43:イケメンはエロいことを考えても……
翌日、俺はかなり寝坊し、カレンに起こされ、ようやく目覚めた。
ベリルは既に朝食を済ませ、リビングで執務をこなしている。
自室に戻ると、キャノスは着替えを終え、読書中だった。だが俺を見ると「拓海、この宿には温水プールがあるそうです。泳ぎに行きませんか?」と誘ってくれる。水着なんて持参していなかったが、そこはキャノス。
魔法で水着を用意してくれた。
……そういえば、下着姿は見たことはあるが、ベリルの水着姿は見たことがない。というか、すぐそっちの方に思考がいってしまうのは……。俺、もしかしてビョーキ?
「なあ、キャノス」
「なんですか、拓海」
エレベーターに向かい歩きながら、キャノスはこちらを見る。
「水着の話をして、彼女の……婚約者の水着姿を見たい、とか、昔見た水着姿を思い出したりする?」
キョトンとした顔をした後、キャノスは朗らかに笑う。
「それは……、そうですね。拓海ぐらいの年齢の時だったら、そうだったかもしれません。でもさすがに拓海とプールに行くとなり、水着を用意したところで、彼女の水着姿を想像する……」
そこで言葉を切ったキャノスは宙を眺め、ほうっと息をはく。
「……想像すると、落ち着きませんね」
綺麗な笑顔を見せる。
くそー、イケメンはエロいことを考えても様になるな。
そんなこんなで午前中はプールで泳ぎ、昼食はアレンとカレンが用意したサラダとスープとオムライスを食べ、いよいよ外出となった。
宝石博物館と植物園に行く。
そのためにキャノスの変身魔法で、みんな、姿を変えていた。
まず、リマ。
外見はなんでもいいから、身長を高くしてほしいとリマはキャノスにリクエストした。
が。
急に身長が変わると、戦闘時に影響が出ると、ヴァイオレットに却下されてしまう。
結果、とんでもない美少年に変身していた。
さらさらの黒髪に銀色の瞳。天使のような愛くるしい顔で、シャーロックホームズが着ていそうな黒いインバネスコートを着ている。
なんでもリマの理想の王子様の姿だとか。
ヴァイオレットは、変身したリマの姉、みたいになっている。
長い黒髪をポニーテールにして、きりっとした銀色の一重の瞳をしている。桜色の唇と頬に、チャコールグレーのロングコート。凛とした雰囲気でいつもとは一味違う。
キャノスはなんとロングのホワイトブロンド。瞳の色はエメラルドグリーンで、なんというか、そう、エルフ。美貌のエルフみたいだ。
アイスグリーンのロングコートもよく似合っている。唇の上にほくろがあるのだが、それがあるだけでも顔の印象が変わる。
そしてベリルは……。
もしキャノスに姉がいたら、こんな姿なのでは?
そんな金髪碧眼のお姉様になっていた。
青いラインが入った白いロングケープは清らかで、変身したベリルにとても似合っている。
一方の俺はというと……。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
本日もゆるりとお楽しみください。
2話目は8時台に公開します。






