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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
Episode6ウルフ王国結婚狂騒曲編

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5:目が、目が笑っていない!

ハッとして振り返ると、隊服姿のキャノスが、美しい笑顔を浮かべて立っている。


「なんだか鼻の下が伸びているように思えるのですが、気のせいですか」


笑顔は美しいが、目が、目が笑っていない!

最近のキャノスは、俺に女子が近づくと、途端にリマみたいになるのは気のせいか!?


「あー、いた、いた。拓海さま。まさかトイレで拓海さまを見失うとは」


相変わらず男の色気満点のシナンが、こちらへ向かって足早に駆けてくる。


俺達と同じ隊服を着ているのだが、シナンはシャツのボタンを三つも外しているし、ブロックコートは前をとめていない。ただそれだけの着崩し方だけで、フェロモンが出まくっている。


シナンは二重のピーコックグリーンの瞳を細め、アンナを見る。


「おや? 拓海様、この方は? 拓海様は、癒しの聖女様といい、美しい女性の知り合いが多いのだな」


すると。


「はじめまして、素敵な騎士さま。私はアンナ・クラウドです。兄のクレメンスと共に、ウルフ王国の結婚式に参加することになっています。拓海様とは昨年、ホリデーシーズンの時にお会いしました。丁度今、ベリルお姉様との婚約のお祝いの言葉を伝えていました」


アンナは少し頬をピンク色に染めながら、可愛らしく挨拶をした。この挨拶を聞いたシナンは、片膝を地面について跪くと、アンナの手をとる。


「愛らしいアンナ様。はじめまして。俺は拓海様の護衛についている、シナンだ。あなたのような可愛いレディに会え、光栄だな」


そう言うと、アンナの手の甲に軽くキスをする。その瞬間、アンナの頬がさっきよりもピンク色になっている。


シ、シナン、まさか、ほくろの力を使っていないよな!?


俺はハラハラしているが、シナンはアンナの手をはなし、しれっと立ち上がった。


「あー、もう、何しているのよ、拓海! 待ち合わせはこんなところじゃなくて、あっちの広場でしょ! キャノスもシナンもついているのに、何しているのよ!」


リマが頬を膨らませながら、こちらへと歩いてきたが。


「それはすまないことをしたね、リマ。恐らくアンナが、拓海のことを呼び止めたのだと思うよ」


クレメンス!

クレメンスに会うのも、テルギア魔法国から帰国して以来だ。

セリルアンブルーのスーツ姿のクレメンスは、相変わらずのイケメンオーラを放っている。


そのクレメンスの後ろには、これまた美青年揃いの三騎士、オスカー、バルド、ウーゴが控えている。


リマはクレメンスを見て、そして三騎士を見て、特にバルドを見て、頬をポッと赤くする。


その様子を見たシナンは、俺に耳打ちする。


「リマがあんな顔をするの、俺は初めて見たぞ、拓海様」


するとその瞬間、リマがギロッと恐ろしい目で俺とシナンを睨む。


「クレメンス様、お久しぶりです。アンナ様、ベリル様の三騎士、第三騎士のリマです。あるじであるベリル様が、拓海……様のことを探していますので、これにて失礼させていただきます。またウルフ王国に着きましたら、ゆっくり歓談の場を設けていただければ」


あんなに恐ろしい目で睨んだ直後とは思えない、落ち着いた声と笑顔で、リマはクレメンスとアンナに声をかけた。


「まあ、あなたがあの『ザイド』の! 驚きましたわ。こんなに可愛らしい女性が凄腕の暗殺者だなんて。でもアンナは、強い女性に憧れます。ベリルお姉様も、そしてリマ様も。どうかこれからも仲良くなさってくださいね」


アンナは天使のような笑みを浮かべ、リマの手を握った。

リマは驚き、そして顔が見る見るうちに真っ赤になる。


「そ、そんな、私など、ア、アンナ様のようなご令嬢に、そんな」


動揺するリマを見て理解する。

リマは多分、令嬢という属性に弱いんだな。

対してアンナは、強い女性への憧れがあると。


俺がじっと見ていることに気づいたのか。


リマはハッとして我に返り、アンナの手を恭しくはなすと一礼し、そしてギロリとした目で俺とシナンを見る。


すかさず俺とシナンと腕を組むと「行くわよ!」と押し殺した声で言って、歩き出す。


キャノスが「それでは失礼します」と、クレメンスとアンナに一礼し、俺達の後を追う。


俺とシナンは、リマに引きずられるようになりながら、クレメンスとアンナに一礼し、その場を去った。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『久しぶりの再会』

です。

さて、誰と再会するのか?


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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