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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode5】ポリアース国聖女降臨編

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33:私のことを思い出していたのか?

集合場所の碧い教会には、10分前にちゃんと到着できた。


「拓海、なんだか嬉しそうだな。食堂の昼食がそんなに美味しかったか?」


そう俺に尋ねるベリルは、何やら大切そうに小さな紙袋を持って、ご機嫌な様子だ。


「食堂の食事は美味しかったよ。用意されていたのはホワイトシチューで、具材もオーソドックスなもの。でもまろやかだけどコクもあり、黒糖のパンともよく味があっていた」


さっき満腹になったばかりなのに、思い出すとまた食べたくなってしまう。


「なるほど。男性の食堂はシチューだったのか。女性の食堂ではシチューポットパイが提供された。中のシチューはビーフシチューだ。パイはサクサクでとても美味しかった。ソースも濃厚でビーフもとろけるような柔らかさ。それにデザート代わりでついていた林檎のコンポートは絶品だ。あれで林檎パイを作りたいと思った」


「そうなのか……。ベリル、林檎パイも作れるのか?」


「そうだな。アレンとカレンは、お菓子作りは専門外だからな。食後に出るスイーツは街のパティスリーから取り寄せることが多い。だから私がお菓子を作っても、二人の仕事を奪わずに済む」


なるほど。

ベリルが作るお菓子……。

ブラッド国にはバレンタインがないから、ベリルから手作りチョコをもらうこともなかった。何かベリルにお菓子を作ってもらう口実はないのだろうか。


あ、そうか!


「なあ、ベリル、俺の誕生日の時に、ケーキ作って欲しいな……」


ちょっと照れくさくて、語尾は小さな声になってしまう。

ヴァンパイアは聴力が優れているから、どうせ聞こえてしまうと分かっているのに。


「もちろんだ。そのつもりでいた。どんなケーキを食べたいかリクエストしてくれれば、最高級の食材を揃えよう」


ベリルが作るケーキ、とんでもなく高級なものになりそうだ。

でもまあ、ケーキならショートケーキかな。


それでそのショートケーキを、あの別荘で食べたホットアップルパイの時のように、ベリルと食べさせ合って……。


あの時。


林檎の果汁が、ベリルのチェリーレッド色の唇から、一滴だけこぼれ落ちて……。


俺はすぐさまベリルの腕を掴み、顔を近づけ、その滴を自分の唇で受け止めた。少し顔を離すと、ベリルの唇はほんの数ミリ近づけば届く距離にあって……。


キスをしたい衝動に駆られていたな……。


「拓海」

「!!」

「また遠い目をしていたな。だが、頬がそれほど緩むということは、何か私のことを思い出していたのか?」


ベリルは鋭い。

というか、そんなに頬が緩んでいたか。


「皆さま、お待たせいたしました。外でお待ちいただかず、中に入っていいただいて良かったのですよ。寒くはありませんか? さあ、入ってください」


ハネス大司祭が駆け寄り、碧い教会の扉を開け、中へ入るよう促してくれた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!

本日もゆるりとお楽しみください。

2話目は8時台に公開します。

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