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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode6ウルフ王国結婚狂騒曲編

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30:何が起きている?

結婚式の会場はどこもかしこも混雑していた。


ミランダ達を追うにも、沢山のライカンスロープを、かき分ける形になる。なかなかミランダに追いつけない。


途中。

ウルフ王国の警備兵がいたので、不審者に知り合いが連れ去られそうなので、追って欲しいと頼んだ。だが「詳しく聞かせて欲しい」と言われ、足止めを食いそうだったし、ミランダ達を見失いそうだったので、警備兵の協力は諦めた。


これでも俺は特別騎士だし、シナンは腕が立つ。

二人で挑めば、なんとかできるだろう。


それにミランダはジャスミンイエローの目立つドレスを着てくれているので、今の所なんとか見失わずに済んでいるのだから。


それにしても。


どう考えても、この広場から外へ出て行こうとしているように思える。追跡は俺とシナンでいいとしても、この事態を誰かに伝えた方がいいのではないか。


誰か知り合いがいないかと、何度か見渡すが、ライカンスロープはいても、ヴァンパイアの姿は見当たらない。


そこでふと思う。


ミランダはヴァンパイアだ。

魔術だって使える。

それを使わないということは、何か事情があるのだろうか?


ついに広場を出てしまい、駐車場に出た。

さすがに駐車場は、閑散としている。


「拓海様、あそこだ!」


シナンと一緒に駆け出す。


追跡しているとバレないように、車の影に隠れながら、距離を詰める。


するとミランダを連れたライカンスロープ達は、一台のバンのそばで止まった。


よく見ると、ミランダを連れたライカンスロープは、調理人の格好、結婚式の参列者のようなスーツと、見るからにこの結婚式の関係者と思われる姿をしている。


場当たり的な犯行ではなく、関係者と見える姿でこの会場に紛れ、ミランダを狙い、連れ去ろうとしていると分かった。


「拓海様、ストップ」


シナンに言われ、マイクロバスの傍で立ち止まる。


「敵は見えている限り……六人か。あの数なら俺一人でなんとかできる。拓海様はここにいてくれ。この辺りに敵の気配ない」


シナンがまさにミランダ達の方へ向かおうとしたまさにその時。


バンが開き、ミランダの三騎士の一人が、拘束された状態で降ろされた。


ヒドイ……!


三騎士の中で一番小柄で、アイドルみたいに可愛らしいその女性ヴァンパイア騎士は、口を粘着テープでふさがれ、両手は後ろ手に手錠が掛けられている。さらに翼を出せないようにするためか、ワイヤーでぐるぐる巻きにされていた。


あれではいくら怪力でも、力を出せば自身の体が切り裂かれてしまう。


現に散々暴れたのだろう。

あちこちが血まみれになっている。

三騎士は涙をこぼし、すまなさそうな顔でミランダを見ている。


ミランダの声は聞こえない。

でもその口元は「大丈夫よ」と言っているように見える。


つまりは三騎士の一人を人質にとられ、ミランダはここまで連行されたということか。


動きかけたシナンは一旦動きを止めていたが。

三騎士の女性ヴァンパイアが背中を蹴られ、地面に倒れたその瞬間に動いた。


まさにそれは電光石火。

曲刀きょくじんを使った相手は一人だけ。

あとは足を払ったり、肘を使い、打撃技で瞬時にライカンスロープ達を沈めていく。


気づけばその場にいた六人が、地面に倒れている。


初めてシナンの戦闘を見たが。

さすが『ザイド』だ。

ボクシングをやっている俺だから分かる。

あの動きは本物だ。

すべて急所を的確に狙い、戦闘不能にしている。


異常に気づいたスーツ姿のライカンスロープが、バンの中から降りてきたその瞬間。


後頭部に鈍い痛みを感じ、目の前が暗転した。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『やたらけばけばしい』

です。

何が……?


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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