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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode4】デスヘルドル波乱の予感編

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18:ずっとこうしていよう

ガタンとひと際大きくバスが揺れ、目が覚める。


目を開けた瞬間、ルビー色の瞳と目が合い、いきなりテンションMAXになってしまう。


「おはよう。目覚めたか、拓海? まだ少し早いが」


「おはよう、ベリル。うん、目が覚めた」


昨晩眠りに落ちた時は、ベリルをしっかり抱きしめていた。でも今はちゃんと枕に頭をのせ、掛布団をかけて寝ている。ベリルがちゃんと寝かせてくれたのだろう。


それを有難く思う反面、残念にも感じる。


「そこの窓から、朝陽が昇るのが見えるはずだ。サイレントヴィレッジは方角として西にある。そして今、西に向かい、一直線に走っているからな。そこの窓は丁度、真東になる」


ベリルが起き上がり、後ろの窓にかかるカーテンをずらした。


俺も起き上がり、ベリルの隣に行く。

そして窓から外を見ると。

空の上の方はまだ少し暗い。

でも地上の方は、急速に明るくなり始めている。

その瞬間。

ぶるっと体が震えた。


「拓海、寒いのか?」

「あ、うん。温かい掛布団から急に出ちゃったから」


するとベリルは掛布団をつかみ……。


ふわりと自分と俺の肩にかける。そして俺にピッタリくっつくように身を寄せた。


薔薇の香りが優しく広がり、触れた箇所からベリルの体温が伝わってくる。


温かい……。


肩に腕を回し、ベリルを抱き寄せる。


「昨晩の拓海の首筋への噛みつきは、完璧だった」


!? 確かに最初は牙を立てる真似事をしたけど……。

その後、キスもしたのだが。


「丁度あの位置に、吸血には最適な血管がある。それをあの薄暗さの中で見つけ出すとは。すごいぞ、拓海」


「あ、うん、そうか……」


だからか。だからベリルは「早くお前に血を与えたい」と言ってくれたのか。自分から仕掛けたつもりになっていたけど、単に吸血の練習でもしたと思われてしまった。


そうだとしても。

ぎゅっと抱きしめ合い、眠りにつけたのだ。

大満足だ。

ベリルのサラサラの前髪を持ち上げ、額に顔を近づける。


キスをしようとする。

その動作だけで、もう心臓はバクバクしている。


何より、キスをされると気付き、瞼を閉じてくれるベリルに、胸がときめいてしまう。


ゆっくり額にキスをすると、もう天にも昇る気持ちだ。


「日が昇るまで、ずっとこうしていよう」


ベリルが静かに頷く。

二人で肩を寄せ合い、窓から外の景色を眺める。

ただそれだけなのに、とても心が満たされ、幸せだった。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『サイレントヴィレッジへようこそ』

『いよいよ次は自分』

です。

遂に到着!


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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