45:水着姿の美少女
それから3日後。
俺たちは別荘にやってきた。
ヴァイオレットから聞いたのだが、婚約者候補は一週間前からここに滞在しており、俺たちが最後にやってきた形だった。
別荘の敷地に入った瞬間、馬車の中にもわっとした空気が流れ込んできた。
馬車が進むにつれ、じわっと汗が出てきて、俺は外套を脱いだ。
高校の夏服、すなわち半袖開襟シャツ、そして生地が薄い夏用の制服ズボン姿になった。
馬車を降りると、先に到着して準備を進めていたアレンが駆け寄り、部屋に案内してくれた。アレンは水色に花がデザインされた、アロハシャツのようなトップスを着ている。足元も膝までのズボンで、タイツもはいていない。
案内された部屋は、普段過ごす部屋と全然違っていた。
置かれているのは籐の家具で、ソファ、一人掛けの椅子、ベッド、机が配置されている。
天井では木製のシーリングファンも回っていた。
一面が窓になっており、そこから庭やプールにいけるようになっている。
「今、ウェルカムドリンクをお持ちしますね」
アレンはそう言うと部屋を出て行った。
と思ったらドアが開き、俺が驚いて振り向くと、そこには見知らぬ少女がいた。
「⁉」
いろいろな意味で驚いた。
まずはその姿。
これからプールに向かうつもりなのだろうか。
その少女は水着姿だった。
しかもビキニ。
綺麗な水色のグラデーションのビキニトップスの中で、形のいいバストが揺れていた。羽織っている薄手のパーカーの裾の辺りでは、ビキニボトムスがチラチラと見えている。短パンをはいたりせず、パレオを巻くこともなく、太股から下は見事にむき出しになっていた。
な、なんて刺激的な姿。
しかも、その少女はかなり可愛い顔をしていた。
水色の髪はツインテール、瞳は綺麗な青。
ここでの滞在期間が長いのか、肌はほんのり日焼けしていた。
次に、なぜ、突然俺の前に現れたのか、だ。
「みーつけた! ベリルお姉様の見習い騎士さん! あなた魔術が効かない体質なんでしょ⁉」
そう言うとなぜか俺に抱きついてきた。
体に押し付けられたバストの感触に俺は我を忘れそうになったが、すぐに気持ちを引き締め、少女を引き離した。
魔術が効かない体質のことを、開口一番で触れると言うことは……。
「まさか、お前、『ザイド』の一味か⁉」
俺は腰にある剣に手をかけようとした。
「うわあ、拓海様、ストップ!」
ドアが開いたままだったので、中の様子を見たアレンが慌てた様子で俺を止めた。
「アレン……」
とりあえず剣から手を離した。
「こちらはクラウド家のクレメンス様の妹君のアンナ様です」
⁉ そうだったのか。
「アンナ様、こちらはレッド家のベリル様付きの特別騎士見習いで……」
「知っているわよ」
アンナはアレンの言葉を遮り、話し始めた。
「だって、アンナはあの日、拓海様のお姿をしっかり見ましたもの。本当に、素敵な騎士でした。ベリルお姉様のことを身を挺して守ろうとするお姿。とても立派でした。しかも希少な魔術が効かない体質。ずっと、ずっと、お会いしたかったのですよ」
アンナは俺を見てニッコリ笑った。
「見ての通り、アンナ様は拓海様のファンのようです」
アレンがそう口にするとアンナは……。
「ええ、今はただのファンに過ぎません。でもアンナはお父様に一生懸命頼んでいるのですよ。拓海様の婚約者になりたいと」
「え!」「えええ」
アレンと俺の声が重なった。
本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!
次回更新タイトルは『熱烈に女子から言い寄られる』他2話です。
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
明日のご来訪もお待ちしています‼






