13:リアル国王
カーネリアンは、ファミリーカラーの真紅のフロックコートに同色のズボン、グレーのタイ、そして黒のジレと黒革のロングブーツ。
バーミリオンは赤のローブモンタントのドレスを着て、ドレスの共布で作られた帽子を被っている。現在髪を伸ばしている最中で、結婚式の時には、ボブぐらいの長さになりそうだ。ちなみに最近は「ボク」ではなく、「わたし」と名乗るようになっている。
ベリルは自身の髪色に合わせたワイン色のローブモンタントのドレスを着ており、美しい髪は綺麗にまとめられている。髪をまとめているので、形のいい耳と、パールのイヤリングが際立つ。ドレスと同じ色の帽子も、よく似合っている。
俺は黒と赤を基調とする騎士の隊服姿だ。これに特別騎士として特注で作ってもらった、ルビー色のマントを羽織っている。ベリルの瞳と同じ色で、俺のお気に入りだ。
みんな正装でビシッと決め、落ち着いている。
だが俺は、めちゃくちゃ緊張していた。
なにせこれから会うのは、国王。
国王なんて前世では無縁、知り合う機会なんてゼロ。
だからリアル国王なんて人生初。
でも異世界ではあるあるの存在。それでも今まで国王なんてあったことはないわけで。
う~、緊張するなぁ。
そんなこんなで国王陛下夫妻との謁見に臨んだが……。
「ロードくんは元気にしているかね? 彼は本当にいつ見ても若々しい。我らライカンスロープも長命であるが、外見を保つことはできんからな。彼のようになりたいものだよ。うん。それでカーネリアンくん、君ね、よくテルギア魔法国から戻ったね。これでロードくんも一安心だろう。しかもこんな素敵なボディのお嬢さんとの結婚が決まっているなら、もう安泰だね。うん」
ジャック国王は、とても気さくだった。
しきりにロードクロサイトが、若く見えると言っているが。
ジャック国王も、口調よりもうんと若く見える。
ダークシルバーの髪は艶があるし、綺麗な黒い瞳をしているし、肌もすべすべだ。
少しふくよかな体型だが、そこは国王の貫禄につながるから問題なし。
何より、自身の髪色と同じ、ダークシルバーのファーがついた深緑色のマントが、カッコいい。
それでいて王冠の左右からのぞく獣耳が愛らしく、でも尻尾はかなり手入れされているようで、大変立派だ。
王妃であるジュリアを見ると、ジャック国王が面食いだと確信できる。
まるで映画に出ている女優さんのようであり、ハニーブラウン色の髪も金色の瞳も、本当に美しい。
着ている白いドレスも、ウェディングドレスみたいにゴージャスで、輝いて見えた。
大変大人っぽいのだが、こちらも獣耳と尻尾があることで、愛らしさも付与されている。
「それでベリル嬢。君はね、人間を婚約者に選んだのだろう。うん。驚いたよ。人間と結婚するなら、どうだろうか。うちの王子の一人や二人、側においてもらえんか? ベリル嬢を嫁にしたいと言っている王子は沢山いてな。でもレッド家は純血のヴァンパイアとしか結婚しないと思っていたからね。うん。みんな我慢していたんだよ」
ジャック国王、気さく過ぎる!
しかも王子の一人や二人をどうって……。王族の安売りでは!?
俺が内心ドキドキしていると。
「ジャック国王陛下、身に余るお言葉です。ただ、私は性格的にこの相手と決めたら、その方のことしか考えられない性分でして。とても不器用なのです。きっと王子の皆さまには、この春に素敵な出会いがあると思います」
ベリルは自分を卑下することで、王子を貶めることなく、見事にお断りをしている。
ジャック国王は「それは残念」と笑うしかない。
その後はそれぞれの国の近況を伝えあい、謁見は和やかな雰囲気で終了した。
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次回更新タイトルは
『ベリルちゃん!?』
です。
ベリルちゃん!? ちゃん!?
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
明日のご来訪もお待ちしています!!






