75:いつ、誰に、つけられた?
「べ、ベリル!?」
「もし魔力が弱まっていたら大変だ。確認させてほしい。吸血はしない。拓海は睡眠不足で疲れているだろうから。すぐに終わる。終わったらもう寝よう」
あっという間にボタンをはずされ、肩と胸が露わになる。
すぐに終わらせるというから、速攻で魔力の注入が始まると思ったが……。
ベリルが胸の辺りを見て、動きを止めている。
「ベリル……?」
「これは……」
ベリルの細い指が伸び、左胸の肌に触れた。
……!
ただ指で触れられただけなのに、心臓がバクバクし始める。
ベリル……。
そう思いながらベリルが触れる胸の辺りを見た俺は。
甘い気持ちが吹き飛んだ。
なんか、肌が赤い!?
ベリルが俺をお姫様抱っこし、そのままバスルームへ向かった。
すぐさま鏡の前でおろされる。
「拓海、こんなもの、いつ、誰に、つけられた?」
左胸にうっすらと紋章みたいなものが浮かんでいる。
記号のような文字が書かれているが読めない。
マークのようなものもあるが、それがマークなのかも分からなかった。
本当にいつの間にこんなタトゥーみたいなものが俺の胸に?
改めてその紋章を見る。
そんなに大きなサイズではない。
なんというか、うずらの卵ぐらいの大きさ。
……うずらの卵。
赤いアベンチュリン?
「ベリル! 俺、多分、この辺りに拾った赤いアベンチュリンをしまっていた。フロックコートの内ポケットに」
「それは宝石だろう? ……そうか。魔法発生装置――魔法石だったのかもしれないな」
!! 魔法石。
その可能性は全く考えていなかった。
「スティラは魔法使いだ。スティラが作った魔法石が国境付近のあの場に落ちていた。そしてもしかすると、その魔法石が発動し、拓海は突然怪力になり、魔術が使えたのかもしれない」
「そうか。あ、でも俺、呪文は唱えていない」
「名前を付けて呼べ、と言われたのだろう? それが呪文だったのかもしれない。その呪文により、何かが召喚され、拓海の中に一時的に宿ったのかもしれないな。拓海はその者にモールという名をつけたが、そのモールが怪力を使い、魔術を使った。しかし魔法石の効果は一度きりだ。だからその力を使い終えたことで、モールも消えた」
なるほど。
思いがけず、謎が解けた。
「しかし、通常は魔法でも魔術でも、声に出しての詠唱が必要となる。頭の中で唱えて発動する魔法発生装置があれば、私も欲しいぐらいだ。今回魔法薬で声を封じられ、魔術が使えなくなり、難儀したからな」
「そうか……。それはキャノスに後で確認か?」
「そうだな。キャノスも今は休んでいるはずだ。起きたら聞いてみよう」
そう言った後、ベリルは独り言のように呟く。
「それに魔法石を使い終わった後、それが姿を消し、こんな紋章のような形になるのか、それも知りたい」
だがハッとすると、ベリルは俺の手を取り、バスルームを出た。
「すっかりおしゃべりが過ぎてしまった。拓海、私達も、休もう」
「そうだな」
寝間着のボタンをとめ、そのままベッドに横になるが。
全然眠くない。
「……ベリル、魔力の件、確認しないでいいのか? というか、俺、目が冴えちゃって……。そんなことにベリルの魔力を利用していいか分からないけど、その、眠らせて欲しい、かな」
最後の方は遠慮がちになり、声が小さくなってしまう。
「拓海のために魔力を使う。それは私にとって至上の悦びだ」
フッと笑みを浮かべたベリルはすばやく肩と胸を露わにし、首筋に牙を立てた。
ゆっくり魔力が送り込まれる。
「あ……」
思わず声が漏れる。
すごく、気持ちいい。
ベリルは牙を抜かず、じわじわと魔力を注ぐ。
意識のコントロールはしていない。
だからもう落ちそうだ。
牙を抜いたベリルが耳元で囁く。
「拓海、その表情、見ている私もとてもゾクゾクするぞ」
「そう……か、ちゃんと……ベリルの……魔力、効いて……いる」
少しだけ意識をコントロールして答えると。
「ああ、そうだな。拓海のこの顔を見ることができて安心した。魔力は問題ない。だからもう落ちていい、拓海」
その瞬間ベリルが体をずらし、俺の顔はそのバストの中に包み込まれた。
感知はできなかった。
でも顔があの弾力のあるバストに触れていると想像しただけで、意識は緩む。そしてそのまま魔力によってもたらされた快楽の波に、俺は深く沈んでいった。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
本日もゆるりとお楽しみください。
2話目は8時台に公開します。






