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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode5】ポリアース国聖女降臨編

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42:冷水で顔を洗いなさい

新しい自分の一面を知った俺だったが。

就寝前のベリルは、夕食前から一転、とろけるような甘さに変わっていた。


何が甘いのかと言うと、まず囁きが甘い。


「拓海、お前は私のものだ」

「早く拓海と結ばれたい」

「絶対に、誰にも渡さない」


もう言葉だけで昇天しそうだ。


しかもストロベリー色のベビードールに、ココア色のガウン姿のベリルは、まるでストロベリーチョコのようで……。しかもクッキーのような甘い香りがしている。


それは俺のベリルを食べたい衝動を高めた。


結果、その体を抱きしめ、クッキーのような甘い香りを思いっきり吸い込み、沢山キスをしてしまう。その際、ベリルは俺を溶かすようなあの甘い言葉を囁き……。


まさに腰が砕けそうだ。

さらにベリルも俺に負けないぐらい沢山のキスのお返しをくれて……。


しかも「リマが拓海のキスマークを気にするからな」と言い、服を着てしまえば見えない場所にキスマークをつけてくれた。


そんな優しさにもすっかりやられてしまう。

このまま朝までベリルと甘々な時間を過ごしたかった。

だが明日も早いのだからとベリルに言われ、それでも離れがたく、その体を抱きしめていると……。


「拓海のために用意したものがある」


そう言ったベリルはポリアース聖教会に行った時、手に持っていた紙袋を取り出した。


中身は、壁に飾る十字架のオブジェ。

ポリアース聖教会の敷地にある美術館で購入したという。


「国使館の壁に勝手に飾るわけにはいかない。だから拓海の側のサイドテーブルに置いておこう。この十字架は悪魔避けになるそうだ」


俺のためにベリルは、この十字架のオブジェを……。

ベリルの優しさに、さらに想いが強まった。


朝、部屋にやってきたスピネルは……。


「ちょっと拓海くん、どこ見ているの? 現実に戻ってきて。それに頬が緩み過ぎ。冷水で顔を洗いなさい」


あのスピネルが驚くぐらい、昨晩の余韻を俺は引きずっていた。

だからスピネルが魔術円を確認するため、寝間着の上衣を脱がす一連の動作にも、まったく無反応だった。


スピネルは俺が反応しないので、つまらなさそうな顔をしていたが……。


魔術円を見ると、ため息をついた。


「拓海くん、完全にベリル様に骨抜きにされたわね。このキスマーク。胸に三箇所、脇腹に二箇所。……まさかとは思うけど、一線を越えたりしていないわよね?」


「さあ、どうでしょう」


さすがのスピネルも「双子を連れてくればよかったわ。まったく、拓海くんったら」とブツブツ文句を言っている。


朝食は部屋に届けられ、ベリルと二人、パンケーキを食べさせ合った。そしてポリアース聖教会へ向かうため、エントランスホールへベリルをエスコートして向かうと……。


「拓海、アンタ、朝からデレ過ぎでしょ! これから教会へ向かうのよ(怒)」


リマは顔を真っ赤にして憤慨する。


「拓海、もう少し頬を引き締めてください」


キャノスはやんわり注意し、シナンは……。


「これはこれは拓海様。昨晩は夢のような時間を過ごせたのかな? 男が朝デレているのは、恋人と上手くいっている証と言うしな。よきことだ」


ヴァイオレットは顔を赤くし、俺から視線を逸らしてしまう。

そんなに俺、デレた顔をしているのだろうか……。


「拓海、車に乗るぞ」

「うん。行こう、ベリル」


笑顔でベリルの手を取り、車に乗り込んだ。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『俺がこうなったのはベリルのせい』

『6歳の年の差なんて』

です。

デレデレの拓海。そして悪魔祓いが始まる――。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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