34:これからが本番だ
スピネルから小さな教会と聞いていたが、俺からすると十分な広さに感じる。
しかも碧い教会という名で呼ばれるのが納得の秀麗な作りだ。
祭壇まで伸びる通路、そして天井と壁の一部が美しい碧い色をしている。柱と壁は白で、そのコントラストも実に美しい。
祭壇のすぐそばの長椅子に案内され、俺、ベリル、ヴァイオレット、シナンで腰を下ろす。その後ろの席に、キャノス、リマ、スピネルが座った。
ハネス大司祭は祭壇の前に立ち、聖騎士がその左右に三人ずつ待機した。
「ブラッド国には宗教がないとお聞きしています。ただ悪魔祓いはこのポリアース国において、宗教の中の一つの儀式。ついては我々が信仰する主について少し知っていただくために、礼拝をこれから行いたいと思います。堅苦しく考えていただかなくて結構です。一つの体験として経験していただければと思いますので」
ハネス大司祭の合図で聖歌隊が入場し、俺達にはこれから歌う賛美歌の歌詞が書かれた羊皮紙が配られた。そして全員起立して、賛美歌が始まる。
もちろん賛美歌なんて初めて聞くし、歌詞も初めて耳にするものだ。
だがその澄んだ歌声、音色に鳥肌が立ち、自然と厳かな気持ちになる。
続いてハネス大司祭による聖書の朗読が始まった。
ハネス大司祭の声はよく通る声で、知らない聖書の話も、頭の中にすんなり入ってくる。
特に印象に残ったのは「恐れることはない。わたしはあなたと共にある」「わたしの救いの右手であなたを守る」この二つのフレーズで、これから悪魔祓いを受けるにあたり、主の力を信じたい気持ちになっていた。
その後は、配布されていた羊皮紙の祈りを唱え、ハネス大司祭の話を聞いて終わった。
礼拝が終わると、なんだか気持ちがさっぱりし、心が洗われたような気持ちになっている。もうこれでモールは俺の中からいなくなった、それぐらいの気持ちになってしまうが……。
これからが本番だ。
「それでは癒しの聖女をお呼びします」
ハネス大司祭の言葉に背筋が伸びる。
扉が開く音がして、聖女が入場してきたのだと理解した。
癒しの聖女。
どんな女性なのだろう。
ちょっと緊張するな。
教会の中は、移動する癒しの聖女の衣擦れの音しかしない。
静謐な雰囲気の中、ついに癒しの聖女の姿が目に入る。
セレストブルーのフード付きのウールのロングケープ。
フードを被っているので、顔は良く見えない。
ハネス大司祭がいる祭壇にのぼり、振り返ったその顔を見た瞬間。
えっ……。
思わず声を出しそうになり、慌てて口を手で押さえた。
本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!
次回更新タイトルは
『ど、どうして……。』
『この名から解放されたい』
です。
いよいよ儀式開始?
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
明日のご来訪もお待ちしています!!






