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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode5】ポリアース国聖女降臨編

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19:まさか! 狂喜乱舞

「拓海、さっき言ったテルギア魔法国に近い島は。ウルフ王国の王族やテルギア魔法国の魔法王一族が利用するような場所だ。誰もが予約を簡単にとって泊るような場所ではない」


「そ、そうなのか……」


一体、一泊いくらするのだろう?

確か元いた世界の動画サイトで紹介されていた海外のホテルは、一泊500万円以上したような……。


「拓海、湖の島には空路で行けるぞ」

「!! 飛行船があるから」

「……飛行船。まあ、そうだな。荷物が増えるようなら……飛行船の方がいいかもしれないな」


うん……? 飛行船の方がいい?

飛行船以外の手段もあるのか?

でもポリアース国に向かうのに、飛行機を使えないか聞いたけど……。


飛行機はこの世界に存在していないという。

俺が飛行機の設計図を描ければ、魔法で出せると言われた。


でもさすがになぁ……。張りぼてみたいな飛行機なら、魔法でだしてもらえそうだけど。でもどうせ動力は魔法でまかなうなら、ざっくりでもいいのかな。


「拓海。また、遠い目をしているが」

「!! ご、ごめん。だからえーと、なぜ湖の島か、だよな。しかも空路で行けるのか。空路、ね……」


え。

いや。

まさか。


「……ベリル、空路で行けるって、その、俺は飛べるということか?」


「そうだ」


その後、俺はとんでもない大声で叫び、ベリルに手で口を押さえられた。


「拓海、お前は興奮すると、とんでもない大声だすのだな。ヴァンパイアは聴力が優れているから、その大声が武器になりそうだ」


ベリルはそう言いながら、手を離してくれたが……。

俺の興奮は全然収まっていない。


「べ、ベリル、もしかして婚儀の日程が決まったってことか? それで湖の島にはハネムーンで行くのか?」


背後にいたベリルの方に体を向け、その両手を握りしめ、尋ねていた。


「そうだ。ホリデーシーズンの初日に婚儀を挙げ、その後はハネムーンで湖の島だ」


ベリルが素早く俺の口を手で塞ぐ。


だが、この喜びは止まらない。


口を押さえられたまま、ベリルに抱きついた。


遂に、俺、ベリルと婚儀を挙げるのか!

ヴァンパイアになれる!

魔力も翼も手に入り、病気にもならない、怪我もしにくくなる。


何より。


ベリルを守れる強さが手に入る……!

ついでに童貞卒業確定!!


感極まる俺は、遠慮なくベリルをぎゅうぎゅう抱きしめ、喜びを全身で表現する。


どれぐらいそうしていたのか分からないぐらい、興奮した後、ベリルに尋ねた。


「しかし、どうして急に決まったんだ、婚儀の件」


するとベリルの表情が凜としたものに変わる。


「拓海の体からモールは必ず追い出す。ただ、拓海の体に二つの命が宿っている時、それは弱肉強食になると父上は言っていた。万が一のことがあっても、拓海には絶対、主導権をとってもらいたいと思っている。そのモチベーションに、私との婚儀の日程が決まり、ハネムーンが控えているとなれば、拓海は絶対にモールに負けないだろう?」


「ベリル……!」


俺のために、そこまで考えて……!


でも確かに、俺の人格がモールに乗っ取られるようなことがあれば、ベリルはモールと婚儀を挙げ、ハネムーンを過ごすことになってしまう。体は俺でも、中身がモールでは意味がない。


ベリルのファーストキスをモールに渡すつもりはない。

絶対に主導権は俺が持つ。


「ああ、ベリル。何があっても俺はモールに主導権は譲らない。ベリルと婚儀を挙げるのは俺だ。ベリルとハネムーンに行くのも、俺だ!!」


「その意気込みを聞けて、安心したぞ、拓海」


ベリルはそう言うと額にキスをした。


「明日は朝が早い。だが拓海、お前は今の情報を聞いて、きっと気分が高揚し、とても眠れる状態ではないだろう」


確かにその通りだ。

モールへの底知れぬ闘志。

遂にヴァンパイアになれるという感動。

ベリルとの婚儀の日程が決まったことへの喜び。

初夜でベリルとファーストキスを交わせることへの期待感。

気持ちは高まるばかりだ。


「その顔を見れば分かる。でも眠ってもらわないといけないからな」


ルビー色の瞳が妖艶な色を帯びる。

細い指が寝間着のボタンへ伸びる。

これからゆっくりボタンをはずすのかと思ったその時。


首筋に牙を立てられ、魔力を注入された。


一瞬の痛み。そして圧倒的な快感が体中を駆け抜けていく。

……!!

さらなる魔力の注入でそのままベッドに倒れこむ。


「べ、ベリル……」


ルビー色の瞳が甘やかに煌めく。


「拓海、コントロールはしなくていい。ゆっくり休め」


ベリルの顔が首元に近づく。

熱い息を肌が感じ、鳥肌が立つ。

コントロールしなくていいと言われている。


だけど。


……!

ベリルが寝間着の隙間から手を差し入れ、脇腹に指で触れた。


そんなところに触れられると思わず、意識のコントロールが疎かになる。

ヤバい、一気に快感が押し寄せてきた。


思わず短く声が漏れる。


……!!

首筋に牙が触れる。

魔力を注入されると構えると。

……!!

脇腹を指で優しく撫でられ、体を震わせたその瞬間。


再び魔力を注入された。

ああああ、ダメだ、そんな同時に――

意識が吹き飛んだ。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!

本日もゆるりとお楽しみください。

2話目は8時台に公開します。

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