36:え、俺、なんか変?
みんなが部屋に入って来て、一気に動き出す。
「ベリル様、これは魔法薬で眠らされているだけです。大丈夫です。解除しましょう」
キャノスがミランダにかけられた魔法薬による眠りを解除した。するとミランダの三騎士の二人が、すぐ様ミランダに話しかける。
その間にも、カイの魔術でライカンスロープ達は、次々と拘束されていく。
一見すると、緑のツタでぐるぐる巻きにされているだけで、簡単に解いて逃げることもできそうに見えたが。
「あれは無理にほどこうとすると、棘が出てきて、動けば動くほど棘が食い込む。そしてその棘には、神経に作用する毒が含まれている。無理にほどこうとしたことを、千年ぐらい後悔する激痛に襲われる」
ベリルの説明に思わず絶句する。
植物系統の魔術なんて、たいした攻撃力がないと考えていたが。改めることにした。
よくよく考えると、オックス家のツタも恐ろしかった。
植物系統の魔術って、何気に怖いかも……。
「あ、そうだ、ベリル! これ、モールが録画した。首謀者について話している」
手に持っていたビデオカメラをベリルに渡す。
「分かった。見てみよう。ところで拓海、お前は何もされていないか? モールがいるから問題はないと思っていたが、大丈夫か?」
改めてベリルが心配そうに俺を見て……。
「!? 拓海、裸足ではないか。靴と靴下はどうした? ……ベルトも……ない? それにスーツは? シャツのボタンも外れているではないか?」
みんなが部屋に踏み込んだ時。
拘束もしていないのに跪くライカンスロープ達に驚き、彼らを捕らえること、ミランダの様子を確認することに気を取られ、俺の服装を気にする者はいなかった。
だが、ミランダが目を覚まし、ライカンスロープの拘束が終わりつつある中、俺に目を向ける余裕ができた結果。
俺自身でさえ気づいていなかった服装の異変に、まずベリルが気づいてしまった。
「カイ様、二階の部屋でこれを発見したのですが」
カイの三騎士の一人が、手に持っているのは……。
俺のベルト、靴、靴下、そしてスーツのジャケット!!
「そ、それっ、俺のです!!」
「なんだ、拓海のものか……、って拓海、どうしたんだ、その恰好は!?」
カイが目を丸くする。
裸足でシャツ姿は、そんなに驚く姿だろうか……?
「ベリル様、地下を確認したぞ。誰もいなかったし、何もなかった」
シナンとリマが戻ってきて、ベリルに話しかけながら、改めて俺を見て目を丸くする。
え、シナン、リマまで。
なんでそんなにみんな、目を丸くする?
「ベリル様、この建物の周囲を改めて確認しましたが、異常はありませんでした」
ヴァイオレットも戻ってきて、ベリルに報告した後、俺を見て息を飲む。
え、ヴァイオレットまで!?
な、なんで……?
なんなんだ、みんなのこの反応……?
お読みいただき、ありがとうございます!
次回更新タイトルは
『超絶に恥ずかしい』
です。
みんなが目を丸くした理由が判明!
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
明日のご来訪もお待ちしています!!






