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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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40:ロードクロサイト

快楽の海から浮上した後はなかなかに大変なことになった。

森から屋敷へ戻れたのは、陽が落ちてからだった。


暗殺者による襲撃の現場となった森には、多数の騎士と魔獣、霊獣で溢れていた。


なぜこうなったのか。


まずキャノスが放った碧い鳥は見事に務めを果たし、マルコは館から多数の騎士を引き連れ、森へ戻ってきた。もう一羽の碧い鳥・シモネはスピネルとバーミリオンに事態を伝えた。二人は異生物召喚魔術を使い、ありったけの魔獣と霊獣を召喚し、森へ放った。


その結果、暗殺者たちはレッド家の騎士、魔獣と霊獣に追われることになり、撤退を余儀なくされた。


暗殺者と戦闘を繰り広げていたキャノスとヴァイオレットの二人もすぐに皆に発見され、逃走する暗殺者の追跡に参加した。


結局、暗殺者は森を抜け、ライカンスロープが暮らすウルフ王国との国境付近まで逃げて行き、追跡はそこで終了となった。ここから先の追跡はロードクロサイトからウルフ王国に依頼してもらうしかなかった。


魔獣や霊獣を帰還魔術で戻し、レッド家の騎士を引き連れ館に戻ると、すぐに報告を行うことになった。


一体何が起きたのか、狙われたのは誰なのか。


ベリルからまず話を聞いたロードクロサイトは、狙われたのが俺だと知ると、俺と直接話すことを希望した。


ダイニングルームで晩御飯を食べようとしたまさにその瞬間にロードクロサイトに呼ばれた俺は、温かそうなシチューに後ろ髪をひかれつつも、彼の部屋に向かった。



「なるほど。拓海、君はそのボクシングというスポーツの技を使い、自分のことをさらった魔人ジンのような男を呼吸困難にさせ、大事な場所を蹴り上げ倒したのだな」


「はい」


俺は返事をし、ロードクロサイトの整えられた執務室の本棚に目をやった。


洋書がずらりと並んでいる。


「……騎士団長から報告を受けてはいた。近接戦にとても役立ちそうな格闘技があると。拓海がそれを騎士たちに訓練していると。だが本当に実戦で役立つとは……これからも騎士たちをしっかり鍛えてやってくれ」


それまで鋭い眼光で俺を見ていたロードクロサイトの赤黒い瞳が、穏やかなものに変わった。


「はい!」


「そして君のことをさらった魔法使いだが、自らの名を明かしたのだな」


ロードクロサイトは手元のパソコンを操作しながらしみじみと呟いた。


「はい。『わしの名は爺さんではない、ゼテクじゃ!』と言っていました」


「ゼテク……。その名をここで聞くことになるとは……」


パソコンの画面を見ながら、大きく息をはいた。


「ロードクロサイト様は、ゼテクのことをご存知なのですか?」


パソコンの操作を止め、ロードクロサイトは俺を見た。


「無論、知っている。魔法使い達が暮らすテルギア魔法国で大臣を務めたこともある男だ。とても古くからいる魔法使いで、生粋の純血主義者で知られていた。


つまり、魔法使いは魔法使いとの結婚しか認めないという考えの持ち主だ。自身が大臣を務めていた時は、純血種のみとの婚姻しか認めないという法案を通そうとしたぐらいだ。


だが大臣を三期務めた後、政治の世界から消え、その後、奴がどうなったか知る者はいなかった。もう死んだのかと思っていたのだが……。


そもそも魔法使いは誰かに仕えることを好まない。しかも純血主義者ともなれば、なおのことだ。まさかそのゼテクがこともあろうに、暗殺者と行動を共にしているとは……」


ロードクロサイトの驚きの表情を見ると、俺はなんだか不安になった。


「あの、自分の名を名乗った後に、『いや、わしには沢山の名がある。ある者はゼネと呼び、またある者は神の力を持つ者といい、他にも……』と言っていたのですが……もしかすると本当はゼテクではないのかもしれません」


「それはないだろう。魔法使いというのは見ず知らずの相手に普通は名前を名乗らない。用心深いからな。それなのにうっかり名乗ってしまったので、慌てて取り消そうとしたのだろう」


「そうなんですね……」


「ちなみに拓海をさらおうとした暗殺組織、通称・鮮血の暗殺者は、『ザイド』と言われている組織だ。『ザイド』は暗殺組織として歴史も長く、構成要員も多い。暗殺された者も数えきれないぐらいいる……」


俺、そんな組織に狙われているのか……。


「あの……そんな組織に狙われている俺がここにいることは、皆さまのご迷惑にならないでしょうか」


ロードクロサイトの眼王が鋭くなった。


俺は思わず縮み上がった。



昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます‼

本日もゆるりとお楽しみください。

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