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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode5】ポリアース国聖女降臨編

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15:どう反応すればいいか、分からない

血の盟約を終えたロードクロサイトは、話を再開した。


「ヴァンパイアは元々魔族の一員だった。しかも魔王の側近。ゆえに知りえた情報がある。それがレッド家に伝わる書物に記されていた。それによると、魔王サナトスの石棺にいれられた赤い宝石は、レッドアベンチュリンで、その名を『クオリー』。魔王サナトスは二つの命を持つと言われていた」


いきなり驚きの情報が出てきた!


「魔王としての命と、光をもたらす者と言われる者の命だ。その命はいわば、彼の悪性と善性だ。マール魔王国に魔王として君臨した際、彼は自分の善性を『クオリー』に封印し、自身に悪性を残し、魔王サナトスになった。そして宝剣ミゲルにより絶命したのは彼の悪性だ。つまり、デスヘルドルにいるのは、魔王サナトスで、その手には自身の善性を秘めた命が宿る『クオリー』があると言われていた」


ロードクロサイトは手元に置いていた古そうな巻物を広げた。


そこに描かれていたのは……。


うずらの卵サイズの赤いアベンチュリン。

そう、国境で拾ったものと同じだ。

キャノスを見ると、頷いている。

やっぱり、間違いない。


「拓海、お前が手にしたのは、これか?」


ロードクロサイトが俺を見た。


「はい、これです」

「そうか……」


ロードクロサイトが腕組をして目を閉じた。

しばらくその状態でいたが……。

ゆっくり目を開くと、再び話し始めた。


「魔王サナトスは、大陸を手中に収めると決めた時、側近であった我々の祖先を呼びこのように告げた。『光をもたらす者と言われていた時に、予知夢を見た。我はこの戦で一つ目の命を落とすであろう。だがしかるべき器が現れた時、復活する』と。『器とはいかようなものか』と我々の祖先は尋ねた。すると『か弱きものだ。それが我の器とは誰も気づかぬはずだ。そのか弱きものは我と一つになり、初めて完成する。我と一つとなった時、そのか弱きものは一転、この世界の覇者となるであろう』と。そして魔王サナトスは、自身の命の一部を『クオリー』に移した」


なんだか嫌な予感しかしないのだが。

か弱きもの? 魔王の器? 復活する?


「ここからは、ベリルから聞いた話から推測したことだ。魔王サナトスはデスヘルドルで待ち続けた。自身の器となるか弱きものがくることを。ただひたすら待ち続けて、ようやくその時がやってきた。魔王であっても今は死者。ソルトの川に阻まれ、そこから先へは出ていけない。だから『クオリー』をそのか弱きものに向け、投げた。そのか弱きものは『クオリー』に気づいた。この時点で、魔王サナトスの復活の道筋が立った。だがまだここからだ」


ロードクロサイトの表情が引き締まる。


「『クオリー』の中にある光をもたらす者の命と魔王サナトスの命、どちらであれ、器であるか弱きものの中には、そう簡単に収まることはできない。いにしえの魔族の中に、人間にのり移り、その体を自由に操るものがいた。どうやってのり移るのか。それはその人間から名前を呼ばれ、招かれる必要があった。そこでまたもや待つことになる。名前を呼ばれ、招かれるその時を」


皆、黙ってロードクロサイトを見ている。


「だがそれは思いのほか早くやってきた。まず、『クオリー』から抜け出した魔王サナトスの命がか弱きものに囁きかけた。手を貸そう、そのためには自分に名をつけ、招くようにと。か弱きものはのっぴきならない状況に、モールという名を与え、自分の中に来るよう叫んだ。その瞬間、『クオリー』は魔術円に変わった。魔王サナトスと光をもたらす者の二つの命は一つとなり、魔術円にモールとして姿を現し、すぐさまか弱きものの中へ入り込んだ。そして、か弱きものに手を貸した」


ロードクロサイトはそこで俺を見た。


「もう言うまでもない。分かるだろう、拓海。か弱きもの、それは拓海、君のことだ。君は……魔王サナトスの器だったということだ」


嫌な予感は的中する。


俺が、魔王サナトスの器……?

どう反応すればいいか、分からない。


「父上」


凛とした声に皆が一斉にベリルを見る。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!

本日もゆるりとお楽しみください。

2話目は8時台に公開します。

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