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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode6ウルフ王国結婚狂騒曲編

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52:ふははははは

「自分の意志ではない。体が勝手に動いた……」


ベアウルフの体が、小刻みに震えている。


「なるほど。魔法で操られていたのか」


モールは剣を肩に片次ぐようにすると、ベアウルフの額に、空いている方の手の平を向けた。


「שחרור בכוח(強制解除)」


ベアウルフの目から、ギラギラした凄みが消え、震えも収まった。


「シナン、そちらはどうだ?」


シナンの方を見てみると。倒れているライカンスロープの体から、無事、爆弾を外したようだ。


「シナン……。人間のくせに腕が立つな」


モールは独り言を呟きながら、のこぎりのような剣を壁にたてかけると、シナンの方へと歩いて行く。


なあ、モール、他にもう敵はいないのか?


「いない。気配を感じない」


そんな気配、感じられるのか!?


「何か悪さをしようとすれば、その反応は必ず表出する。心の臓の不規則な動き、普通ではない息遣い、増える瞬き――。そんなもの、挙げればきりがない。我が感知できる範囲で、そのようなものは感じられない。犯行は、そこで伸びているライカンスロープによる単独犯で間違いない。あのベアウルフは、魔法薬を飲まされただけだ」


……そんなことが分かるのか。そんなことまで分かるなら……モールは最強じゃないか。


「ふははははは」


な、なんだよ、モール。


「いや、すまぬな。我も自分が最強だと思っていた。拓海、お前に会うまではな」


!!


「まったく。信じられぬは。拓海ごとき人間に、我が制圧されるとは」


「お、魔王様。拓海様のスゴさがまだお分かりではないのか?」


爆弾の束を手に立ち上がったシナンが、こちらを見る。


「なんだ、シナン、拓海のスゴさとは?」


「拓海様はな、自分がただの人間で最弱であると分かっている。だがな、自分が正しいと信じたことは、例え最弱であると分かっても、やり遂げようとする。やり遂げようと拓海様が前向きになると、周りにいる者は巻き込まれる。でもそれはな、気持ち良く巻き込まれているんだ。みんな拓海様を好きだから。拓海様のためなら、やってやろうと思える」


突然語り出したシナンだったが、モールは黙って聞いている。


「キャノスなんて分かりやすく拓海様にゾッコンだ。あのリマだって口では拓海様に文句ばかりだが、本音は、な。ゼテクだって拓海様には一目置いている。双子の召使いやスピネルだってそう。ベリル様の元婚約者候補の多くも、拓海様のスゴさが分かるから、婚約者に収まった拓海様に文句なんて言わない」


そ、そうなのか!?


「あのロードクロサイト様でさえ、拓海様を認めている。そしてベリル様は言うまでもない。だが魔王様、あなたは最強だ。だから自分一人で何でもできちまう。巻き込むこともなかった。ついてきたいなら、ついてくるがいい、とな。そして頼らなかったのだろう、仲間を」


モールは無言だ。

シナンの言葉に怒ったのかと思ったが。


「拓海、訂正する。一人、おかしな奴がいる。敵は結婚式の会場だ。今すぐ行くぞ」


モールが手をパン、パンと叩き、止まっていたベアウルフと警備兵たちも動き出した。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『悲劇』

です。

ベアウルフに何が起きていたのか。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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