡い水色のネグリジェを着ている。その姿を見ると、途端にベリルに甘えたくなってしまう。

だから。


「ベリル、お水」

「ありがとう、拓海」


冷たい水をベリルに渡すと、ブラシを取りに行く。

ダイニングテーブルの椅子に腰かけ、水を飲んでいるベリルの髪をとかす。


「? どうしたのだ、拓海?」

「いつも寝る前に髪をとかすだろう。だからとかしている」

「……そうか。ありがとう」


ベリルのワイン色の髪は、まだ少し、しっとりしている。

その髪を優しくとかすと、ミントを思わせる、サッパリした香りがした。


艶があって、美しい髪だな。

掴んだ髪を持ち上げ、キスをすると。


「拓海は獣耳と尻尾といい、毛が好きなのか?」

「!? 毛!? 毛は別にどうでも……。俺が好きなのはベリルだよ」

「……そうか」


そう言って俺から視線を逸らしたベリルだが、その頬はうっすらとピンク色に染まっていた。

俺に好きって言われて喜んでいる……。

その事実に、どうしたって嬉しい気持ちがこみ上げてきた。


鼻歌を歌いながらブラシをしまい、寝室の電気をつけ、ベリルが飲み終わったグラスを片付ける。

もうこれで寝る準備は整ったはずだ。


「ベリル、寝よう!」

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『甘えさせて、ベリル』

です。

甘えたい盛り。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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